『香織ちゃん、こんばんは。具合はどうですか? 少しは良くなっているかな。明日、学校で会えるといいね』
ああ、やっぱり心配掛けてる……
メッセージから伝わる先輩の気持ちに、申し訳なさでいっぱいだ。
メッセージに既読を付けてしまったので、返信しなければならない。私は画面を見つめながら、入力する文面を考えた。
『こんばんは、ご心配ありがとうございます』
ここまで入力してみたけれど、どうしても続きが思い浮かばない。今は発作が落ち着いて、いつもと変わらないけれど、いつまた発作が起こるかわからない。一度過呼吸になってしまうと、癖になってしまうみたいで、私は過去に数回発作を起こしている。いずれも発作のきっかけは、事故のことを思い出したことにある。
あれから七年が経ち、事故のショックで私は当時の肝心な記憶がない。だから、大分記憶も薄れてきたはずなのに……
『今は体調も戻り、明日は多分いつも通り登校できそうです』
考え抜いた結果、結局当たり障りのない文章に落ち着いた。私は自分で打った文章を見直して送信すると、すぐに既読マークが付いた。
少しして、先輩からスタンプが押された。それはパンダがホッとした表情を浮かべているもので、企業アカウントが無料配布しているスタンプだった。私も同じスタンプをダウンロードしているので、そこから『ありがとう』と書かれているスタンプを押した。
私がスタンプを送信したタイミングで、先輩からのメッセージを受信した。そのメッセージに、私は驚きのあまり、「はあ!?」と間抜けな声をあげた。
『よかった、安心した。明日の朝、香織ちゃんの家へ迎えに行くよ』
先輩が、朝、私を迎えに来る……?
非現実的な言葉を目にして、私は動揺を隠せない。手が滑って、思わずスマホをベッドの上に落としてしまった。
え、ちょっと待って。先輩と一緒に登校できるの……?
朝一番で先輩に会えるのは、とても嬉しい。だけど先輩の家から家に寄ると、少し遠回りになる。先輩の貴重な時間を、私のために費やしてもらうのは、どうにも気が引ける。
『ありがとうございます。お気持ち、とても嬉しいです。でも、先輩、そうなるといつもより少し早く家を出ることになりませんか?』
先輩に心配を掛けた上に、貴重な朝の時間を使わせてしまうことに、どうしても抵抗があった。
メッセージを送信すると、先輩から返信が届く。
『僕が、少しでも香織ちゃんに会いたいから。だから、気にしないで。もし迷惑だったらごめん』
先輩のメッセージに、涙腺が緩みそうになる。まだ付き合い始めて日も浅いのに、こんなに大事にしてもらえて私は幸せ者だ。
私は急いで返信を打つ。
『そんな、迷惑だなんて思ってないです。とっても嬉しいです。ありがとうございます』
メッセージを送信すると、すぐに既読が付き、スタンプが押されてた。今度は今流行りのスタンプで、キャラクターが喜びいっぱいの表情を浮かべている。
『じゃあ、明日は家を出る前に連絡するね。今日はゆっくり休んで』
先輩からのメッセージに、私はスタンプで返信をすると、先輩からもスタンプが押された。
やり取りが終わり、私は先輩からのメッセージを見つめていた。
『明日の朝、香織ちゃんの家へ迎えに行くよ』
この文言から目が離せない。
本当に、先輩が明日、迎えにきてくれる……?
昨日の夕方、一緒に帰ってうちの場所は知っている。明日の朝、迎えに来てくれると言うなら、有言実行するだろう。
何か、お礼できるようなことでもあればいいんだけどな……
私はスマホを枕元に置くと、ベッドの上に横たわった。
明日、緊張しちゃうな。朝までに体調が元通りになればいいけど。
布団の中に入り、目を閉じていると、いつの間にか夜が明けていた。
いつもより少し早い時間に目が覚めたので、私は身支度を整えるとダイニングへと向かった。
ダイニングテーブルの上には、朝食とお弁当が用意されている。中学校までは給食があったけれど、高校にはないので、毎日お弁当が必須だ。学校には学食がないため、こうしてお弁当を持参するか、購買部で販売するパンを購入するかになる。けれど、購買部は運が悪いと売り切れて買えないこともある。そうなれば、昼食抜きとなってしまう。
毎朝文句も言わず、お弁当の準備をしてくれる母に、とても感謝している。
ああ、やっぱり心配掛けてる……
メッセージから伝わる先輩の気持ちに、申し訳なさでいっぱいだ。
メッセージに既読を付けてしまったので、返信しなければならない。私は画面を見つめながら、入力する文面を考えた。
『こんばんは、ご心配ありがとうございます』
ここまで入力してみたけれど、どうしても続きが思い浮かばない。今は発作が落ち着いて、いつもと変わらないけれど、いつまた発作が起こるかわからない。一度過呼吸になってしまうと、癖になってしまうみたいで、私は過去に数回発作を起こしている。いずれも発作のきっかけは、事故のことを思い出したことにある。
あれから七年が経ち、事故のショックで私は当時の肝心な記憶がない。だから、大分記憶も薄れてきたはずなのに……
『今は体調も戻り、明日は多分いつも通り登校できそうです』
考え抜いた結果、結局当たり障りのない文章に落ち着いた。私は自分で打った文章を見直して送信すると、すぐに既読マークが付いた。
少しして、先輩からスタンプが押された。それはパンダがホッとした表情を浮かべているもので、企業アカウントが無料配布しているスタンプだった。私も同じスタンプをダウンロードしているので、そこから『ありがとう』と書かれているスタンプを押した。
私がスタンプを送信したタイミングで、先輩からのメッセージを受信した。そのメッセージに、私は驚きのあまり、「はあ!?」と間抜けな声をあげた。
『よかった、安心した。明日の朝、香織ちゃんの家へ迎えに行くよ』
先輩が、朝、私を迎えに来る……?
非現実的な言葉を目にして、私は動揺を隠せない。手が滑って、思わずスマホをベッドの上に落としてしまった。
え、ちょっと待って。先輩と一緒に登校できるの……?
朝一番で先輩に会えるのは、とても嬉しい。だけど先輩の家から家に寄ると、少し遠回りになる。先輩の貴重な時間を、私のために費やしてもらうのは、どうにも気が引ける。
『ありがとうございます。お気持ち、とても嬉しいです。でも、先輩、そうなるといつもより少し早く家を出ることになりませんか?』
先輩に心配を掛けた上に、貴重な朝の時間を使わせてしまうことに、どうしても抵抗があった。
メッセージを送信すると、先輩から返信が届く。
『僕が、少しでも香織ちゃんに会いたいから。だから、気にしないで。もし迷惑だったらごめん』
先輩のメッセージに、涙腺が緩みそうになる。まだ付き合い始めて日も浅いのに、こんなに大事にしてもらえて私は幸せ者だ。
私は急いで返信を打つ。
『そんな、迷惑だなんて思ってないです。とっても嬉しいです。ありがとうございます』
メッセージを送信すると、すぐに既読が付き、スタンプが押されてた。今度は今流行りのスタンプで、キャラクターが喜びいっぱいの表情を浮かべている。
『じゃあ、明日は家を出る前に連絡するね。今日はゆっくり休んで』
先輩からのメッセージに、私はスタンプで返信をすると、先輩からもスタンプが押された。
やり取りが終わり、私は先輩からのメッセージを見つめていた。
『明日の朝、香織ちゃんの家へ迎えに行くよ』
この文言から目が離せない。
本当に、先輩が明日、迎えにきてくれる……?
昨日の夕方、一緒に帰ってうちの場所は知っている。明日の朝、迎えに来てくれると言うなら、有言実行するだろう。
何か、お礼できるようなことでもあればいいんだけどな……
私はスマホを枕元に置くと、ベッドの上に横たわった。
明日、緊張しちゃうな。朝までに体調が元通りになればいいけど。
布団の中に入り、目を閉じていると、いつの間にか夜が明けていた。
いつもより少し早い時間に目が覚めたので、私は身支度を整えるとダイニングへと向かった。
ダイニングテーブルの上には、朝食とお弁当が用意されている。中学校までは給食があったけれど、高校にはないので、毎日お弁当が必須だ。学校には学食がないため、こうしてお弁当を持参するか、購買部で販売するパンを購入するかになる。けれど、購買部は運が悪いと売り切れて買えないこともある。そうなれば、昼食抜きとなってしまう。
毎朝文句も言わず、お弁当の準備をしてくれる母に、とても感謝している。