とうとう決勝戦まで来た。本当に、これに勝ったら甲子園だ。そう思ったら、僕は急に欲が出た。ベンチ入りしたいという、長年の夢を、少しでも叶えたいと思ってしまった。もちろん、本当の意味でのベンチ入りは無理なのだが、形だけでも……。制服ではなく、ユニフォームでベンチに入りたい。そんな欲張りな思いが生まれてしまった。
明日が決勝戦という時、部活の場に現れた小野寺先生に、僕は思いきって聞いてみた。
「あの、先生。明日なんですけど、ユニフォームでベンチに入ってもいいですか?」
すると、小野寺先生は驚いたように目を丸くした。
「あー、それがね、選手と見分けが付かないから、ダメなんだよ。ほら、今うちはベンチ入り可能な人数ぎりぎりだからさ。」
そう、言われてしまった。
「そうですよね、分かりました。制服で行きます。」
僕は頑張って笑顔を作り、そう言った。今は練習着を着ている。選手と同じ服装をしているのだ。キャップもかぶっている。でも、明日は、試合の時には全く別の格好をしなければならない。
先生が行ってしまうと、目の前に戸田が現れた。戸田は僕のキャップのつばをぐっと下げると、
「明日は、お前のために勝つよ。」
と言った。え?何を言われたの?驚いて顔を上げると、
「絶対、お前を甲子園に連れて行ってやるよ、瀬那。」
と、初めて名前で呼ばれた。
それから、戸田が行ってしまっても、しばらく僕は動けなかった。瀬那、瀬那って呼んだ?遼悠って呼んでもいいのかな……。
明日が決勝戦という時、部活の場に現れた小野寺先生に、僕は思いきって聞いてみた。
「あの、先生。明日なんですけど、ユニフォームでベンチに入ってもいいですか?」
すると、小野寺先生は驚いたように目を丸くした。
「あー、それがね、選手と見分けが付かないから、ダメなんだよ。ほら、今うちはベンチ入り可能な人数ぎりぎりだからさ。」
そう、言われてしまった。
「そうですよね、分かりました。制服で行きます。」
僕は頑張って笑顔を作り、そう言った。今は練習着を着ている。選手と同じ服装をしているのだ。キャップもかぶっている。でも、明日は、試合の時には全く別の格好をしなければならない。
先生が行ってしまうと、目の前に戸田が現れた。戸田は僕のキャップのつばをぐっと下げると、
「明日は、お前のために勝つよ。」
と言った。え?何を言われたの?驚いて顔を上げると、
「絶対、お前を甲子園に連れて行ってやるよ、瀬那。」
と、初めて名前で呼ばれた。
それから、戸田が行ってしまっても、しばらく僕は動けなかった。瀬那、瀬那って呼んだ?遼悠って呼んでもいいのかな……。