「これで授業は終わりだ」


 午後の授業が終わり帰宅ムードが漂っていた。
 今日は掃除もないし、駅のゲーセンにでも行こうかな〜。


「あと、別件で佐藤」
「え、あ、はい」
「話がある。職員室に来い。以上」
「はぁ!?」


 先生は何事もなかったかのように「号令!」なんて言う。
 クラスに笑いが起こる。
 おい、まじかよ。俺の放課後を返せ。
 一人で憤慨しながら机の上の荷物を片付け始める。


「呼び出し食らってんじゃん。どんまい」
「まぁまぁ、頑張りなって」
「お前らなぁ」


 こいつら、、、俺が呼び出し食らったからって嬉々として煽ってきやがって、、、


「っていうかさ、なんかしたん?」
「いや、なにかしたという自覚はない」
「無自覚でやってるってこと?やば〜」
「僕には心当たりしかないけどね」


 大きなため息をこぼし肩にリュックをかける。


「行きたくねぇ」
「いや行けよ」


 席に座ると机に倒れる。
 頬に机をくっつける。冷たくて気持ちが良い。


「だって、絶対怒られるじゃん」
「おー、自覚アリじゃん。何したんかお姉ちゃんに吐いてみ」
「提出プリントに先生の顔落書きしたこととか、」
「うわっ、結構やばかったわ」
「掃除ロッカー壊したこととか??」
「なんで疑問形なんだよ」


 旧理科室の掃除当番だったとき、その場のノリで遊んでたら掃除ロッカーにガンッっていって、、、、、
 うわ、記憶が蘇ってくる。
 なにもなかったことにしておこう。


「ま、慰めてあげるから行ってきな」
「そら〜、もう無理、、」
「ほら、行って来い。後で絶対笑ってやるから」
「紗綾嫌いだわ」


 席を立ち職員室に向かう。
 後ろで二人がにっこにっこの笑顔で送り出している。
 後で覚えとけよ。
 そんなことを思いながら教室を出る。
 一応掃除時間なので掃除をしている人が一定数いるので人の少ない道を通ろうと裏庭を通ることにする。

 この学校は特殊って訳では無いが北校舎・南校舎と管理棟っていうのがあって、その管理棟に職員室がある。
 だが、管理棟は俺の教室からだいぶ遠いので大体裏庭を通る。
 まぁ管理棟に行くやつなんて滅多にいないからその道には人が全くと言っていいほどいない。
 だから結構好きだったりする。