「郁斗くんって、結構鈍感だよね」
「え?」
「俺あーんなにアピールしてたのに全然気づかないんだもん」
2人はファッションビルを出て、駅前の複合商業施設内にあるレストランに来ていた。夕飯時のピークは過ぎたのか、店内にいる客はまばらだった。
「一緒に寝るのも、おやすみのキスも郁斗くんにしかしないよ」
「……はあ、かわいすぎる」
郁斗は持っていた箸を置き、心の中で頭を抱えた。恋人になったからか郁斗は躊躇いなく心の内を素直に打ち明けられた。が、「かわいい」という言葉にさほど頓着のない歩には軽く受け流されてしまう。
「俺から見れば郁斗くんも可愛いけどねえ」
歩は不思議そうな顔をしてそう言った。思えば、歩からかわいいと言われるのは初めてだ。
「ええ?ほんと?」
「ぷっくりした頬とか、おめめとか」
——おめめ
眼球を表す言葉のチョイスとして、ここまでかわいいとは何事か。それを歩が言うから余計にかわいい。
「敵わないなあ……」
歩の言動一つひとつが、郁斗の脳内をかわいいで満たしていった。それが堪らなく幸せだった。
「え?」
「俺あーんなにアピールしてたのに全然気づかないんだもん」
2人はファッションビルを出て、駅前の複合商業施設内にあるレストランに来ていた。夕飯時のピークは過ぎたのか、店内にいる客はまばらだった。
「一緒に寝るのも、おやすみのキスも郁斗くんにしかしないよ」
「……はあ、かわいすぎる」
郁斗は持っていた箸を置き、心の中で頭を抱えた。恋人になったからか郁斗は躊躇いなく心の内を素直に打ち明けられた。が、「かわいい」という言葉にさほど頓着のない歩には軽く受け流されてしまう。
「俺から見れば郁斗くんも可愛いけどねえ」
歩は不思議そうな顔をしてそう言った。思えば、歩からかわいいと言われるのは初めてだ。
「ええ?ほんと?」
「ぷっくりした頬とか、おめめとか」
——おめめ
眼球を表す言葉のチョイスとして、ここまでかわいいとは何事か。それを歩が言うから余計にかわいい。
「敵わないなあ……」
歩の言動一つひとつが、郁斗の脳内をかわいいで満たしていった。それが堪らなく幸せだった。