その姿を見た瞬間、本能が叫んだ。 感動、興奮、熱狂。 どんな言葉も、体の内側から湧き上がる激情を形容することはできない。 朝葉時雨(あさばしぐれ)は、生まれて初めて喜びで体が打ち震えることを知った。 泣きたくなることを知った。 「――ようやく、会えた」 彼女こそが長年探し続けてきた唯一の人。 この世にただひとりの、己の番(つがい)だ。