💭   🔁   ❀×????



『スタヌハント』さんは、僕の小説掻動初期からカクペムで僕のフォロワヌになっおくれお、以来ずっず応揎し続けおくれおい(・)た(・)人だ。

 今でもよく芚えおいる。
 䞀幎前、生たれお初めおUPした小説がたったく読んでもらえず、䜕日も䜕日も、䜕週間も、

『0 PV』

 ずいう呪いのような文字を睚み付けながら過ごしおいた。
 小説はスタヌトダッシュが呜だ、連投が呜だっお聞いおいたから、短線連䜜圢匏で毎日投皿し続けおいた。カクペムの『近況ノヌト』掻動報告も毎日曞いたし、同じホラヌ畑の曞き手さんにもいっぱい絡みに行っお、★も぀けたしフォロヌもした。Twittooのアカりントも開蚭し、宣䌝し続けた。
 なのに。


 第1話   0 PV
 第2話   0 PV
 第3話   0 PV
 第4話   0 PV
 第5話   0 PV
 第6話   0 PV
 第7話   0 PV
 第8話   0 PV
 第9話   0 PV
 第10話   0 PV
  ・     ・
  ・     ・
  ・     ・


『0 PV』。
 れロ。れロ。れロ。
 れロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロれロ

 僕の曞いた物語には、たったの1 PVの䟡倀も無いっお蚀うのか これだけ倚くのカクペムナヌザヌが居お、誰䞀人ずしお僕の小説を読んでくれないのか 僕に、存圚する䟡倀は無いっお蚀うのか

   気がおかしくなりそうだったある日、1話目に1 PVが付いた。それから小䞀時間のうちに、党話に1 PVが付いた。
 ――誰 誰が読んでくれたんだ お瀌が蚀いたい けれど、カクペムにはPVから読者を蟿る機胜は無い。
 悶々ずしおいるず、今たで䞀床も点灯したこずのなかった『通知』アむコンが光っおいる事に気付いた。

 ――あの時の興奮は、今も芚えおいる。

 震える手で『通知』アむコンに觊れるず、




『あなたの䜜品をフォロヌ 1分前 @StarHuntさん』




 の文字が。
 さらに再び、『通知』アむコンが光った。それは、呜の茝きだった。
 心血泚いで曞いた小説を、
 評䟡しおもらえないどころか、
 感想ももらえないどころか、
 読んでもらえないどころか、
 たったの1クリックすらしおもらえない――そんな惚状に心が壊れそうになっおいた僕を救っおくれた、光。

『あなたの䜜品に★レビュヌ 1分前 @StarHuntさん』

 僕は、狂喜乱舞した。居候させおもらっおいた家の䞻――倧叔父が怒鳎りに来るたで、郚屋の䞭で螊り回った。
 やっず、僕の䜜品を読んでくれる人に巡り䌚えた 『スタヌハント』さん 僕の䜜品を評䟡しおくれる人に芋぀けおもらえた 嬉しい嬉しい嬉しい

   けれど、その認識は間違っおいたんだ。

 そう――。
 僕は『芋぀けおもらった』んじゃない。『芋぀かっおしたった』んだ。
『スタヌハント』ずいう名の、怪物に。



   ■■■9時前 / 同じ旅通にお■■■



「初めお芋たずきから『コむツはダバむ』っお思ったよ」米里(こめざず)くんが滔々(ずうずう)ず語り始める。「珟実が芋えおない感じが、星狩に良く䌌おるずも思った。だからあい぀はきっず、星狩の霊なんかを呌び寄せちたったんだろうな」

「どういうこず  」

「あい぀は――星狩は、『いいね』の暩化だ。いいねが欲しくお堪らなくお、いいねの為なら䜕でも出来お、いいねの数だけが人間の䟡倀だず思っおる。  たぁ、分かるよ。俺もお料理系YouTuberやっおるからさ。『数字が党お』っお感芚は、分かる。けど、星狩のや぀は異垞だった」

「――――  」私は蹎鞠くんの方を芋る。

「  はい」果たしお蹎鞠くんは頷(うなず)いた。「吊定は出来ない、ず、思いたす」

「このクラスにはさ、いいね皌ぎが䞊手いダツが倚いんだよ。俺や蹎鞠はもちろん、正岡に倩晎(あたはる)に舞姫に越叀(こしふる)に、䞊江(かみえ)や四谷(よ぀や)なんかも凄い。ずっず隠しおたけど、VTuberずしおの銬肉(ばにく)も、朝のおはよう䞀぀で数千いいねを皌ぐようなバケモノさ。けどそういう連䞭はみんな、䞀芞を持っおいるか、顔がいいか、あるいはその䞡方か、だ」

 かるたくんから聞いたずころによるず、米里(こめざず)くんはお料理VTuberずしお名を銳せおいるらしい。それになるほど、隣の蹎鞠くんほどではないにせよ、圌もたた顔がいい。

「けど、星狩にはそういうのは無かった。いや、顔は悪くねぇんだから倩晎(あたはる)や舞姫みたいにダンス動画撮ったり、越叀(こしふる)みたいにコスプレしたりすりゃ倚少は䌞びたかもしれないのに、そういうこずはしない。自分の顔は晒さないっおいう倉なこだわりがあったみたいだな。
 だからあい぀は、俺にいいねの手に入れ方を聞いおきた。
 俺はあい぀に、今蚀ったようなこずをアドバむスしたさ。けど、そういうのは嫌だっお蚀う。じゃあ䜕か䞀芞は無いのかっお聞いたら、無いっお蚀う。今から䜕か特技を䜜れっお蚀っおも、それは面倒臭いっお蚀う。
 俺は面倒臭くなっおきお、『䜕でもいいからずにかく呟け』っお蚀ったんだ。そうしたらあい぀、通孊路の颚景写真ずか、日垞の愚痎だずか、圹に立たない事ばっか呟き始めた」

 私も就職するたではTwittooをやっおいお、米里(こめざず)くんが蚀うずころの『圹に立たない事』を毎日呟いおたから、星狩良子のこずは悪く蚀えないな  なんお思っおいるず、米里(こめざず)くんがフォロヌするかのように、

「もちろん、趣味でやっおるだけならそれでも問題ないさ。問題は、星狩がどうしようもなくいいねを欲しがっおいた事だ。あい぀は俺に、そういうツむヌトを芋せおきおは、『どう』、『いいねしお』っお蚀っおくるようになった。俺はこれ以䞊絡たれるのも嫌だから、内容は読たずにいいねだけした。あの時の星狩は――――  物凄く嬉しそうだったな。たぁ、気持ちは分かるよ。俺も、人生で初めおいいねがもらえた時はすごく嬉しかったもんさ。けど  それであい぀は、味を占めちたった」

「どういうこず  」

「あい぀はクラス党員に、いいねずリツむヌトをするように匷芁し始めたんだ。自分の、内容のない、ク゜䞋らないツむヌトをだぜ その勢いには鬌気迫るものがあっお、誰もがあい぀を䞍気味がった。女子の䞭には、あい぀に『䜕でいいねくれないの』っお詰め寄られお泣き出すダツすらいた」

「――――  」

「あい぀はクラスで孀立しおいった。誰もあい぀にいいねを付けなくなった。そうしお最埌にあい぀は、俺に泣き぀いおきた。『いいねを頂戎』『どうしおいいねをくれないの』っお」

「そうしお米里(こめざず)くんは――――  」

 蚀っおしたったのだ。
 䟋の蚀葉を。

「    その翌日、あい぀は自殺した」



   💭   🔁   ❀×????



『スタヌハント』さんは僕の曞いた話党おにいいね❀を付けおくれお、感想を投皿しおくれた。僕がそれが嬉しくお嬉しくお、䜕床も䜕床も読み返しおからお瀌コメントを曞いた。
 そんな颚にしお、幞せな毎日が続いた――――  数週間ほどは。

 けれど埐々に、僕は『スタヌハント』さんの異垞性に気付き始めた。圌女は僕が曞いた話には必ずいいね❀ず感想をくれる。僕はその感想に必ずお瀌コメントを返す。
 するず間を眮かずしお、さらなる感想が投皿される。僕はそれにお瀌コメントを返す。
 ――するず、たた。

 きっず最初の方は、圌女は本性を抑えおいたんだろう。けれど数週間ほどしお、圌女のタガが倖れ始めた。
 圌女は䞀぀の話に察しお二぀、䞉぀、五぀、十個、二十個、癟個ず感想を付けるようになっおいった。
 いや、それは感想ではなかった。い぀の間にか圌女自身の自分語りになっおいた。
 たず最初は、『今回の話のこうこうこう蚀う所が最高に怖かった』ずいう至極垞識的な感想から始たる。それが回数を重ねるうちに、『話に出おきた○○ですが、○○ず蚀えば最近こういう出来事があっお――』ず蚀う自分語りに突入する。
 僕は『スタヌハント』さんの事を倧切なフォロワヌだず思っおいたから、圌女のそんな『感想』に察しお埋矩に䞀個䞀個返事をしおいた。  それが䞀局、圌女の異垞性に拍車を駆けさせおしたったのだろう。

 気が付けば僕は、圌女に束瞛され、圌女の無限に沞き起こる承認欲求に返信するこずに毎日毎日忙殺されるようになっおいた。それでも毎日1話の投皿だけは欠かさなかった。1幎匱もの間、そんな生掻を続けた。その甲斐あっおか、『スタヌハント』さん以倖にも䞀定数のフォロワヌが付くようになったんだ。

 䞀定数 䞀定数っお䜕人だったっけ 五人だったか、六人だったか  うっ、䜕だか酷い頭痛がする。
   あぁ、そうだ、そう、二癟人だ。僕は努力の甲斐あっお、いっぱしのWeb物曞きになっおいた。

『スタヌハント』さんの盞手は、盞倉わらず続けおいた。膚倧な時間を浪費しお。正盎、䜕床瞁を切りたいず思ったか知れない。けど、忘れもしない人生初のPVずフォロヌずレビュヌをくれた盞手だったから切るには忍びなく、たた、切ったら切ったでずんでもない反転アンチになりそうで怖かった。

 そんなある日、僕は頌々子(よりよりこ)さんに呌び出された。8月初旬。僕が倧叔父の䞖話になっおいた最埌の月。その頃僕はただ神戞にいお、その呌び出しも、定期的にやっおいた頌々子さんの捜査の手䌝いだった。
 が、その内容がずお぀もなくヘビヌだった。僕は被害者女性の霊に觊れられ、圌女が犯人に犯され、嬲り殺しにされるたでの䞀郚始終を远䜓隓させられた。
 僕が『芖』お、頌々子さんに䌝えた人盞の甲斐あっお、犯人は捕たった。
 けどその芋返りに、僕は䞉日䞉晩昏睡状態に陥った。

 倧叔父は僕の胜力を改めお気味悪がっお、僕が眠っおいる間に、僕を叔父・叔母に預ける算段を付けおしたった。そのこずは、たぁいい。倧叔父には長いこずお䞖話になったし、結果ずしお叔父・叔母には随分ず可愛がっおもらっおいるから、結果オヌラむだった。
 問題は、スタヌハントさんのこずだ。

 䞉日もカクペムから離れたのは、初めおのこずだった。目芚めお、スマホを蚱された僕がようやくカクペムを開いた時、そこには目を芆いたくなるほどの量の通知が届いおいた。
 ――9割以䞊が、スタヌハントさんからだった。




『どうしお感想にお返事をくれなかったのですか』
『私、䜕か䞍快な思いをさせおしたいたしたか』
『返事をください』
『返事をください』
『無芖しないで』
『䜕か蚀っお』
『無芖するな』
『無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな無芖するな』




 僕は怖くなっお、スタヌハントさんからフォロヌを倖した。

 ――翌日、最新話の感想ずしお、スタヌハントさんからYouTubeのURLが届いた。









































 圌女――星狩(スタヌハント)さんの、自殺実況の予玄配信URLだった。