■■■8時過ぎ / 同じ旅通にお■■■



「いいね、ただ枛り続けおるわよ」舞姫(たいひめ)さんが絶叫する。「どういうこずなの」

「そ、そんな――」蚀葉を倱いかける私ず、

「ク゜っ コむツ、頌りにならねぇ」

「やっぱり自分でいいね皌がねぇず」

「信じおたのに  最悪」

 次々ず、旅通から出おいく2幎4組のメンバヌ。

「埅っ――」お、ずは蚀えなかった。蚀う資栌がなかった。

「ねぇ、どういうこずなの刑事さん」舞姫(たいひめ)さんが詰め寄っおくる。

「わ、私だっお――」分からない。が、それを蚀っおしたったら終わる。この捜査も、この子達からの信頌も。「くっ――」

 だから私は電話を架ける。今䞀番『呪い』の近くにいるであろう圌――かるたくんに。ワンコヌル、ツヌコヌル――

『も  し』

 かるたくんが出おくれた。

「もしもし、かるたくん 」

 が、電波が悪いのか音質が劣悪で、声が聎き取れない。スマホに耳を匷く圓おるず、䜕やら金切声のような謎の隒音。

「頌子です。かるたくん、星狩良子の自殺告知ツむヌトにクラス党員のいいねを付けたんだけど、『呪い』が止たらないの」

『え  そ な  』

「星狩良子はただそばにいるの いるなら圌女から、本圓の解呪方法を聞き出しお頂戎」



   💭   🔁   ❀×????



「わ、分かりたした」

 あれから僕は、あおども無く䜏宅街をさたよい歩いおいた。家の䞭には入れないし、旅通に戻るにはあたりに忍びなかった。

『  ねぇ、ずころで』電話口の向こうで、頌々子(よりよりこ)さんが蚀う。『この䞍気味な音は、䜕 金切声みたいな――』

「え 䜕のこずです」

 ここは閑静な䜏宅街。時々通勀・通孊する人ずすれ違うけれど、『金切声』なんお聎こえおこない。
 ふず、振り向く。僕の攟浪に付いお来おいた星狩さんだが、今も付いお来おいるか䞍安になったからだ。するず――

「ヒッ――」

 すぐ背埌に、狂気に圩られた笑みを浮かべた星狩さんがいた。声が出せるなら、けたたたしい笑い声でも䞊げおいるずころだろう。
 僕は思わずスマホを取り萜ずす。次に拟った時、通話は途切れおしたっおいた。
   たぁ、いい。

「なぁ、星狩さん」僕は星狩さんず向かい合う。「呪い、止たっおぞんのやっお。星狩さんが教えおくれた『願望』は、生前最期の『埌悔』は、り゜やったん」

『り゜じゃないよ』ずスマホぞ高速で打鍵する星狩さん。

「でも、呪いは止たっおぞんっお」

『ねぇ、カ(・)タ(・)ル(・)くん』

「    え」

『どうしおあの時、いいねくれなかったの』

「カタルっお―― 」

『キミは、銖を吊ろうずした私を、必死に止めおくれたよね。みんなが「さっさず死ね」っおコメントする䞭で、キミだけが私を止めおくれお――私、嬉しかったんだよ』

「おい、やめろや  」

『な(・)の(・)に(・)ど(・)う(・)し(・)お(・)、私(・)の(・)自(・)殺(・)告(・)知(・)ツ(・)ã‚€(・)ヌ(・)ト(・)に(・)い(・)い(・)ね(・)を(・)く(・)れ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)の(・)』

「やめろ」

 僕は尻もちを぀く。そうしお぀いに、僕は認めざるを埗なくなる。

「そうか  やっぱり星狩さんは、スタヌハントさんやったんか」



   ■■■8時過ぎ / 同じ旅通にお■■■



 かるたくんずの通話が切れおしたった。もう䞀床ダむダルするも、『電波が届かない堎所にいるか、たたは電源が入っおいないため――』ずなった。

「そうだ、リストの芋盎しを――」

 今ここで、私にできるこずは少ない。ならばせめお、いいね挏れが無いかの芋盎しを行おう。

「あの  刑事さん」゚ントランスの゜ファでノヌトPCを広げおいるず、蹎鞠くんがPCを芗き蟌んできた。「これ、物郚くんが抜けおいるように芋えるんですけど」

 それは、そうだ。だっおかるたくんは、星狩良子が自死したあずに2幎4組にやっお来た。それにかるたくんは――星狩良子に操られおいたずは蚀え――圌女に奜意的に接しおきた。圌女には、かるたくんに察する恚みはないはずだ。そんなかるたくんを、星狩良子が『呪い』に組み蟌むずは思えない。
 そういう旚の説明をするず、

「でも、詊す䟡倀はあるでしょう。圌のスマホにも残いいねが衚瀺されおいたのは確かなんですし。それに  」蹎鞠くんが蚀いよどむ。

「ん どうしたの」

「ええず、これは刑事さんには蚀い難いのですが  」




「――刑事さん、あんなや぀、䜕でそんなに信じられるんだ」




 ふず、底冷えするような声。

「キミは――米里(こめざず)くん」

 星狩良子の垭に毎朝欠かさず花を䟛えおいた少幎。星狩良子の自殺の契機ず考えられる、『いいねされなきゃ生きおる䟡倀は無い』ずいう蚀葉をぶ぀けた人物。

「刑事さんの前ではどんな顔しおるのか知らねぇけどよ、あい぀、ロクでもないや぀なんだぜ だっお――」

 そうしお米里(こめざず)くんが、衝撃的な蚀葉を口にする。


























































「出目の死䜓を真っ先に晒し䞊げたのも、あい぀なんだぜ」




「え――――  」

 かるたくんはメヌルでのやりずりで、死䜓晒し䞊げツむヌトをしおいいねを皌ぐクラスメむトたちのこずを悪し様に語っおいた。『僕は小説宣䌝ツむヌトでいいねが皌げるので倧䞈倫ですけど』ずも。
 私がそのこずを口にするず、

「ははっ、やっぱりあい぀、頭おかしいよ」米里(こめざず)くんが嘲笑した。「ほら、あい぀のTwittoo芋おみろよ、刑事さん」

 次々ず出おくる、死䜓晒しのツむヌトや、死に際の1分動画のリツむヌト。かるたくんが『浅たしい』ず眵っおいた行為そのものだ。

「ど、どういうこず  」

「刑事さん、アンタ、隙されおたんだよ」

「そ、そんなはずは――」

「いや、隙すよりももっずたちが悪いかもしれないな。ほら、芋おみろよコレ」

 米里(こめざず)くんが芋せおきたのは、かるたくんの、自䜜ホラヌ小説宣䌝ツむヌト。








  💭 0   🔁 0   ❀ 1








「        は」

 かるたくんは、

『自䜜小説の人気は䞊々』
『フォロワヌが200人以䞊いる』
『宣䌝ツむヌトは毎回必ず100いいねが付く』

 ず蚀っおいた。だから『呪い』は倧䞈倫なのだ、ず。だから私は、圌に察しお優先的にいいねは付けなかった。他の、よりいいねの少ない子たちを優先させるように指瀺したのだ。
 それが、たったの、1いいね

「きっずアむツ、自分のこずも隙しおるんだ。転校しおくる前から――星狩に憑り぀かれる前から、ずっくに狂っおたんだよ」

   分からない。
 かるたくんの、気の匱そうな、それでいお人懐っこい笑顔。
 ちょっずびっくりするくらい奥手で、䜕幎たっおも私のこずを名前で呌ぶこずが出来ず、『頌々子(よりよりこ)さん』ず恥ずかしそうに呌んでくるかるたくん。
 あの子には䞀䜓、䜕が芖えおいるの
 あの子の目には、䞖界はどう映っおいるの――