MIKEさんの部屋での懇談は、みんながそれぞれの地方から持ち寄ったお土産をシェアしたり、全員にメッセージ付きのプチプレゼントを準備してきてくれた人もいたり、アクセサリー作りを得意とする人がMIKEさんにアクセサリーをプレゼントしたりと、自由に過ごした。

 介護職についている多香奈さんは、祖母の認知症で泣いていたナツさんに
「手を握ってあげるといいよ。
 触覚って五感の中で一番最後まで感覚が残るらしいから」
 と助言してあげていた。

 林野さんとマキさんは同じアイドルが好きだということが発覚して、コアな話を二人で延々としている。
 ふみのさんと福水ちゃんは、MIKEさんが持参したカードを使って勝手にカードリーディングをしながら、出たカードの内容について考察をしている。

 この懇談に限らず、MIKEさんと話をすることだけが目的ではなくて、メンバーのみんなと話をするのがとにかく楽しい。
 それはわたしだけではないようで、MIKEさんをひとりぼっちにしてメンバー同士で話し込んでいる状況がまさに今この瞬間に発生していた。

「あー、うん、私、いない人として扱われているね……?」
 ぼやいているMIKEさんが少し寂しそうだった。

 MIKEさんが懇談時間の最後で、みんなに向けて言っていた。

「楽に生きる、と決めてください。
 人はみんないつか死にます。
 自分を含めてね。
 だからこそ、生きているだけで価値があるというところを超えて、生きているだけで世の中に必要とされるお金や労働力や時間や様々なものすべてを生み出せるすごい存在である、というように自分の存在意義を高く設定してその事実を受け入れてください。
 自己否定は殺人と一緒ですよ」


 部屋割りは二人一組となっていて、わたしは仁和希さんと一緒だった。
 講座中はあまり話す機会がなかったが、同じ業種の会社で働いていることが分かり、話が大いに盛り上がる。
 部屋の電気を消して布団にもぐりこんだ後も、業界あるあるを話したり同じような悩みにうんうん頷いたりしていたら、目が冴えてまったく眠れなくなり、2時間しか眠れなかった。