「午前中に来ても、忙しくて相手にしてもらえませんよ」
やどかり弁当は、昼食用の弁当販売がメインだ。頼まれれば、オードブルや仕出しを作ることもあるが、なんにせよ午前中は忙しいに決まっている。
ちなみにやどかり弁当は土日休業なので、子育てをしている日葉里としてはありがたい。
「そうは言うが、午後に訪問すれば『明日の仕込みが忙しい』だの『いっこくの開店時間になるから』だのと言って、のらりくらりと逃げられる」
「確かに……」
これまでのことを思い返して頷く。
「榎波さんって、理恵さんになんの用があるんですか?」
「仕事だ」
榎波が短く答える。
チラリと様子を窺うと、榎波は腕組みして口を真一文字に結んでいる。これ以上聞いてくるなと無言の圧を出している。
「仕事として足繁く通うってことは、グルメ雑誌の取材ですか?」
一応聞いて見たが、返事はない。
(やっぱり置いてくればよかった)
連れてきたことを恨めしく思いつつ、日葉里は車を走らせた。
やどかり弁当は、昼食用の弁当販売がメインだ。頼まれれば、オードブルや仕出しを作ることもあるが、なんにせよ午前中は忙しいに決まっている。
ちなみにやどかり弁当は土日休業なので、子育てをしている日葉里としてはありがたい。
「そうは言うが、午後に訪問すれば『明日の仕込みが忙しい』だの『いっこくの開店時間になるから』だのと言って、のらりくらりと逃げられる」
「確かに……」
これまでのことを思い返して頷く。
「榎波さんって、理恵さんになんの用があるんですか?」
「仕事だ」
榎波が短く答える。
チラリと様子を窺うと、榎波は腕組みして口を真一文字に結んでいる。これ以上聞いてくるなと無言の圧を出している。
「仕事として足繁く通うってことは、グルメ雑誌の取材ですか?」
一応聞いて見たが、返事はない。
(やっぱり置いてくればよかった)
連れてきたことを恨めしく思いつつ、日葉里は車を走らせた。