「好きです!」
放課後の体育館裏に響く言葉に驚きながらもどこか他人事のように捉えてしまう。
真っ赤に頬を染めた彼女を正面に口を開く。
「ごめん、、、、、」
「誰?」
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「お前、また女の子振ったんだってー」
「んー?」
朝。親友の宙から告げられたことに適当に相槌を打つ。
「うっわ適当じゃん」
「だって興味ないし、」
「クズだな〜」
オエッと舌を出す宙にデコピンをかます。
別に珍しいことじゃないし。
「あ、涼と宙じゃん。おはよー」
「紗綾か、おはよう」
「ってかどしたん、宙から涼に絡むなんて珍しいねー」
そんな事を言いながら自分の席に荷物を置くと俺等の前にどかっと座り込む。
そこ、お前の席じゃねぇだろ
「まぁね。っていうか聞いて下さいよ紗綾さん。涼が斯々然々で…
「えぇ!?またぁ!?」
大げさに叫ぶと俺の方をちらっと見て宙に視線を移す。
言いたいことがあるなら言えよ。
「そうなんですよ紗綾さん。どう思いますか??」
「これは、重大なことじゃないか宙くん」
二人で寸劇を繰り広げているのを片目に窓の外を見る。
普段と変わらず青空が広がっていた。
つまんな、
少しばかりぼうっとしているとチャイムの音が響き渡る。
「やっべ、戻らなきゃじゃん」
「じゃあね涼、また来るよ」
「別に望んでねぇぞー」
宙と紗綾が席に戻っていく。
担任の先生がやってくる。
「出席取るぞ〜」
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昼休憩
教室で机をくっつけながら三人で弁当を広げる。
「えぇ、涼のウインナータコさんなのウケるんだけど」
「あ?なんか悪いかよ」
「案外おこちゃまだなぁって」
「別にタコさんウインナーに罪はないだろ」
そういいタコに切られたウインナーを頬張る。
「紗綾は今日も購買?」
「そー、冷凍チンしてる暇なかったし」
「唐揚げいる?」
「え?くれんの?サンキュー、ありがたくいただくわ」
うっわイチャイチャしてる。
言っておくが紗綾と宙は付き合ってもなければ恋心を抱いたこともない奴らだ。
宙は中学時代からの友人でタイプは全く違うけどなんとなく気が合ういわゆる親友ってやつ。
紗綾は高校になってできた唯一の女友達。まぁ周りの女子と違ってあっさりした性格だからつるんでいて楽しい。
そして俺、佐藤涼は自分で言うのはあれだが顔面最強の男だ。
こんな三人で毎日過ごしている。
不便もないし、良い毎日が送れていると思っている。
弁当を食って喉が渇いたので水筒を手に取る。
「あ、水筒切らした」
逆さまにしても一滴も落ちてこない水筒を片手に二人に向き合う。
「まじで〜、午後から体育あるし買ってきたら?」
「えー、なくても生きていけるから良くない??」
「涼、買ってきなよ。午後から気温上がるらしいから熱中症になっちゃ面倒だから」
おい、最後の面倒だからはいらねぇだろ。
「へいへい、水買ってくるわ」
「いってら〜、ついでにオレンジジュースも」
「じゃあ僕はおしるこで」
「おしるこなんて売ってねぇだろ」
「中庭の自販機に売ってるよ〜いってら〜」
「俺はパシリですか???」
財布を持って教室を出る。
あ”ー中庭まで行くのは面倒くさいな。
「え?あれ佐藤涼じゃない??」
「…まじじゃん!?え、超珍しい!!」
「横顔美しすぎるっ!!めっちゃイケメン!!」
廊下を歩くと数人の女子が話しているのが聞こえてくる。
そう、俺はいわゆるイケメンなのだ。
顔のどのパーツをとってもきれいな超絶イケメンなのだ。
イケメンだからどうのこうのってことはないけれど、この顔に産んでくれた両親には感謝している。
イケメンだと苦労することがある。
それはなにか。
ズバリモテすぎることだ。
昨日もそうだけれど俺はよく女子から告白される。
まぁ、大体の理由が『かっこいいから』『顔がいいから』なんだけど。
だけど俺は“興味がない”
「一回でもいいからあんなイケメンと付き合ってみたいよね〜」
「えーでも、佐藤くんって性格めちゃくちゃ悪いんだって噂あるよ」
「うちも聞いた!女遊び激しいんだって」
「全然相手にしてくれないくらい冷たいって聞いたよ」
「イケメンだから何されてもいいだろ精神なのかな?」
「えー!?やばくない!?私無理かも〜」
「顔いいから私は性格がどんなにクズでもいける!」
そして、どうやら俺はいわゆる“クズ”らしい。
事実、俺は女子に一切興味がないし恋愛も興味がない。
名前すら知らない女に好意を抱かれようがこっちは知ったこっちゃない精神で生きているのがどうやら彼女たちにとって嫌らしい。
中庭の自販機からおしることオレンジジュース、水を買う。
ガタンと音がしてそれぞれが出てくる。
取り出しながらため息をこぼす。
「めんどくせぇなー」
そくさくとその場をさり小走りで教室に戻る。
いつもならなんにも思わないことなのに、今日はなんとなく心に残っていた。
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