綺紗羅を伴ってのファミレス行きに、冬馬はホクホク顔である。
昼食時の会話を思い出せば、蔵人が綺紗羅を好意的に思っていないことはすぐにも解ると思うのだが、いかんせん己の欲望に忠実な冬馬は、蔵人の気持ちなど毛の筋ほども気にかけていない。
一方の綺紗羅は、これまた無表情の仏頂面なので、何を考えているのかさっぱり判らない。
なんともテンションが上がらぬままに、三人で入ったファミレスで、冬馬はクーポンがあるからと、三人分のいちごのパフェ(特大)を注文した。
そして、心ゆくまで "映える" 写真を撮った冬馬は、いちごにクリームをたっぷり乗せてパクリパクリと食べ始める。
「そーいえばさぁ、美咲クンのママって、ホントに女優の美咲更紗なの?」
冬馬の発言に、こころなし綺紗羅の顔が強張ったように見える。
「なぜ?」
「そーいうウワサだから、僕は真実が知りたい」
「確かに、美咲更紗は、私の母だ」
綺紗羅の答えに、冬馬はパアッとテンションが上った。
「えっ、やっぱりそうなの? じゃあクオーターってのもホントなんだね! どーりでお顔も綺麗なはず…」
「綺麗ではない!」
厳しい口調で否定されて、冬馬は面食らう。
だが、蔵人はデジャヴ感を覚えただけだった。
「だって…、すごく綺麗……」
「綺麗ではないと言っている!」
綺紗羅が腰を浮かせて大声を出したために、周囲の客の視線も集まり始めた。
「トーマ、よせって。美咲も、落ち着けよ」
「はーい、反省しまーす。ごめんなさい」
冬馬が頭を下げると、綺紗羅はやや気まずそうに口の中で「いやいい」と言った。
「じゃあさぁ、旅行の話なんだけど」
そういって、冬馬はタブレットを取り出すと、行く先であるコテージの場所を地図アプリで示した。
「お泊りする場所はココ。歩いていける距離に沢があって、道具を持ってけば渓流釣りとか出来るよ」
「時期的に鮎が美味いだろうが、塩焼きで食う奴いるかな?」
「釣った魚を、その場で食べるのか?」
綺紗羅が問う。
「食べますよ〜。今回はアウトドア初心者も誘ったから、コテージでお泊りだけど、僕とクラちゃんだけでサバキャンする時もあるもんね〜」
「サバキャン?」
「僕とクラちゃんは、サバイバルキャンプが趣味なんだ。キャンプ場みたいに施設が整ってないトコ行って、テント張って…とか」
「一緒にすな。トーマはミリオタだから、そーいうのが好きなだけで、俺は付き合ってるだけ」
「ええ〜! 金が掛からない遊びだからって、クラちゃんも喜んで付いてくるじゃんか!」
「金が掛からないのは、大事なポイントだろうがっ」
顔を赤らめながら、蔵人は抗議した。
「はいはい、クラちゃんのそれは分かったから」
「なぜ "クラちゃん" なんだ?」
綺紗羅の問いに、冬馬はニッと笑う。
「そりゃ、クラちゃんのフルネームが "周防蔵人" だからね。美咲クンなら…、さしずめサラちゃん?」
「距離ナシすぎだろ」
「いや、それでいい。私もトーマと呼んでいいだろうか?」
「全然オッケー! てか、やっぱもう旧知の友じゃん!」
冬馬は、綺紗羅と懇意になったことを手放しで喜んだ。
昼食時の会話を思い出せば、蔵人が綺紗羅を好意的に思っていないことはすぐにも解ると思うのだが、いかんせん己の欲望に忠実な冬馬は、蔵人の気持ちなど毛の筋ほども気にかけていない。
一方の綺紗羅は、これまた無表情の仏頂面なので、何を考えているのかさっぱり判らない。
なんともテンションが上がらぬままに、三人で入ったファミレスで、冬馬はクーポンがあるからと、三人分のいちごのパフェ(特大)を注文した。
そして、心ゆくまで "映える" 写真を撮った冬馬は、いちごにクリームをたっぷり乗せてパクリパクリと食べ始める。
「そーいえばさぁ、美咲クンのママって、ホントに女優の美咲更紗なの?」
冬馬の発言に、こころなし綺紗羅の顔が強張ったように見える。
「なぜ?」
「そーいうウワサだから、僕は真実が知りたい」
「確かに、美咲更紗は、私の母だ」
綺紗羅の答えに、冬馬はパアッとテンションが上った。
「えっ、やっぱりそうなの? じゃあクオーターってのもホントなんだね! どーりでお顔も綺麗なはず…」
「綺麗ではない!」
厳しい口調で否定されて、冬馬は面食らう。
だが、蔵人はデジャヴ感を覚えただけだった。
「だって…、すごく綺麗……」
「綺麗ではないと言っている!」
綺紗羅が腰を浮かせて大声を出したために、周囲の客の視線も集まり始めた。
「トーマ、よせって。美咲も、落ち着けよ」
「はーい、反省しまーす。ごめんなさい」
冬馬が頭を下げると、綺紗羅はやや気まずそうに口の中で「いやいい」と言った。
「じゃあさぁ、旅行の話なんだけど」
そういって、冬馬はタブレットを取り出すと、行く先であるコテージの場所を地図アプリで示した。
「お泊りする場所はココ。歩いていける距離に沢があって、道具を持ってけば渓流釣りとか出来るよ」
「時期的に鮎が美味いだろうが、塩焼きで食う奴いるかな?」
「釣った魚を、その場で食べるのか?」
綺紗羅が問う。
「食べますよ〜。今回はアウトドア初心者も誘ったから、コテージでお泊りだけど、僕とクラちゃんだけでサバキャンする時もあるもんね〜」
「サバキャン?」
「僕とクラちゃんは、サバイバルキャンプが趣味なんだ。キャンプ場みたいに施設が整ってないトコ行って、テント張って…とか」
「一緒にすな。トーマはミリオタだから、そーいうのが好きなだけで、俺は付き合ってるだけ」
「ええ〜! 金が掛からない遊びだからって、クラちゃんも喜んで付いてくるじゃんか!」
「金が掛からないのは、大事なポイントだろうがっ」
顔を赤らめながら、蔵人は抗議した。
「はいはい、クラちゃんのそれは分かったから」
「なぜ "クラちゃん" なんだ?」
綺紗羅の問いに、冬馬はニッと笑う。
「そりゃ、クラちゃんのフルネームが "周防蔵人" だからね。美咲クンなら…、さしずめサラちゃん?」
「距離ナシすぎだろ」
「いや、それでいい。私もトーマと呼んでいいだろうか?」
「全然オッケー! てか、やっぱもう旧知の友じゃん!」
冬馬は、綺紗羅と懇意になったことを手放しで喜んだ。