何度練習しても、何度リハーサルをしても実際にステージに立ってパフォーマンスをすると修正点が大量に出てくる。リハーサル室とはステージの規模も違うし、ライブモニターに映るタイミングも考えなければならない。
 郁斗たちはコンサート期間ということで別仕事が控えめになっている。であれば、時間を縫って細かい所まで詰めていくしかない。郁斗は終演後にしていた自主練習にメンバーのみんなを誘った。終演後は2時間までしか楽屋を使えないから、事務所のスタジオを借りて。
 公演期間中とはいえ年上3人は参加できないこともあった。だが、今までは1人でやっていたことに他4人の意見やアドバイスが加わったことで、郁斗のパフォーマンスは公演期間中ぐんぐんと伸びていった。
 それは他の4人も同じようで、余裕が出てくるとファンサの数も増えてきていた。その影響か、他グループ目当てなのか興味なさげに下を向く観客の数も段々と減っていった。
 全てを出し切った千穐楽。
 『SN―SKY』のパフォーマンスは多くの観客の大歓声に包まれて終わった。終演後に閲覧が解禁されたSNSの反応は、概ね好評だった。その殆どが仲森、神田、西園寺に対するものだったが。中には郁斗を新しく見つけてくれた人や、歩のパフォーマンスレベルがどんどん上がっていくのを気づいていた人もいた。
 マネージャーによれば、この公演期間中にファンクラブの会員数が一万人も増えたと報告を受けた。これは単に公演の効果のみではなく、別仕事の影響もあるだろうが、『SN―SKY』にとっては目に見える大きな結果となった。