「イザベラ、王宮で授業を受けることになったのね。サイラスお兄様が、イザベラは学習進度が早いから個人レッスンに変えたと言っていたわ」
夜、私のところに来たララアの言葉に戸惑ってしまう。
「ララア、私はそんな優秀ではないです。少し長時間の授業に疲れてしまっただけです」
「確かに、午後までの授業は疲れるよね。明日から、イザベラのお弁当は無しなのか寂しくなるわ」
ララアと私はお昼は外で私のお弁当を食べていた。
私がいなくなったら、ララアは学食に行くのだろうか。
お昼のひと時は彼女にとっても息抜きだったはずだ。
「私、午前中だけ授業を受けて、ララアとお弁当を食べて帰ります。王宮まで教師の方に来ていただのは忍びないので、午後の授業は王宮で自習できないか聞いてみようと思います。私の体力がなくてご心配かけて申し訳ございません。体力をつけて午後まで一緒に授業を受けられるように頑張ります」
「本当に?嬉しい。でも、教師は喜んで王宮に来ると思うけれどね、王室との繋がりは作っておきたいだろうし。まあ、イザベラの考えで動くのが正解だと思うわ。鬱陶しい教師と個人レッスン程、キツイものはないからね。じゃあ、おやすみ。また、明日ね」
ララアは私の頬に口づけをすると部屋に戻っていった。
私はサイラス様が私の為に考えてくれた案を、突っぱねてしまったことに気がついた。
私は明日からの予定の変更を伝えにサイラス様の部屋に向かった。
「寝巻きでどうしたのですか?とにかく、部屋に入ってください」
サイラス様の部屋に向かう途中の廊下で、ライアン王子殿下に捕まり彼の部屋に引き込まれた。
「すみません。私、つい自分の家みたいな気持ちになってしまいました」
「驚きました。ララアの影響ですね。彼女は寝巻きで王宮をうろうろしたりしてますから。彼女は外で気を張ってる分、王宮ではかなり気を抜いてますよね」
「今後はこのようなことがないように気をつけます」
顔が熱くなり、私は思わず真っ赤になっているだろう顔を見られたくなくて頭を下げた。
恥ずかしくなり、なんと言い訳して良いかもわからない。
誰が通るかもわからない王宮で、薄手の寝巻きでうろうろしてたなんてありえないことだ。
「兄上の部屋に夜這いに行くところだったのですか?イザベラ様、鏡を見てください。心は18歳でも、身体は12歳です」
ライアン王子が私を部屋の姿見のところに連れて行きながら、耳元で囁く。
「そのようなことは考えていません。信じてください」
「信じるも何もそのようなことしない人だと知ってますよ。イザベラ様を見ていると、揶揄いたくなってしまうのです。兄上は王室の風紀には厳しい方です、せめてガウンを羽織ってください」
ライアン王子殿下はそういうと、私に自分の着ていた白いふわふわのガウンを羽織らせてきた。
「ありがとうございます。明日から王宮でアカデミーの授業を受けるようにサイラス様からご提案頂いたのですが、そのお断りを入れようと彼の部屋に行こうと思ったのです。せめて、午前中だけでもアカデミーの授業を受けに行きたいと思います」
「ララアの息抜きである、あなたとのランチタイムを守る為ですね」
ライアン王子が私の心のうちを読んで来るので、驚いてしまう。
「私が読めるレベルの心のうちは、兄上ならあっさり見抜きますよ。兄上は初めて人を愛おしいと思うあまり、少し盲目になってますね。やることなすことイザベラ様を守りたい、愛おしいという気持ちばかりが伝わってきます。でも、私はイザベラ様はそのように守られなくても平気な存在な気がします。目的のためには優しさを捨て、冷酷な決断もできる。あなたはそんな人です」
ライアン王子が私の頬を撫でながら語ってくるので、顔が熱くなる。
「わ、私の冷酷な決断とは、サイラス様の婚約者候補に対してのことでしょうか?」
自分の声がロボットのように硬くなっているのが分かった。
彼に頬においた手を離して欲しい、私を揶揄って楽しんでいるのは分かっているのだ。
「その通りです。イザベラ様の婚約者候補を能力審査の前に、全員失格にするという提案には本当に痺れました。自分の男に手を出すなという、強い意志を感じました。私は兄上の婚約者候補を潰そうと早速調査をしました。どうしても潰せない令嬢がいるのです。実は私のアカデミーのクラスメートです。イザベラ様、自ら彼女の弱点を見つけてくれませんか?一匹狼のような女なんです。他者との関係が薄い分、トラブルの噂がありません。」
「一匹狼はこちらの世界でもある言葉なのですね」
「アライグマはいませんよ。イザベラ様」
相変わらずライアン王子が私を揶揄うように、誘惑するような目で言ってくる。
「あの、私、怒ります。今から怒ります。私を揶揄わないでください。そういう免疫がなくて、辛いです」
大好きなサイラス様と似ている分、私は彼の前では緊張してしまう。
「前世では不美人だったのですか? 男は大抵見た目重視ですよね。美人だとたくさん揶揄われて損ですね。男は美人をいじりたくてしょうがない生き物です。ちなみに私は女性の外見はどうでも良いと思っています。イザベラ様の反応が面白いだけです。イザベラ様は今美しい少女で残念ですね。私の揶揄いに慣れていた方が今後楽ですよ」
今まで見たライアン王子は確かに着飾って寄ってくる女性にも形式的に接していた。
「女性の外見はどうでも良いと思っていても、ライアン王子のパートナーになりながら、がっかりとか言ってくる女性とは結ばれたくないですね。あなたはそのようなことを言われて良い方ではないです」
私がそう言うと、彼は私の頬に添えていた手を引いた。
夜、私のところに来たララアの言葉に戸惑ってしまう。
「ララア、私はそんな優秀ではないです。少し長時間の授業に疲れてしまっただけです」
「確かに、午後までの授業は疲れるよね。明日から、イザベラのお弁当は無しなのか寂しくなるわ」
ララアと私はお昼は外で私のお弁当を食べていた。
私がいなくなったら、ララアは学食に行くのだろうか。
お昼のひと時は彼女にとっても息抜きだったはずだ。
「私、午前中だけ授業を受けて、ララアとお弁当を食べて帰ります。王宮まで教師の方に来ていただのは忍びないので、午後の授業は王宮で自習できないか聞いてみようと思います。私の体力がなくてご心配かけて申し訳ございません。体力をつけて午後まで一緒に授業を受けられるように頑張ります」
「本当に?嬉しい。でも、教師は喜んで王宮に来ると思うけれどね、王室との繋がりは作っておきたいだろうし。まあ、イザベラの考えで動くのが正解だと思うわ。鬱陶しい教師と個人レッスン程、キツイものはないからね。じゃあ、おやすみ。また、明日ね」
ララアは私の頬に口づけをすると部屋に戻っていった。
私はサイラス様が私の為に考えてくれた案を、突っぱねてしまったことに気がついた。
私は明日からの予定の変更を伝えにサイラス様の部屋に向かった。
「寝巻きでどうしたのですか?とにかく、部屋に入ってください」
サイラス様の部屋に向かう途中の廊下で、ライアン王子殿下に捕まり彼の部屋に引き込まれた。
「すみません。私、つい自分の家みたいな気持ちになってしまいました」
「驚きました。ララアの影響ですね。彼女は寝巻きで王宮をうろうろしたりしてますから。彼女は外で気を張ってる分、王宮ではかなり気を抜いてますよね」
「今後はこのようなことがないように気をつけます」
顔が熱くなり、私は思わず真っ赤になっているだろう顔を見られたくなくて頭を下げた。
恥ずかしくなり、なんと言い訳して良いかもわからない。
誰が通るかもわからない王宮で、薄手の寝巻きでうろうろしてたなんてありえないことだ。
「兄上の部屋に夜這いに行くところだったのですか?イザベラ様、鏡を見てください。心は18歳でも、身体は12歳です」
ライアン王子が私を部屋の姿見のところに連れて行きながら、耳元で囁く。
「そのようなことは考えていません。信じてください」
「信じるも何もそのようなことしない人だと知ってますよ。イザベラ様を見ていると、揶揄いたくなってしまうのです。兄上は王室の風紀には厳しい方です、せめてガウンを羽織ってください」
ライアン王子殿下はそういうと、私に自分の着ていた白いふわふわのガウンを羽織らせてきた。
「ありがとうございます。明日から王宮でアカデミーの授業を受けるようにサイラス様からご提案頂いたのですが、そのお断りを入れようと彼の部屋に行こうと思ったのです。せめて、午前中だけでもアカデミーの授業を受けに行きたいと思います」
「ララアの息抜きである、あなたとのランチタイムを守る為ですね」
ライアン王子が私の心のうちを読んで来るので、驚いてしまう。
「私が読めるレベルの心のうちは、兄上ならあっさり見抜きますよ。兄上は初めて人を愛おしいと思うあまり、少し盲目になってますね。やることなすことイザベラ様を守りたい、愛おしいという気持ちばかりが伝わってきます。でも、私はイザベラ様はそのように守られなくても平気な存在な気がします。目的のためには優しさを捨て、冷酷な決断もできる。あなたはそんな人です」
ライアン王子が私の頬を撫でながら語ってくるので、顔が熱くなる。
「わ、私の冷酷な決断とは、サイラス様の婚約者候補に対してのことでしょうか?」
自分の声がロボットのように硬くなっているのが分かった。
彼に頬においた手を離して欲しい、私を揶揄って楽しんでいるのは分かっているのだ。
「その通りです。イザベラ様の婚約者候補を能力審査の前に、全員失格にするという提案には本当に痺れました。自分の男に手を出すなという、強い意志を感じました。私は兄上の婚約者候補を潰そうと早速調査をしました。どうしても潰せない令嬢がいるのです。実は私のアカデミーのクラスメートです。イザベラ様、自ら彼女の弱点を見つけてくれませんか?一匹狼のような女なんです。他者との関係が薄い分、トラブルの噂がありません。」
「一匹狼はこちらの世界でもある言葉なのですね」
「アライグマはいませんよ。イザベラ様」
相変わらずライアン王子が私を揶揄うように、誘惑するような目で言ってくる。
「あの、私、怒ります。今から怒ります。私を揶揄わないでください。そういう免疫がなくて、辛いです」
大好きなサイラス様と似ている分、私は彼の前では緊張してしまう。
「前世では不美人だったのですか? 男は大抵見た目重視ですよね。美人だとたくさん揶揄われて損ですね。男は美人をいじりたくてしょうがない生き物です。ちなみに私は女性の外見はどうでも良いと思っています。イザベラ様の反応が面白いだけです。イザベラ様は今美しい少女で残念ですね。私の揶揄いに慣れていた方が今後楽ですよ」
今まで見たライアン王子は確かに着飾って寄ってくる女性にも形式的に接していた。
「女性の外見はどうでも良いと思っていても、ライアン王子のパートナーになりながら、がっかりとか言ってくる女性とは結ばれたくないですね。あなたはそのようなことを言われて良い方ではないです」
私がそう言うと、彼は私の頬に添えていた手を引いた。