私は調べていた。
世の中にはドッグランという場所がある。
なら、あってもいいんじゃないか。
ラビットラン。
「あっ……たけど、遠い」
スマートフォンで検索して見つけたけど、残念ながら車持ちじゃないと厳しいところだった。
山でいつも駆け回っていたみこちゃんだから、たまには思い切り走りたいはず。だから、せめてウサギが走れる場所をと思ったんだけど。
「おっ」
近場でラビットラン発見! ラビットランというか、小動物ラン? ウサギ以外にモルモットもOKだって。さっきのところより小さそうだけど、近いから電車でいつでも行かれそう。
明日土曜日だからみこちゃんを誘ってみよう。
さて、私もそろそろ寝ようかな。
「げ、日付跨いじゃった」
急いでベッドの中へ。明日は朝から張り切るぞ!
「戸締りよし。行こうか」
「うん」
翌朝、さっそくみこちゃんに提案したところ乗り気だったので、勢いに任せて予約ボタンを押した。当日予約OKなところでよかった。
今回の目的はラビットランなので、ウサギになって用意していたキャリーバッグに入ってもらう。
「ちょっと狭いけどごめんね。着いたらすぐ外に出られるから」
うさみこちゃんがキャリーから顔を覗かせる。か、かわ~~~ッ。
本物のウサギみたいに急に走り出したりすることはないから、電車以外は抱っこで移動したいところだけど、心配されたり中には嫌がる人がいるかもしれない。窮屈な思いをさせちゃうのを申し訳ないと思いつつ、私は速足で駅を目指した。
電車で二十数分、わりと近いところにラビットランはあった。繁華街から離れた駅なので、降りる人も少ない。キャリーバッグを持って出たら、私の前を歩いていった人もキャリーを持っていた。絶対お仲間だ!
駅から徒歩で七分って書いてあったのでお散歩がてらのんびり歩く。遠くに山も見えるし、良いところ。家から三十分くらいでこんなところがあったんだ。
今住んでいるところには就職で引っ越してきたから、あまり近場の探索してなくて知らなかった。
「お~見えてきたよ」
うさみこちゃんに伝えると、外を覗いて鼻をひくひくさせていた。天使。
もふもふランと書かれた看板を通り過ぎ、受付を済ます。とりあえず初めてなので様子見で一時間。キャリーを荷物置き場に置いて、うさみこちゃんを抱っこする。
「みこちゃん、お待たせ。ラビットランだよ」
黒くて短めの耳が上下にひょこひょこ動く。さっそく中に入った私の視界いっぱいに天国が広がった。
「うわぁ……!」
あちこちウサギちゃんが飛び跳ねている。モルモット近くで初めて見た。今日はみこちゃん合わせて五組。多分入場制限があるからこれ以上あまり増えないはず。
「下ろすよ~」
しゃがんで地面にそっと下ろす。うさみこちゃんは一歩、二歩と慎重に進んだ後、一気に駆け出した。
「わはは!」
その光景が可愛くて面白くて思わず笑っちゃった。やばい、変な人だ。近くにいた人に会釈する。すみません。
その間にうさみこちゃんはウサギ用の跳び箱を華麗にジャンプしていた。しまった、シャッターチャンスが!
二度とチャンスを逃さないよう、私は一眼レフを構えた。そう、ついに買ったのだ。みこちゃんの可愛さを追求するために一眼レフを。
望遠レンズ付きのにしたけど十万円しなかったからリーズナブルな方だと思う。試しに家でうさみこちゃんを撮ってみたけど、素人なりに可愛く撮れた。多分、圧倒的に被写体が良いから。今度景色も撮って練習しよう。今のところ千パーセントみこちゃんズ。
「上手~!」
トンネルを潜ったり、平均台を歩いたりするうさみこちゃんを褒めつつ撮りまくる。たまにスマートフォンでも撮る。待ち受けにするんだ。
「美人ちゃんッ天使ッ目線お願いします!」
次々に癒しデータを増やしていると、後ろの方から私と同じような科白が聞こえてきた。振り返ると、同じく一眼レフを連射しているお姉さま。やっぱり、可愛い家族がいると考えることが一緒なんですね。
一時間たっぷり遊んで疲れたうさみこちゃんが自分からキャリーに入ると、隣で片付けをしていたスタッフさんにイイコだとはちゃめちゃに褒められた。いや~それほどでもあります。
「有難う御座いました」
「またのお越しをお待ちしております」
「はい、是非また遊びに来ます」
ほくほく顔でラビットランを後にする。みこちゃんに喜んでもらおうと企画したことだけど、すっかりこちらが癒されちゃった。楽しかったみたいだし、月一くらいで来られたらいいな。
「いっぱい走ってお腹空いただろうから、お昼は食べ放題に行こうか」
キャリーバッグを抱きしめて提案したら、うさみこちゃんが狭いキャリー内をぐるぐる回ってはしゃいでた。みこちゃんは今日も天使でした。
世の中にはドッグランという場所がある。
なら、あってもいいんじゃないか。
ラビットラン。
「あっ……たけど、遠い」
スマートフォンで検索して見つけたけど、残念ながら車持ちじゃないと厳しいところだった。
山でいつも駆け回っていたみこちゃんだから、たまには思い切り走りたいはず。だから、せめてウサギが走れる場所をと思ったんだけど。
「おっ」
近場でラビットラン発見! ラビットランというか、小動物ラン? ウサギ以外にモルモットもOKだって。さっきのところより小さそうだけど、近いから電車でいつでも行かれそう。
明日土曜日だからみこちゃんを誘ってみよう。
さて、私もそろそろ寝ようかな。
「げ、日付跨いじゃった」
急いでベッドの中へ。明日は朝から張り切るぞ!
「戸締りよし。行こうか」
「うん」
翌朝、さっそくみこちゃんに提案したところ乗り気だったので、勢いに任せて予約ボタンを押した。当日予約OKなところでよかった。
今回の目的はラビットランなので、ウサギになって用意していたキャリーバッグに入ってもらう。
「ちょっと狭いけどごめんね。着いたらすぐ外に出られるから」
うさみこちゃんがキャリーから顔を覗かせる。か、かわ~~~ッ。
本物のウサギみたいに急に走り出したりすることはないから、電車以外は抱っこで移動したいところだけど、心配されたり中には嫌がる人がいるかもしれない。窮屈な思いをさせちゃうのを申し訳ないと思いつつ、私は速足で駅を目指した。
電車で二十数分、わりと近いところにラビットランはあった。繁華街から離れた駅なので、降りる人も少ない。キャリーバッグを持って出たら、私の前を歩いていった人もキャリーを持っていた。絶対お仲間だ!
駅から徒歩で七分って書いてあったのでお散歩がてらのんびり歩く。遠くに山も見えるし、良いところ。家から三十分くらいでこんなところがあったんだ。
今住んでいるところには就職で引っ越してきたから、あまり近場の探索してなくて知らなかった。
「お~見えてきたよ」
うさみこちゃんに伝えると、外を覗いて鼻をひくひくさせていた。天使。
もふもふランと書かれた看板を通り過ぎ、受付を済ます。とりあえず初めてなので様子見で一時間。キャリーを荷物置き場に置いて、うさみこちゃんを抱っこする。
「みこちゃん、お待たせ。ラビットランだよ」
黒くて短めの耳が上下にひょこひょこ動く。さっそく中に入った私の視界いっぱいに天国が広がった。
「うわぁ……!」
あちこちウサギちゃんが飛び跳ねている。モルモット近くで初めて見た。今日はみこちゃん合わせて五組。多分入場制限があるからこれ以上あまり増えないはず。
「下ろすよ~」
しゃがんで地面にそっと下ろす。うさみこちゃんは一歩、二歩と慎重に進んだ後、一気に駆け出した。
「わはは!」
その光景が可愛くて面白くて思わず笑っちゃった。やばい、変な人だ。近くにいた人に会釈する。すみません。
その間にうさみこちゃんはウサギ用の跳び箱を華麗にジャンプしていた。しまった、シャッターチャンスが!
二度とチャンスを逃さないよう、私は一眼レフを構えた。そう、ついに買ったのだ。みこちゃんの可愛さを追求するために一眼レフを。
望遠レンズ付きのにしたけど十万円しなかったからリーズナブルな方だと思う。試しに家でうさみこちゃんを撮ってみたけど、素人なりに可愛く撮れた。多分、圧倒的に被写体が良いから。今度景色も撮って練習しよう。今のところ千パーセントみこちゃんズ。
「上手~!」
トンネルを潜ったり、平均台を歩いたりするうさみこちゃんを褒めつつ撮りまくる。たまにスマートフォンでも撮る。待ち受けにするんだ。
「美人ちゃんッ天使ッ目線お願いします!」
次々に癒しデータを増やしていると、後ろの方から私と同じような科白が聞こえてきた。振り返ると、同じく一眼レフを連射しているお姉さま。やっぱり、可愛い家族がいると考えることが一緒なんですね。
一時間たっぷり遊んで疲れたうさみこちゃんが自分からキャリーに入ると、隣で片付けをしていたスタッフさんにイイコだとはちゃめちゃに褒められた。いや~それほどでもあります。
「有難う御座いました」
「またのお越しをお待ちしております」
「はい、是非また遊びに来ます」
ほくほく顔でラビットランを後にする。みこちゃんに喜んでもらおうと企画したことだけど、すっかりこちらが癒されちゃった。楽しかったみたいだし、月一くらいで来られたらいいな。
「いっぱい走ってお腹空いただろうから、お昼は食べ放題に行こうか」
キャリーバッグを抱きしめて提案したら、うさみこちゃんが狭いキャリー内をぐるぐる回ってはしゃいでた。みこちゃんは今日も天使でした。