里緒奈ちゃんはその画像を元に、自分のスマホの写真フォルダに検索をかける。すると……
「え……、ちょっと待って……。これ、どういうこと……?」
明らかに戸惑っている里緒奈ちゃんの声に、わたしは不思議に思って横からスマホの画面を覗き込む。
するとそこには、たしかに先輩が写り込んでいた。しかもその日付が、七年前を示している。
先輩、もしかして落合先生のカメラを使って、過去へリープしたの……? いや、もしかして、これからリープするの……?
スマホが弾き出した写真は合計三枚。日付を見せてもらうと、いずれも七年前の九月に一枚。事故に遭った十一月に二枚――
先輩だと断定できるのは、遠目でも先輩だとわかるくらい、顔がしっかりと写っていたことと、その服装だ。いずれも、私たちの通う高校の制服を着用している。
九月はまだ暑いから、ジャケットは着用していないけれど、スラックスは夏の制服だ。
そして十一月の写真は、高校の冬の制服そのものだ。
高校の制服は、先輩が高校入学した年にモデルチェンジしているから、当時、あの制服を着用できたのは先輩だけだ。
私たちは画面を見て言葉が出なかった。
これを見て、私は確信した。
私の命の恩人は、先輩だったんだ。
でも、本当にそれが先輩だったなら、先輩は十一月に亡くなってしまう……
里緒奈ちゃんは画像の日付を遡り始めた。もしかしたら、顔は写っていなくても、他にも先輩が写っているかもしれない。
里緒奈ちゃんのスマホは容量が大きく、小さい頃に撮影した画像も移行してあるという。
七年前の画像を一枚ずつ一緒に検証していくと、顔は写っていないけれど先輩の後ろ姿を捉えた写真が何枚か見つけた。
日付は顔が写り込んでいる日と同じだった。
先輩だとわかる決め手は、もちろん高校の制服だ。
「これって、香織ちゃんの高校の制服だよね……。でも、この時期ここの学校って、違う制服だったよね……?」
里緒奈ちゃんも、制服のことに気付いたようだ。
私はそのことに触れず、先輩が写っている画像を全て送ってもらうことにした。その際、先に里緒奈ちゃんのスマホで写真が撮影された日をチェックしてみると、それは全て九月から十一月の三か月間に集中していた。
やっぱり先輩は、落合先生のカメラを使ってリープしていたんだと確信した。
「その写真、どうするの?」
里緒奈ちゃんの問いに、何と返せばいいか思案していると、里緒奈ちゃんが言葉を続けた。
「でもさ、この昔の写真と香織ちゃんの彼氏さんの顔写真、見れば見るほどそっくりだよね。同一人物って言ってもおかしくないレベルで似てるんだけど……。でも彼氏さんって、先輩でしょう? この当時ならまだ小学生だよね? 一つ二つ年上でも、ここまで大人びた小学生っていないよ」
私は里緒奈ちゃんに、過去へリープすることができるカメラのことを話そうかどうか迷った。けれど、もしそれを口にしたとして信じてくれるかもわからない。下手に話をして過去へのリープに巻き込むわけには行かないだろう。
なので私も、この場では里緒奈ちゃんに同調した。
「そうだね……。もしかしたら、先輩の親戚の人かもしれないから、ちょっと聞いてみるよ」
私の言葉に、納得したかどうかは定かでないけれど、里緒奈ちゃんも頷いた。
「え……、ちょっと待って……。これ、どういうこと……?」
明らかに戸惑っている里緒奈ちゃんの声に、わたしは不思議に思って横からスマホの画面を覗き込む。
するとそこには、たしかに先輩が写り込んでいた。しかもその日付が、七年前を示している。
先輩、もしかして落合先生のカメラを使って、過去へリープしたの……? いや、もしかして、これからリープするの……?
スマホが弾き出した写真は合計三枚。日付を見せてもらうと、いずれも七年前の九月に一枚。事故に遭った十一月に二枚――
先輩だと断定できるのは、遠目でも先輩だとわかるくらい、顔がしっかりと写っていたことと、その服装だ。いずれも、私たちの通う高校の制服を着用している。
九月はまだ暑いから、ジャケットは着用していないけれど、スラックスは夏の制服だ。
そして十一月の写真は、高校の冬の制服そのものだ。
高校の制服は、先輩が高校入学した年にモデルチェンジしているから、当時、あの制服を着用できたのは先輩だけだ。
私たちは画面を見て言葉が出なかった。
これを見て、私は確信した。
私の命の恩人は、先輩だったんだ。
でも、本当にそれが先輩だったなら、先輩は十一月に亡くなってしまう……
里緒奈ちゃんは画像の日付を遡り始めた。もしかしたら、顔は写っていなくても、他にも先輩が写っているかもしれない。
里緒奈ちゃんのスマホは容量が大きく、小さい頃に撮影した画像も移行してあるという。
七年前の画像を一枚ずつ一緒に検証していくと、顔は写っていないけれど先輩の後ろ姿を捉えた写真が何枚か見つけた。
日付は顔が写り込んでいる日と同じだった。
先輩だとわかる決め手は、もちろん高校の制服だ。
「これって、香織ちゃんの高校の制服だよね……。でも、この時期ここの学校って、違う制服だったよね……?」
里緒奈ちゃんも、制服のことに気付いたようだ。
私はそのことに触れず、先輩が写っている画像を全て送ってもらうことにした。その際、先に里緒奈ちゃんのスマホで写真が撮影された日をチェックしてみると、それは全て九月から十一月の三か月間に集中していた。
やっぱり先輩は、落合先生のカメラを使ってリープしていたんだと確信した。
「その写真、どうするの?」
里緒奈ちゃんの問いに、何と返せばいいか思案していると、里緒奈ちゃんが言葉を続けた。
「でもさ、この昔の写真と香織ちゃんの彼氏さんの顔写真、見れば見るほどそっくりだよね。同一人物って言ってもおかしくないレベルで似てるんだけど……。でも彼氏さんって、先輩でしょう? この当時ならまだ小学生だよね? 一つ二つ年上でも、ここまで大人びた小学生っていないよ」
私は里緒奈ちゃんに、過去へリープすることができるカメラのことを話そうかどうか迷った。けれど、もしそれを口にしたとして信じてくれるかもわからない。下手に話をして過去へのリープに巻き込むわけには行かないだろう。
なので私も、この場では里緒奈ちゃんに同調した。
「そうだね……。もしかしたら、先輩の親戚の人かもしれないから、ちょっと聞いてみるよ」
私の言葉に、納得したかどうかは定かでないけれど、里緒奈ちゃんも頷いた。