落合先生に頼んで、七年前の今日、この時間の校内の様子を調べてもらっていた。
リープする先の時間とこちらの時間は同じように流れている。そのため七年前へリープした時、写真部内にだれかいたら、それこそパニックが起こるだろう。
幸いこの日は通常授業の日だったようで、写真部の生徒がサボりで部室にいない限り、ここは空室とのことだった。ただ、特別教棟の入口は、通常授業が終わるまではいつも施錠されているので、外へ出るには部室の窓から外へ出るしか方法がない。
私たちは、当日スムーズに窓から外に出られるかを事前にチェックしていた。
教室から窓を跨ぐには、私の身長だと椅子を使わなければ足が届かないので先輩に手伝ってもらい、私たちは教室から脱出する予定だった。
「待って。七年前の今日が通常授業なら、僕は今、鍵を持ってるし、向こうでも普通に出入りできるよな」
先輩はそう言うと、学生服のポケットの中に鍵を突っ込んだ。
言われてみればそうだ。私は頷いて、自分の所持品を確認する。
ハンカチタオルと、お守りとして叔母から託されたパワーストーンのストラップを、ポケットの中へと入れた。
「七年前の世界で、スマホが通信手段として使えるかはわからないけど、一応持って行こう」
先輩がそう言うので、私もスマホをスカートのポケットへと入れた。
先輩はロッカーの中から一眼レフを取り出した。それは、落合先生から託されたアナログのカメラだ。
いよいよだ。
私たちは、以前リープの実験をした時と同じ体制でカメラに触れると、シャッターボタンを押した。
軽い目眩のような感覚が私を襲う。背後に先輩を感じるので、不思議と怖くはない。
「先輩……?」
「無事にリープできているみたいだよ」
私の声に、先輩はそう言うと、目の前に貼られているカレンダーを指差した。
部室はちょっと雰囲気も違う。それに第一、先輩が指を指したカレンダーなど、私たちの時代の部室には存在しない。
私はカレンダーの年代を調べ、間違いなく七年前にリープしたことを確認した。
ポケットに入れたスマホも、西暦は七年前を表示している。せっかくなので、連絡が取り合えるかを試してみたけれど、お互いの電話番号はこの時代ではまだ存在しておらず、電話は使えない。
通話アプリも、残念ながら使えない。
「はぁ……、せっかくスマホ持ってきたのに、使えませんね」
私は溜め息を吐きながらスマホをスカートのポケットへとしまった。先輩も、仕方ないねと呟いた。
「まあ、時計は機能しているしいいか。スマホはこの時代にない機能がたくさんあるから、人に見られた時がヤバいだろうし」
「そうですね。七年前なら、私も自宅でしかネットは使えなかったし、カメラだけでも充分役立ってましたよ」
「ネットが繋がる、電話が繋がる……。僕たちは、文明の利器に頼り過ぎてるな」
先輩の言う通りだ。便利になりすぎて、それに頼らざるを得ない状態なのだ。それがなければ、私たちの生活は成り立たなくなりつつある。
私たちはしばらく無言だった。
時間は刻一刻と過ぎていく。
「先輩、そろそろ動きませんか? 七限の授業が終わったら、私たち見つかっちゃいますよ」
ここでだれかに見つかったら、計画が全て水の泡になってしまう。
「そうだね。とりあえず、学校から出よう」
私たちは物音を立てないよう、静かに部室の入口のドアを開け、先輩が持って来た鍵で施錠する。そして、特別教棟の入口も、中から開錠して外に出ると、すかさずここも施錠した。
リープする先の時間とこちらの時間は同じように流れている。そのため七年前へリープした時、写真部内にだれかいたら、それこそパニックが起こるだろう。
幸いこの日は通常授業の日だったようで、写真部の生徒がサボりで部室にいない限り、ここは空室とのことだった。ただ、特別教棟の入口は、通常授業が終わるまではいつも施錠されているので、外へ出るには部室の窓から外へ出るしか方法がない。
私たちは、当日スムーズに窓から外に出られるかを事前にチェックしていた。
教室から窓を跨ぐには、私の身長だと椅子を使わなければ足が届かないので先輩に手伝ってもらい、私たちは教室から脱出する予定だった。
「待って。七年前の今日が通常授業なら、僕は今、鍵を持ってるし、向こうでも普通に出入りできるよな」
先輩はそう言うと、学生服のポケットの中に鍵を突っ込んだ。
言われてみればそうだ。私は頷いて、自分の所持品を確認する。
ハンカチタオルと、お守りとして叔母から託されたパワーストーンのストラップを、ポケットの中へと入れた。
「七年前の世界で、スマホが通信手段として使えるかはわからないけど、一応持って行こう」
先輩がそう言うので、私もスマホをスカートのポケットへと入れた。
先輩はロッカーの中から一眼レフを取り出した。それは、落合先生から託されたアナログのカメラだ。
いよいよだ。
私たちは、以前リープの実験をした時と同じ体制でカメラに触れると、シャッターボタンを押した。
軽い目眩のような感覚が私を襲う。背後に先輩を感じるので、不思議と怖くはない。
「先輩……?」
「無事にリープできているみたいだよ」
私の声に、先輩はそう言うと、目の前に貼られているカレンダーを指差した。
部室はちょっと雰囲気も違う。それに第一、先輩が指を指したカレンダーなど、私たちの時代の部室には存在しない。
私はカレンダーの年代を調べ、間違いなく七年前にリープしたことを確認した。
ポケットに入れたスマホも、西暦は七年前を表示している。せっかくなので、連絡が取り合えるかを試してみたけれど、お互いの電話番号はこの時代ではまだ存在しておらず、電話は使えない。
通話アプリも、残念ながら使えない。
「はぁ……、せっかくスマホ持ってきたのに、使えませんね」
私は溜め息を吐きながらスマホをスカートのポケットへとしまった。先輩も、仕方ないねと呟いた。
「まあ、時計は機能しているしいいか。スマホはこの時代にない機能がたくさんあるから、人に見られた時がヤバいだろうし」
「そうですね。七年前なら、私も自宅でしかネットは使えなかったし、カメラだけでも充分役立ってましたよ」
「ネットが繋がる、電話が繋がる……。僕たちは、文明の利器に頼り過ぎてるな」
先輩の言う通りだ。便利になりすぎて、それに頼らざるを得ない状態なのだ。それがなければ、私たちの生活は成り立たなくなりつつある。
私たちはしばらく無言だった。
時間は刻一刻と過ぎていく。
「先輩、そろそろ動きませんか? 七限の授業が終わったら、私たち見つかっちゃいますよ」
ここでだれかに見つかったら、計画が全て水の泡になってしまう。
「そうだね。とりあえず、学校から出よう」
私たちは物音を立てないよう、静かに部室の入口のドアを開け、先輩が持って来た鍵で施錠する。そして、特別教棟の入口も、中から開錠して外に出ると、すかさずここも施錠した。