みこちゃんが小学校に通い出して最初の週末、ついに引っ越しの日です。
引っ越し業者は藤さんが手配してくれていて、月曜日に業者さんの方から連絡をもらっていた。
平日五日間と土曜日必死に荷造りをしてやってきた日曜日朝九時、マンションの前に大きなトラックが停まる。おお、ドキドキしてきた。
前回の引っ越しは親主導でやってくれたから、余計に思う。親っていう存在本当に有難かった。今回は私が親代わりになってみこちゃんと新たな部屋へ旅立つぞ。
「お早う御座います。全部荷物載せてしまって宜しいですか?」
「はい、宜しくお願いします」
朝までかかったけど、ちゃんと全荷物を詰められた。私、頑張った。
というか、ベッドや小さめ洋服タンスはそのまま、さらにクローゼットに入れていた洋服もハンガーのままで運んでくれるらしく、荷物整理はかなり楽だった。もしかして、お高い引っ越しコースだったりして。
特に手伝うこともなく、荷物が移動される様を見つめていたら、すっかり部屋は私たち以外何も無くなった。ワンルームでも物が無いと広く感じる。
「それでは、後ほどまた宜しくお願い致します」
業者さんがぺこりと頭を下げて、荷物が入ったトラックが出発した。
「さて、私たちも行こうか」
「うん」
マンションの管理人さんに鍵を返して私たちもマンションを出る。数年間お世話になりました。
バスを待つより徒歩の方が早いから、二人で新しいマンションを目指して歩いていく。
十分程かかって辿り着くと、トラックはもう停まっていた。
「お待たせしました」
「いえ、私たちもちょうど着いたところです」
なんか初デートみたいな会話をしてしまった。いや、待たせちゃったんだからお待たせって言うしかないよね。気遣い出来る業者さん素敵。
荷物を今度は入れてもらう。二階だしエレベーターがあるからスムーズ。ベッドの搬入はどうするのかと思っていたら、エレベーターに収まったので玄関から搬入出来た。素晴らしい。
もしかしてベランダから入れるのではと予想していたけど、シングルベッド意外といけるのね。ファミリー向けのオートロックマンションだから、エレベーターが広めなのもラッキーだった。
「それでは失礼いたします」
「有難う御座いました」
こんなに大仕事をしたのに、疲れを感じさせず爽やかに去っていく業者さんにお辞儀する。本当にお世話になりました。
さて、ここまでは業者さんにお願いしたから楽ちんだったけど、今からが本番。
荷解きです。
「よし、みこちゃんやるよ」
「うん」
私もみこちゃんもポニーテールにしてやる気は十分。さっそく手前から段ボールを開けて言った。
中に何は入っているのか段ボールに油性ペンでどでかく書いてあるので、それを各場所に移動させつつ、荷物を出しては仕舞うを繰り返す。
みこちゃんは自分の物を、私はそれ以外を担当。まずはキッチンから片付けていった。
ちょっと前まではおちゃわんが一個、お皿が数枚の寂しい食器棚だったけど、今はみこちゃんの分も加わって賑やかになった。子ども茶碗が可愛いね。
キッチンが終わってリビングから顔を覗かせると、みこちゃんが学習机の上に一生懸命教科書類を置いていた。ランドセルも出して机の横に引っかけている。ちゃんと自分のこと出来る一年生えらい! 私も荷解き頑張る!
始めて三十分、同じ部屋で私の荷物を整理していたら、みこちゃんが立ち上がった。
「奈々ちゃん、みこ終わった。他にやることある?」
「わ、早い。すごいね! じゃあ、リビングにある段ボールの整理してもらっていいかな。あと一箱で、本が入っているから本棚に並べてみて。順番は気にしなくていいから」
「分かった」
とてとて部屋を出ていくみこちゃんに静かに感動する。
自分の分が終わったのに、私の残っている分を手伝ってくれるなんてイイコ過ぎて気絶するかと思った。嬉し過ぎて寿命二年延びたわ。
そしてまた三十分して、ようやく荷解きが終了した。まだ二箱あるけど、これは普段使わないものなので段ボールのままクローゼットへ。多分、次の引っ越しまで開けないくらい使う頻度少ないけど、捨てるのもあれなのでいちおう取っておく。
「疲れたね~。手伝ってくれてありがとう!」
「ううん、みこの少なかったから」
「でもありがと。ちょっと寝っ転がろうか」
段ボールが無くなり広くなったリビングでごろんと転がる。みこちゃんの返事の前に転がっちゃったけど、続いてころんとしてくれた。
「ウサギちゃんになっても平気だよ」
「なる」
ぽふん。
朝から人の姿で重労働して疲れただろうから言ってみたら、すぐにみこちゃんはウサギになった。やっぱり疲れてるのかな。
「みこちゃんがいてくれて助かったよ」
頭を優しくなでなでして話しかけたら、目を細めて丸くなった。はわわ、はわわわわ。
引っ越しで買い替えたラグもちょうどいい具合だし、このままお昼寝したい気分。
引っ越し業者は藤さんが手配してくれていて、月曜日に業者さんの方から連絡をもらっていた。
平日五日間と土曜日必死に荷造りをしてやってきた日曜日朝九時、マンションの前に大きなトラックが停まる。おお、ドキドキしてきた。
前回の引っ越しは親主導でやってくれたから、余計に思う。親っていう存在本当に有難かった。今回は私が親代わりになってみこちゃんと新たな部屋へ旅立つぞ。
「お早う御座います。全部荷物載せてしまって宜しいですか?」
「はい、宜しくお願いします」
朝までかかったけど、ちゃんと全荷物を詰められた。私、頑張った。
というか、ベッドや小さめ洋服タンスはそのまま、さらにクローゼットに入れていた洋服もハンガーのままで運んでくれるらしく、荷物整理はかなり楽だった。もしかして、お高い引っ越しコースだったりして。
特に手伝うこともなく、荷物が移動される様を見つめていたら、すっかり部屋は私たち以外何も無くなった。ワンルームでも物が無いと広く感じる。
「それでは、後ほどまた宜しくお願い致します」
業者さんがぺこりと頭を下げて、荷物が入ったトラックが出発した。
「さて、私たちも行こうか」
「うん」
マンションの管理人さんに鍵を返して私たちもマンションを出る。数年間お世話になりました。
バスを待つより徒歩の方が早いから、二人で新しいマンションを目指して歩いていく。
十分程かかって辿り着くと、トラックはもう停まっていた。
「お待たせしました」
「いえ、私たちもちょうど着いたところです」
なんか初デートみたいな会話をしてしまった。いや、待たせちゃったんだからお待たせって言うしかないよね。気遣い出来る業者さん素敵。
荷物を今度は入れてもらう。二階だしエレベーターがあるからスムーズ。ベッドの搬入はどうするのかと思っていたら、エレベーターに収まったので玄関から搬入出来た。素晴らしい。
もしかしてベランダから入れるのではと予想していたけど、シングルベッド意外といけるのね。ファミリー向けのオートロックマンションだから、エレベーターが広めなのもラッキーだった。
「それでは失礼いたします」
「有難う御座いました」
こんなに大仕事をしたのに、疲れを感じさせず爽やかに去っていく業者さんにお辞儀する。本当にお世話になりました。
さて、ここまでは業者さんにお願いしたから楽ちんだったけど、今からが本番。
荷解きです。
「よし、みこちゃんやるよ」
「うん」
私もみこちゃんもポニーテールにしてやる気は十分。さっそく手前から段ボールを開けて言った。
中に何は入っているのか段ボールに油性ペンでどでかく書いてあるので、それを各場所に移動させつつ、荷物を出しては仕舞うを繰り返す。
みこちゃんは自分の物を、私はそれ以外を担当。まずはキッチンから片付けていった。
ちょっと前まではおちゃわんが一個、お皿が数枚の寂しい食器棚だったけど、今はみこちゃんの分も加わって賑やかになった。子ども茶碗が可愛いね。
キッチンが終わってリビングから顔を覗かせると、みこちゃんが学習机の上に一生懸命教科書類を置いていた。ランドセルも出して机の横に引っかけている。ちゃんと自分のこと出来る一年生えらい! 私も荷解き頑張る!
始めて三十分、同じ部屋で私の荷物を整理していたら、みこちゃんが立ち上がった。
「奈々ちゃん、みこ終わった。他にやることある?」
「わ、早い。すごいね! じゃあ、リビングにある段ボールの整理してもらっていいかな。あと一箱で、本が入っているから本棚に並べてみて。順番は気にしなくていいから」
「分かった」
とてとて部屋を出ていくみこちゃんに静かに感動する。
自分の分が終わったのに、私の残っている分を手伝ってくれるなんてイイコ過ぎて気絶するかと思った。嬉し過ぎて寿命二年延びたわ。
そしてまた三十分して、ようやく荷解きが終了した。まだ二箱あるけど、これは普段使わないものなので段ボールのままクローゼットへ。多分、次の引っ越しまで開けないくらい使う頻度少ないけど、捨てるのもあれなのでいちおう取っておく。
「疲れたね~。手伝ってくれてありがとう!」
「ううん、みこの少なかったから」
「でもありがと。ちょっと寝っ転がろうか」
段ボールが無くなり広くなったリビングでごろんと転がる。みこちゃんの返事の前に転がっちゃったけど、続いてころんとしてくれた。
「ウサギちゃんになっても平気だよ」
「なる」
ぽふん。
朝から人の姿で重労働して疲れただろうから言ってみたら、すぐにみこちゃんはウサギになった。やっぱり疲れてるのかな。
「みこちゃんがいてくれて助かったよ」
頭を優しくなでなでして話しかけたら、目を細めて丸くなった。はわわ、はわわわわ。
引っ越しで買い替えたラグもちょうどいい具合だし、このままお昼寝したい気分。