神田が目を覚ましたのは夕方になってからだった。繊細なギターの音色と窓から差し込む茜色に目を開けると、仲森の立派な背中が視界に飛び込んでくる。身を捩ると、ギターの音が止まった。
「おはよ」
「……おう」
 仲森はギターをケースに仕舞って、ベッドの中へ入って指を絡めてきた。冷たい素足が触れて、絡み合う。
「可愛かったよ、侑真」
「……うざ。そんで暑いって」
「あ、水持ってくる!」
 くっついていたら暑いのに、離れたら離れたで寂しい。そんな寂しさでさえ愛おしく思う。
 仲森を待つ間に寝返りをうつと、ベッドサイドに置いたスマートフォンが震えた。見ると、郁斗からの着信だった。重い身体をゆっくりと起こして電話に出る。
『もしもし、侑真くん?』
「どしたの」
 大阪で1人頑張っている年下の先輩が、話し始めた。