チャトランガのボスである僕はビビっていた。
どのくらいビビっていたかというと、ビビりすぎてマイナス方向に色々考えた結果、知恵熱を出す位にはビビっていた。
そもそも考えてもみてほしい。いきなり拉致られ、拉致した人達と敵対している別のグループメンバーを瀕死に追いやり、救急車沙汰に。
しかも誘拐犯さんたち暴力団だったらしい。
これにビビらずいつビビれと?
家に着いてから僕は布団に包まりながら泣いた。
よくよく考えなくても濃すぎる放課後だった。
(僕が何をしたって言うんだよぉ……!)
強いて言うならベンチで昼寝をした。
逆に言えばそれだけである。
結局その日はそのまま寝てしまい、気づけば翌日の朝になっていた。
(頭が重い……でも学校行かなきゃ……)
下がらない熱のおかげでポヤポヤしている思考のまま、何とか制服に着替え、鞄に終わった課題を詰める。
朝食は食べる気がせず、何も食べないまま家を出た。
両親がどちらも出張でいなくて良かった。いたら間違いなく小言を食らう。
結局、自転車で学校までたどり着ける気がしなくて、今日は電車に乗ることにした。
相変わらず両隣は誰も座ってくれないけれど、体調の良くない今日ばかりはそれに救われた。
あまりに人が密になっていると酔いそうな気がする。
(……あー、熱上がってきたかも……)
今日ばかりは本も開かずに、ぼんやりと窓の向こう側を眺める。
とはいえ、具合が悪いことなど関係ない電車はあっという間に目的の駅に着いてしまった。ふらついた足取りで駅のホームに降りる。
ここから学校までそれほど距離はないが、その少しの距離すら億劫になり、ホームのベンチに腰掛けた。
少ししたら学校向かおうと思うも、熱のせいか徐々に眠気が襲ってくる。
(やばい……今寝たら絶対遅刻する……)
抗おうにもどんどん重くなる瞼に、結局スコーンっと意識が落ちてしまった。
さて、ここでまたまた発揮されるのが僕の勘違い体質である。
ハッと目を覚ましたら隣に知らないおじさんが座っていた。しかも「さぁ、おめーさんはどうする?」なんて何かの答えを求めれている最中だった。
うっそだろ。僕寝てたじゃん。なんでこのおじさん僕と会話してんの??
サングラスを掛け、顔の深い皺には年季とともに貫禄も刻み込まれているこのおじさん、下手したらヤのつく職業の方に見える。
これはもう知らないフリして変えるのが吉では?
むしろこのおじさんちょっと早めの認知症とかで徘徊してる人とかだったりしない??
ちらりと腕時計を見れば、ギリギリ遅刻せずに済みそうな時間で
「……ちょうど、時間だ。」
遅刻すると困るんですよー、行きますねー、という旨を口下手なりに頑張って伝えてその場をそそくさと逃げ出した。
追いかけようとしたそのおじさんの携帯電話がタイミングよく鳴り、それが更に勘違いを助長させるなんて、
(あー、逃げられた!よかったー!!)
と、ほっとしている僕は知りもしなかった。
どのくらいビビっていたかというと、ビビりすぎてマイナス方向に色々考えた結果、知恵熱を出す位にはビビっていた。
そもそも考えてもみてほしい。いきなり拉致られ、拉致した人達と敵対している別のグループメンバーを瀕死に追いやり、救急車沙汰に。
しかも誘拐犯さんたち暴力団だったらしい。
これにビビらずいつビビれと?
家に着いてから僕は布団に包まりながら泣いた。
よくよく考えなくても濃すぎる放課後だった。
(僕が何をしたって言うんだよぉ……!)
強いて言うならベンチで昼寝をした。
逆に言えばそれだけである。
結局その日はそのまま寝てしまい、気づけば翌日の朝になっていた。
(頭が重い……でも学校行かなきゃ……)
下がらない熱のおかげでポヤポヤしている思考のまま、何とか制服に着替え、鞄に終わった課題を詰める。
朝食は食べる気がせず、何も食べないまま家を出た。
両親がどちらも出張でいなくて良かった。いたら間違いなく小言を食らう。
結局、自転車で学校までたどり着ける気がしなくて、今日は電車に乗ることにした。
相変わらず両隣は誰も座ってくれないけれど、体調の良くない今日ばかりはそれに救われた。
あまりに人が密になっていると酔いそうな気がする。
(……あー、熱上がってきたかも……)
今日ばかりは本も開かずに、ぼんやりと窓の向こう側を眺める。
とはいえ、具合が悪いことなど関係ない電車はあっという間に目的の駅に着いてしまった。ふらついた足取りで駅のホームに降りる。
ここから学校までそれほど距離はないが、その少しの距離すら億劫になり、ホームのベンチに腰掛けた。
少ししたら学校向かおうと思うも、熱のせいか徐々に眠気が襲ってくる。
(やばい……今寝たら絶対遅刻する……)
抗おうにもどんどん重くなる瞼に、結局スコーンっと意識が落ちてしまった。
さて、ここでまたまた発揮されるのが僕の勘違い体質である。
ハッと目を覚ましたら隣に知らないおじさんが座っていた。しかも「さぁ、おめーさんはどうする?」なんて何かの答えを求めれている最中だった。
うっそだろ。僕寝てたじゃん。なんでこのおじさん僕と会話してんの??
サングラスを掛け、顔の深い皺には年季とともに貫禄も刻み込まれているこのおじさん、下手したらヤのつく職業の方に見える。
これはもう知らないフリして変えるのが吉では?
むしろこのおじさんちょっと早めの認知症とかで徘徊してる人とかだったりしない??
ちらりと腕時計を見れば、ギリギリ遅刻せずに済みそうな時間で
「……ちょうど、時間だ。」
遅刻すると困るんですよー、行きますねー、という旨を口下手なりに頑張って伝えてその場をそそくさと逃げ出した。
追いかけようとしたそのおじさんの携帯電話がタイミングよく鳴り、それが更に勘違いを助長させるなんて、
(あー、逃げられた!よかったー!!)
と、ほっとしている僕は知りもしなかった。