「瀬那、相談なんだがね。」
僕がまたボール磨きにいそしんでいると、ある日監督が話しかけてきた。
「はい、何でしょうか!」
僕は元気よく返事をした。もしかして、一軍に来いっていうお誘いか?
「実はね、マネージャーの事なんだけど。」
「マネージャー、ですか?」
「もうすぐ選抜予選が始まるだろ?その時に、マネージャーが1人ベンチに入れるのは知ってるよね?」
「はい。」
昔は女子禁制だった甲子園のグラウンド。しかし、今では女子でもベンチに入れるようになっている。スコアを付けるマネージャーが1人、選手の他にベンチ入り出来るのだ。
「けどね、今いるマネージャーはスコアをつけられないみたいだし、あの仕事ぶりを見ていても、どちらか1人をベンチ入りされるのはどうかと思ってね。」
ははあ、確かに花梨ちゃんも綾乃ちゃんも、スコアつけ、出来ないだろうな。しかも、2人の内のどちらかを選ぶなんて、誰にも出来ないような気がする。じゃんけんで決めてもらうしかないんじゃないだろうか。
「それでね、どうだろう。瀬那、君がマネージャーになるというのは。」
「……は?」
思考停止。
「君はすごくよくやってくれてるよね。この部の為に、そりゃあもう、マネージャーなんかよりもね。私はよく見ているよ。」
「はい。」
「でも、残念ながら選手として試合に出る事は、今のところ出来ないだろうし、それならば、いっそマネージャーに徹してみるのはどうかね?」
「あ……。」
「急がないでいいから、よく考えてみなさい。予選が始まるまでには1ヶ月くらいあるから。ね。」
監督は僕の肩をポンと叩き、去って行った。
何を言われたのだろう。それを理解するまで、どれほどそこに立ち尽くしていたか分からない。そして、分かったところで、どう結論を出して良いのか分からなかった。だから、しばらくはそのまま、いつも通りに過ごした。
僕がまたボール磨きにいそしんでいると、ある日監督が話しかけてきた。
「はい、何でしょうか!」
僕は元気よく返事をした。もしかして、一軍に来いっていうお誘いか?
「実はね、マネージャーの事なんだけど。」
「マネージャー、ですか?」
「もうすぐ選抜予選が始まるだろ?その時に、マネージャーが1人ベンチに入れるのは知ってるよね?」
「はい。」
昔は女子禁制だった甲子園のグラウンド。しかし、今では女子でもベンチに入れるようになっている。スコアを付けるマネージャーが1人、選手の他にベンチ入り出来るのだ。
「けどね、今いるマネージャーはスコアをつけられないみたいだし、あの仕事ぶりを見ていても、どちらか1人をベンチ入りされるのはどうかと思ってね。」
ははあ、確かに花梨ちゃんも綾乃ちゃんも、スコアつけ、出来ないだろうな。しかも、2人の内のどちらかを選ぶなんて、誰にも出来ないような気がする。じゃんけんで決めてもらうしかないんじゃないだろうか。
「それでね、どうだろう。瀬那、君がマネージャーになるというのは。」
「……は?」
思考停止。
「君はすごくよくやってくれてるよね。この部の為に、そりゃあもう、マネージャーなんかよりもね。私はよく見ているよ。」
「はい。」
「でも、残念ながら選手として試合に出る事は、今のところ出来ないだろうし、それならば、いっそマネージャーに徹してみるのはどうかね?」
「あ……。」
「急がないでいいから、よく考えてみなさい。予選が始まるまでには1ヶ月くらいあるから。ね。」
監督は僕の肩をポンと叩き、去って行った。
何を言われたのだろう。それを理解するまで、どれほどそこに立ち尽くしていたか分からない。そして、分かったところで、どう結論を出して良いのか分からなかった。だから、しばらくはそのまま、いつも通りに過ごした。