私は画像が撮影されていた日付……、九月二十五日と十一月十二日を、忘れないようスマホのメモ欄に書き込んだ。

 特に十一月十二日。

 この日は、私が事故に遭う日。
 そして、先輩が私を庇って亡くなってしまう日……

 この日、私は学校から帰って里緒奈ちゃんと一緒に遊んだ帰り、事故に遭ったのだ。里緒奈ちゃんが写真を撮っていたのは本当に偶然だ。

 このままだと、これが先輩の姿を収めた最後の写真になってしまう。

 そして、先輩がこの日にリープしないと、私は死んでしまう。

 でも、先輩が過去へ行ってしまうと、先輩が死んでしまう。

 どうすればいい?
 どうすれば、二人が一緒に生きていられる未来に書き換えられる?

 この後も里緒奈ちゃんは写真のことをいろいろと口にしたけれど、私が乗り気じゃないように見えたのか、その話をやめた。
 乗り気じゃないわけではない。でも、私にはじっくりと考える時間が必要だったのだ。

 でも今はその時じゃない。

 せっかく里緒奈ちゃんが遊びに来てくれているので、一旦はそのことを頭の中から追い出した。

 楽しい時間はあっという間で、部屋の時計はいつの間にか十八時を指していた。久しぶりにうちで夕飯を食べていかないかと母が里緒奈ちゃんを誘ってくれたけど、今日は家族で外食する予定だったらしい。里緒奈ちゃんも残念そうだ。

 里緒奈ちゃんが帰った後、食事を済ませてすぐシャワーを浴び、早々に自分の部屋へと引き上げた。

 部屋を片付けて、髪の毛を自分の部屋で乾かすと、そのままベッドの上に横たわる。

 両手に二台のスマホを握っている。

 そう、昔私が使っていた、親のお古のスマホだ。

 私は今日、里緒奈ちゃんがやっていたように古いスマホで先輩の画像を検索しようと試みた。

 今のスマホから古いスマホにデータを送り、画像検索をかけてみると、やっぱり私のスマホにも先輩の姿が写っていた。

 写真が撮影されている日を確認すると、里緒奈ちゃんのスマホの日付と一致する。

 九月二十五日と、十一月十二日。

 私は自分のスマホで九月二十五日に曜日を確認する。

 この日は私も先輩も塾の日ではないので、きっと私に何か用事があって早く帰宅するのか、それとも……

 ふとそこで思考が止まる。

 もしかして、先輩が過去にリープすることを知って、私はこの日わざと先輩のことを一人にさせていた……?

 もし、この日に先輩を一人にさせなかったら、この写真から先輩の姿が消えたら、未来を変えられる……?

 咄嗟の思いつきに、私は鳥肌が鳥肌が立った。