仲森は豪快なようで繊細で、歌が上手い真面目。神田はぶっきらぼうのようで、ふわふわしていて優しい。それが分かってくると2人の距離は縮まっていった。
打ち解けた2人は、一緒に曲やダンスの振りを作ることもあった。そんな時間が純粋に楽しかった。夏の海よりも輝く青春だった。2人の息が合うようになった頃、2人に仕事が入ってくる頻度が高くなった。
元々のスキルが高い2人は、他の研修生をどんどんと追い抜いてメディア露出を増やしていった。単にスキルの高さだけではなく、自分たちを異質にした周りを見返したい気持ちが原動力の大半を占めていた。
それでも2人は正式なコンビになるどころか、新設されていくどの研修生グループにも入れなかった。2人はマッチが不発だった時のようなもどかしさとイライラを幾度となく抱えた。そして火は別の形でつくことになる。
2人が出会って3年が経った夏のコンサートの最終公演。1つのグループのデビュー発表があった。閉幕後、阿鼻叫喚の研修生たちの間を2人は抜け出した。仲森が手を引いて向かったのは外の非常階段だった。
ひとしきり泣いた後どちらともなく抱き合って、行き場をなくした熱をぶつけた。互いの熱が慰めになった。身体を触れ合っているとキスがしたくなって、キスしているともっと深く繋がりたくなった。それだけのことだった。
仲森が19歳で神田は18歳。持て余した熱を発散する方法を、若い2人は他に知らなかった。
神田にとってこの関係は遊びでもなく、かといって恋人でもなかった。ただ、仲森と触れあっていると、欲しかったものが手に入ったような、満たされたような。そんな気がしたのだ。
触れ合っている時だけ仲森がかける「好き」の言葉が自分の心の穴を埋め、優しく肌を滑る手が荒んだ心を撫でていたと神田は分かっていた。きっと仲森も同じだった。
仕事が増え、スケジュールが詰まるようになっても2人は逢瀬を重ねた。深夜帯の小さな枠だが、神田のドラマ主演が決まると仲森は手料理を振舞ってくれた。そんな関係は、唐突に終わった。
打ち解けた2人は、一緒に曲やダンスの振りを作ることもあった。そんな時間が純粋に楽しかった。夏の海よりも輝く青春だった。2人の息が合うようになった頃、2人に仕事が入ってくる頻度が高くなった。
元々のスキルが高い2人は、他の研修生をどんどんと追い抜いてメディア露出を増やしていった。単にスキルの高さだけではなく、自分たちを異質にした周りを見返したい気持ちが原動力の大半を占めていた。
それでも2人は正式なコンビになるどころか、新設されていくどの研修生グループにも入れなかった。2人はマッチが不発だった時のようなもどかしさとイライラを幾度となく抱えた。そして火は別の形でつくことになる。
2人が出会って3年が経った夏のコンサートの最終公演。1つのグループのデビュー発表があった。閉幕後、阿鼻叫喚の研修生たちの間を2人は抜け出した。仲森が手を引いて向かったのは外の非常階段だった。
ひとしきり泣いた後どちらともなく抱き合って、行き場をなくした熱をぶつけた。互いの熱が慰めになった。身体を触れ合っているとキスがしたくなって、キスしているともっと深く繋がりたくなった。それだけのことだった。
仲森が19歳で神田は18歳。持て余した熱を発散する方法を、若い2人は他に知らなかった。
神田にとってこの関係は遊びでもなく、かといって恋人でもなかった。ただ、仲森と触れあっていると、欲しかったものが手に入ったような、満たされたような。そんな気がしたのだ。
触れ合っている時だけ仲森がかける「好き」の言葉が自分の心の穴を埋め、優しく肌を滑る手が荒んだ心を撫でていたと神田は分かっていた。きっと仲森も同じだった。
仕事が増え、スケジュールが詰まるようになっても2人は逢瀬を重ねた。深夜帯の小さな枠だが、神田のドラマ主演が決まると仲森は手料理を振舞ってくれた。そんな関係は、唐突に終わった。