「……早いな。」
朝、蛇さんと三叉槍さんとバッタリ会ってしまったその日の放課後。
すでに1人が捕縛されており、三叉槍さんの仕事の速さに僕白目向きそう。
「シヴァ様!」
「おう!なんてったってシヴァ様直々のご命令だったからな!」
キラキラした目を向けてくる三叉槍さんに、
「流石三叉槍さん。」なんて、言いながらも内心はバックバクだった。
つまり、今転がされているこの人は不良グループのリーダーで間違いないのだろう。
詰んだ。
「……シヴァ様……」
ボソリと呟かれたそれに「うわぁ、こいつ仲間に様呼びさせてんのか。やっば。」という副声音が聞こえた気がする。違うんです。勝手に呼ばれてるんです。
ちょっぴり泣きそうな気持ちになりながら、気を取り直して
「……チェスはできますか?」
と、尋ねてみる。
なんて言ったって彼らがここに捕縛してきたの僕の言葉のせいだし!ここでチェスしなかったら「え?なんで俺連れてこられたん??」ってなるじゃん!
「は、はい。」
吃りながらもすぐに頷いてくれた彼に、「なら、一局やりましょう。」と、誘う。
直ぐに蛇さん達がボードを用意してくれた。
彼のチェスは定跡を多く覚えた真面目なチェスで、僕はあえて定石を崩したりと罠に誘ってみたりと、様々な方向から攻めてみた。
彼もそれに食らいついてくる。
(すごく楽しい……!)
しかし、楽しい時間も終わりが来るもので、
「チェックメイト。」
今回は僕の勝利で幕を閉じた。
蛇さんや三叉槍さん達とはまた違うチェスに、僕はとても満足していた。
その時、
「……夢みたいだ。」
目の前の彼から零れ落ちたその言葉。
それに思わず僕から滑り落ちた言葉は
「どうして?」
だった。
違うんです。本当は「なぜそう思うんですか?」と、ちゃんと聞こうと思ったんです。
しかし、彼には通じたらしく、
「シヴァ様が、俺を見てる。シヴァ様が俺とチェスをしてくれた。シヴァ様が、目の前にいるなんて、夢みたいだ。」
と、ちゃんと答えてくれた。
僕が彼を見ていることが何故夢のようなんだろう?
内心首を傾げていると、ある仮説が頭に浮かんだ。
もしかしたら、彼も僕と同類(勘違いされ族)なのではないか、と。
僕が彼を勘違いせずちゃんと見ていることに、彼は感動しているのでは?と、自分の名推理が光る。
全くもって的外れな推理である。
それこそ勘違い。
しかし、そんなことに気がついていない、芝崎汪は、
「これからは何度でも対戦しよう。ちょうど、最近チェスを覚え始めた子がいるんだ。その子とも対局してみるといい。」
と、あくまで善意でそう告げた。
ここではそんなこと気にせずにいつでもチェスしにおいで~。
息抜きの場所ほしいよね~という完璧な善意であり、他のメンバーが考えているような松野翔の部下に、なんてこと全く考えていない。
ただ単に、定石をきっちり覚えているところなどの真面目さにチェスは覚え始めたばかりかな?と推測した汪の「2人で和気あいあいとチェスするのも楽しいんじゃない!?」という気遣いである。
何故そこの推測はあっているのに大切な所で的外れな推理を導き出してしまったのか。
そうして、汪は自分では気が付かないうちにチャトランガの組織の土台を広げることとなった。
気づけ。
朝、蛇さんと三叉槍さんとバッタリ会ってしまったその日の放課後。
すでに1人が捕縛されており、三叉槍さんの仕事の速さに僕白目向きそう。
「シヴァ様!」
「おう!なんてったってシヴァ様直々のご命令だったからな!」
キラキラした目を向けてくる三叉槍さんに、
「流石三叉槍さん。」なんて、言いながらも内心はバックバクだった。
つまり、今転がされているこの人は不良グループのリーダーで間違いないのだろう。
詰んだ。
「……シヴァ様……」
ボソリと呟かれたそれに「うわぁ、こいつ仲間に様呼びさせてんのか。やっば。」という副声音が聞こえた気がする。違うんです。勝手に呼ばれてるんです。
ちょっぴり泣きそうな気持ちになりながら、気を取り直して
「……チェスはできますか?」
と、尋ねてみる。
なんて言ったって彼らがここに捕縛してきたの僕の言葉のせいだし!ここでチェスしなかったら「え?なんで俺連れてこられたん??」ってなるじゃん!
「は、はい。」
吃りながらもすぐに頷いてくれた彼に、「なら、一局やりましょう。」と、誘う。
直ぐに蛇さん達がボードを用意してくれた。
彼のチェスは定跡を多く覚えた真面目なチェスで、僕はあえて定石を崩したりと罠に誘ってみたりと、様々な方向から攻めてみた。
彼もそれに食らいついてくる。
(すごく楽しい……!)
しかし、楽しい時間も終わりが来るもので、
「チェックメイト。」
今回は僕の勝利で幕を閉じた。
蛇さんや三叉槍さん達とはまた違うチェスに、僕はとても満足していた。
その時、
「……夢みたいだ。」
目の前の彼から零れ落ちたその言葉。
それに思わず僕から滑り落ちた言葉は
「どうして?」
だった。
違うんです。本当は「なぜそう思うんですか?」と、ちゃんと聞こうと思ったんです。
しかし、彼には通じたらしく、
「シヴァ様が、俺を見てる。シヴァ様が俺とチェスをしてくれた。シヴァ様が、目の前にいるなんて、夢みたいだ。」
と、ちゃんと答えてくれた。
僕が彼を見ていることが何故夢のようなんだろう?
内心首を傾げていると、ある仮説が頭に浮かんだ。
もしかしたら、彼も僕と同類(勘違いされ族)なのではないか、と。
僕が彼を勘違いせずちゃんと見ていることに、彼は感動しているのでは?と、自分の名推理が光る。
全くもって的外れな推理である。
それこそ勘違い。
しかし、そんなことに気がついていない、芝崎汪は、
「これからは何度でも対戦しよう。ちょうど、最近チェスを覚え始めた子がいるんだ。その子とも対局してみるといい。」
と、あくまで善意でそう告げた。
ここではそんなこと気にせずにいつでもチェスしにおいで~。
息抜きの場所ほしいよね~という完璧な善意であり、他のメンバーが考えているような松野翔の部下に、なんてこと全く考えていない。
ただ単に、定石をきっちり覚えているところなどの真面目さにチェスは覚え始めたばかりかな?と推測した汪の「2人で和気あいあいとチェスするのも楽しいんじゃない!?」という気遣いである。
何故そこの推測はあっているのに大切な所で的外れな推理を導き出してしまったのか。
そうして、汪は自分では気が付かないうちにチャトランガの組織の土台を広げることとなった。
気づけ。