2日間の東京公演終了後。つまり、『SN―SKY』ライブツアーの最終公演終了後、マネージャーが上機嫌で楽屋に入って来た。
「桜木さん!8月に舞台が決まりましたよ、しかも主演です!それと結城さんも4月と7月期連続でドラマです」
——舞台?
「よかったじゃねえか、2人とも!」
仲森は2人の背中をドンドンと強く叩く。神田も西園寺も嬉しそうだった。
「しかも舞台は恋愛モノです!桜木さん、いよいよ売れてきましたね。結城さんも頑張ってくださいね、1つは準主役なんで」
——恋愛ものか……
これまで出演したドラマや舞台は、恋愛描写の殆ど無いものばかりだった。あったとしても主役だけだった。これまでにないチャンスだ。
「よし!じゃあ芝居の極意ってやつ、教えてやるよ。行くぞみんな!」
都内某所。飲食店街の一角にある焼き肉屋は本日貸し切りだ。
『SN―SKY』初の単独ライブツアーの関係者一同が集い、慰労会と称した盛り場となっていた。酒を飲めない郁斗たち3人は隅に追いやられ、酔っぱらった中年たちを肴にソフトドリンクを飲んでいた。
「だからな、つまり恋愛の芝居というのは……」
「仲森、もうそれくらいにしとけ。な?」
仲森は酔うと同じ話を繰り返すようになるらしい。次第にくだを巻き始めた彼に神田が水を飲ませる。が、その神田もいつもの覇気はなくぼんやりとしていた。
「いかにも酒が強そうな兄2人がこんなとはね……」
「こんなとは何だ、こんなとは!」
「賢くん、郁斗に突っかからないの。……歩?大丈夫?」
西園寺の言葉に、隣に座る歩を見ると彼はボーッと1点を見つめている。
——まさか
「歩、酒飲んだ?」
「え?飲んでないけど……なんかフワフワする……」
この卓にアルコールが運ばれないよう手配しているし、皆なんだかんだ気を回してくれている。
「一旦、外出て落ち着け。な?」
神田は仲森から離れる気配はないし、西園寺も「俺がいないとこの2人はダメだなあ」という半ば高みに立った顔をしている。
「……歩、一回外行こう」
歩を連れていくのはやっぱり郁斗だった。
「桜木さん!8月に舞台が決まりましたよ、しかも主演です!それと結城さんも4月と7月期連続でドラマです」
——舞台?
「よかったじゃねえか、2人とも!」
仲森は2人の背中をドンドンと強く叩く。神田も西園寺も嬉しそうだった。
「しかも舞台は恋愛モノです!桜木さん、いよいよ売れてきましたね。結城さんも頑張ってくださいね、1つは準主役なんで」
——恋愛ものか……
これまで出演したドラマや舞台は、恋愛描写の殆ど無いものばかりだった。あったとしても主役だけだった。これまでにないチャンスだ。
「よし!じゃあ芝居の極意ってやつ、教えてやるよ。行くぞみんな!」
都内某所。飲食店街の一角にある焼き肉屋は本日貸し切りだ。
『SN―SKY』初の単独ライブツアーの関係者一同が集い、慰労会と称した盛り場となっていた。酒を飲めない郁斗たち3人は隅に追いやられ、酔っぱらった中年たちを肴にソフトドリンクを飲んでいた。
「だからな、つまり恋愛の芝居というのは……」
「仲森、もうそれくらいにしとけ。な?」
仲森は酔うと同じ話を繰り返すようになるらしい。次第にくだを巻き始めた彼に神田が水を飲ませる。が、その神田もいつもの覇気はなくぼんやりとしていた。
「いかにも酒が強そうな兄2人がこんなとはね……」
「こんなとは何だ、こんなとは!」
「賢くん、郁斗に突っかからないの。……歩?大丈夫?」
西園寺の言葉に、隣に座る歩を見ると彼はボーッと1点を見つめている。
——まさか
「歩、酒飲んだ?」
「え?飲んでないけど……なんかフワフワする……」
この卓にアルコールが運ばれないよう手配しているし、皆なんだかんだ気を回してくれている。
「一旦、外出て落ち着け。な?」
神田は仲森から離れる気配はないし、西園寺も「俺がいないとこの2人はダメだなあ」という半ば高みに立った顔をしている。
「……歩、一回外行こう」
歩を連れていくのはやっぱり郁斗だった。