「……はッ」
そう思っていたら本当に寝落ちしていた。時間は……十二時。寝てたのはちょっとだけか。しっかりブランケット二枚出していて寝る気満々でしたやん先ほどまでの私。
「朝……?」
「お昼だよ~」
隣でぽやぽや顔でみこちゃんも起き出した。
「お昼ご飯どうしよ」
引っ越しで冷蔵庫使えないから、昨日までに空っぽにしちゃったんだよね。となったら外に出るしかない。
「探索兼ねて外食しよっか」
「する」
すくっと立ち上がったみこちゃんとともに私も立つ。お昼だって気付いたら急にお腹が減ってきた。何食べよう。和洋中何でも来い。
薄手の上着を羽織り、スマートフォンとお財布を持ってマンションを出る。管理人さんがいたので挨拶をする。七十歳くらいのおじいさんで、優しそうだった。よかった。後で挨拶の菓子折り渡そう。
「どこがいいかな~」
駅前まで行けば知っているお店が多いので、まずはマンションの近所を探索する。チェーン店じゃなくて個人がやっていそうなカフェとイタリアンを発見した。どちらも美味しそう。
「ピザとサンドイッチどっちがいい?」
「ピザがいい」
「オッケー」
山ではウサギでいることが多かったらしく、ここに来た頃はまだ人間の食べ物をあまり食べ慣れていなかったみこちゃんだけど、すっかりご飯大好きな子になった。学校での給食でいろいろな種類のご飯を食べたおかげだと思う。
好きな給食のメニューはグラタンときなこ揚げパンだって。私も好き。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」
お昼時だから満席に近かったけど、ぎりぎり待たずに入れた。
初めてのお店なので二人してメニューを凝視する。ピザ以外にもパスタ、サラダやスイーツがある。どうしようかな。私のお腹とお財布が許してくれるのなら全部食べたい。
「みこちゃん、お口が可愛く開いちゃってる」
「はッ」
「私も開きそうだよ。写真だけで美味しそうだもんね」
「うん」
みこちゃんも私と同じ状態みたいで安心した。食いしん坊二人、せっかくの外食、がっつり行っちゃいましょう。
「食べたいのいくつか頼んで分けっこしよっか」
提案すると、みこちゃんがこくんと頷いた。可愛!
「どれがいい? みこちゃんが選んでいいよ、私は全部食べたいくらいだから何でも大歓迎」
「ううん……そしたら……これと、これ」
みこちゃんが指差したのは、マルゲリータとディアボラだった。どっちもイイネ!
「美味しそうだね。じゃあ、あとサラダ一つ頼もうか」
店員さんに注文してピザを待つ。窓に近い席だから外を眺めてみる。たまに通行人が通る程度の落ち着いた場所だと思う。
「お待たせしました」
十分弱でピザとサラダが到着。待ってました、美味しそう~~~ッ。
「いただきます」
手を合わせて、まずは最初の一口。
私はマルゲリータ、みこちゃんはディアボラを。
「うわ~、チーズとろっとろ」
「お肉美味しい」
もう十三時近かったのもあり、お腹が減り過ぎてお皿のピザがすごい勢いで無くなっていく。美味しい、美味し過ぎる。こんなお店が近所にあるなんて幸せ。
みこちゃんも七歳とは思えないスピードで大人一人分をあっという間に平らげた。
「もっと食べる?」
「平気。美味しかった」
「ね!」
会計をしてお店を出る。マンションまで歩いていると、みこちゃんが服を後ろに引っ張っていった。
「見て、お腹ぽんぽこりん」
「んふッッほんとだ」
わざわざ服を引っ張ってお腹が出ていることを報告してくれる天使ちゃんに、気持ち悪い笑い声を出してしまう私。幸せってこういうことを言うんだね。
まだ見慣れないマンションに帰る。そうだ、管理人さん。
急いで部屋に入り、挨拶の菓子折りを持ってエントランスへ。
「管理人さん。ちょっとしたものですが、よかったら召し上がってください」
「おや、これはわざわざ有難う御座います。頂きます」
管理人さんは笑顔で受け取ってくれた。お辞儀をしてみこちゃんと部屋に戻る。
今度は三つ持って、隣の部屋へ。角部屋だからお隣さんは一か所。インターフォンを押すと、私より少し年上の女性が出てきた。
「隣に引っ越してきた川吉です。よろしくお願いします」
菓子折りを渡すと、女性が両手を彷徨わせながら受け取った。
「あ、あっ手塚、です。よろしく、です」
「じゃあ」そう言ってドアが閉められた。忙しいところを挨拶しちゃったかな。申し訳ない。今度朝とか会えたら改めて挨拶してみよう。
上の階は留守だったのでドアノブに菓子折りをかけ、下の階へ行った。下の住民はファミリーだった。
「うち赤ちゃんいるからうるさいけど、ごめんなさいね。お嬢ちゃんは何歳かな?」
「みこ、七歳」
「あら~小学生、楽しい時期ね」
お話好きのお母さんみたいで、みこちゃんに沢山話しかけてくれた。
「機会があったらまたお話しにいらして」
「有難う御座います。その時は是非」
赤ちゃんに手を振って後にする。
「赤ちゃん可愛かったね」
「うん。おてて、小さかった。こんなしかなかった」
みこちゃんが親指と人差し指で大きさを表してくれる。それだと一センチくらいしかないね。可愛いね。
山でもここでもみこちゃんが一番小さいから、赤ちゃんと出会えてとても嬉しかったみたい。
新しい環境になったし、周りの人も良い人そう。これからもっと楽しくなるぞ。
そう思っていたら本当に寝落ちしていた。時間は……十二時。寝てたのはちょっとだけか。しっかりブランケット二枚出していて寝る気満々でしたやん先ほどまでの私。
「朝……?」
「お昼だよ~」
隣でぽやぽや顔でみこちゃんも起き出した。
「お昼ご飯どうしよ」
引っ越しで冷蔵庫使えないから、昨日までに空っぽにしちゃったんだよね。となったら外に出るしかない。
「探索兼ねて外食しよっか」
「する」
すくっと立ち上がったみこちゃんとともに私も立つ。お昼だって気付いたら急にお腹が減ってきた。何食べよう。和洋中何でも来い。
薄手の上着を羽織り、スマートフォンとお財布を持ってマンションを出る。管理人さんがいたので挨拶をする。七十歳くらいのおじいさんで、優しそうだった。よかった。後で挨拶の菓子折り渡そう。
「どこがいいかな~」
駅前まで行けば知っているお店が多いので、まずはマンションの近所を探索する。チェーン店じゃなくて個人がやっていそうなカフェとイタリアンを発見した。どちらも美味しそう。
「ピザとサンドイッチどっちがいい?」
「ピザがいい」
「オッケー」
山ではウサギでいることが多かったらしく、ここに来た頃はまだ人間の食べ物をあまり食べ慣れていなかったみこちゃんだけど、すっかりご飯大好きな子になった。学校での給食でいろいろな種類のご飯を食べたおかげだと思う。
好きな給食のメニューはグラタンときなこ揚げパンだって。私も好き。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」
お昼時だから満席に近かったけど、ぎりぎり待たずに入れた。
初めてのお店なので二人してメニューを凝視する。ピザ以外にもパスタ、サラダやスイーツがある。どうしようかな。私のお腹とお財布が許してくれるのなら全部食べたい。
「みこちゃん、お口が可愛く開いちゃってる」
「はッ」
「私も開きそうだよ。写真だけで美味しそうだもんね」
「うん」
みこちゃんも私と同じ状態みたいで安心した。食いしん坊二人、せっかくの外食、がっつり行っちゃいましょう。
「食べたいのいくつか頼んで分けっこしよっか」
提案すると、みこちゃんがこくんと頷いた。可愛!
「どれがいい? みこちゃんが選んでいいよ、私は全部食べたいくらいだから何でも大歓迎」
「ううん……そしたら……これと、これ」
みこちゃんが指差したのは、マルゲリータとディアボラだった。どっちもイイネ!
「美味しそうだね。じゃあ、あとサラダ一つ頼もうか」
店員さんに注文してピザを待つ。窓に近い席だから外を眺めてみる。たまに通行人が通る程度の落ち着いた場所だと思う。
「お待たせしました」
十分弱でピザとサラダが到着。待ってました、美味しそう~~~ッ。
「いただきます」
手を合わせて、まずは最初の一口。
私はマルゲリータ、みこちゃんはディアボラを。
「うわ~、チーズとろっとろ」
「お肉美味しい」
もう十三時近かったのもあり、お腹が減り過ぎてお皿のピザがすごい勢いで無くなっていく。美味しい、美味し過ぎる。こんなお店が近所にあるなんて幸せ。
みこちゃんも七歳とは思えないスピードで大人一人分をあっという間に平らげた。
「もっと食べる?」
「平気。美味しかった」
「ね!」
会計をしてお店を出る。マンションまで歩いていると、みこちゃんが服を後ろに引っ張っていった。
「見て、お腹ぽんぽこりん」
「んふッッほんとだ」
わざわざ服を引っ張ってお腹が出ていることを報告してくれる天使ちゃんに、気持ち悪い笑い声を出してしまう私。幸せってこういうことを言うんだね。
まだ見慣れないマンションに帰る。そうだ、管理人さん。
急いで部屋に入り、挨拶の菓子折りを持ってエントランスへ。
「管理人さん。ちょっとしたものですが、よかったら召し上がってください」
「おや、これはわざわざ有難う御座います。頂きます」
管理人さんは笑顔で受け取ってくれた。お辞儀をしてみこちゃんと部屋に戻る。
今度は三つ持って、隣の部屋へ。角部屋だからお隣さんは一か所。インターフォンを押すと、私より少し年上の女性が出てきた。
「隣に引っ越してきた川吉です。よろしくお願いします」
菓子折りを渡すと、女性が両手を彷徨わせながら受け取った。
「あ、あっ手塚、です。よろしく、です」
「じゃあ」そう言ってドアが閉められた。忙しいところを挨拶しちゃったかな。申し訳ない。今度朝とか会えたら改めて挨拶してみよう。
上の階は留守だったのでドアノブに菓子折りをかけ、下の階へ行った。下の住民はファミリーだった。
「うち赤ちゃんいるからうるさいけど、ごめんなさいね。お嬢ちゃんは何歳かな?」
「みこ、七歳」
「あら~小学生、楽しい時期ね」
お話好きのお母さんみたいで、みこちゃんに沢山話しかけてくれた。
「機会があったらまたお話しにいらして」
「有難う御座います。その時は是非」
赤ちゃんに手を振って後にする。
「赤ちゃん可愛かったね」
「うん。おてて、小さかった。こんなしかなかった」
みこちゃんが親指と人差し指で大きさを表してくれる。それだと一センチくらいしかないね。可愛いね。
山でもここでもみこちゃんが一番小さいから、赤ちゃんと出会えてとても嬉しかったみたい。
新しい環境になったし、周りの人も良い人そう。これからもっと楽しくなるぞ。