美晴を送って行った風雅は神社に着くと美晴は巫女服に着替えに行った。

小太郎が風雅に挨拶をすると風雅は壁にあるものが気になったので訪ねた。

「あれはカレンダーです。ハロウィンに赤丸しているんですよ。11月になるとそろそろ秋が終わり冬になるんですよね〜12月になれば本格的に冬がやってきて寒くなりますね」

長く生きている風雅には日にちの感覚はない。
季節は感じるが暑い寒いはわからない。

『あと…1ヶ月か』

「え?」

『秋が終わるのが早いな〜ってね』

にヘら〜と笑い風雅は紅葉がいる学校に向かった。




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紅葉と楓が学校の教室に入るとクラスメイトたちが一斉に沸いた。

昨日、楓が校門付近でアヤカシに声を掛けられているのを生徒たちに見られていたようで噂や話しが広がったようだ。
「ねぇねぇ。昨日の人アヤカシだよね?番になるの?」
「たしかにアヤカシで番にならないか打診されたわね。番になるとは言ってないけど」
女子生徒が興奮気味に尋ねると楓は正直に答えた。黙っているより話した方がアドバイスをくれるかもしれないと思った。

「長女しか番になれないんだよね?」
「風雅様によると構わないらしいわ。長女より霊力がある場合もあるしうちの場合は紅葉が神子だからもしかしたら…って相談に来たらしいんだけどね」

「へ〜…夢あるわね。私もアヤカシの番になりたい〜」
「あんた、こないだは神子になりたいって言ってたじゃない〜」
女子生徒たちは盛り上がっていた。

「楓さんが〜…」
「俺、楓ちゃんを狙ってたんだぜ」
「え、お前も?紅葉より楓ちゃんのが天使みたいで好きだったのにな〜」
「まだ番じゃないんだ!諦めるな!」
男子生徒たちからは楓が番になるかもとショックを受けている勢がいた。楓は気づいていないがモテるようだ。


紅葉はずっとムゥ〜と無言でむくれて不機嫌だった。

「紅葉……」

『紅葉っ☆』
頭上から突然現れ、紅葉の頭めがけてポテッと落ちてきた風雅(小)。

風雅(小)をみた紅葉は一気にテンションが上がりモフモフしはじめ、ご機嫌になる。

「よかった…」
紅葉と険悪になりそうだったので一先ずは安心した楓。


「紅葉、お前だけまだ進路の紙出してないな。今週中に出すように!」
教師が声を掛けてきたが適当に返事をした。


『進路の紙?』
紅葉はモフモフに夢中で答えなかったが亜由美が
「高校卒業したら仕事に就くんです。っても島はそんなに選択肢ないので番に行くか家業を継ぐ人が多いですけどね」と教えてくれた。 



風雅は紅葉の授業の妨げにならないように人型になり学校の屋上で昼寝をするために訪れる。



『そっか…進路…紅葉がオレの神子や番をやめる選択肢がでるのか…』
神子や番を指名すると人間側に選択肢はないが風雅としては紅葉の意思は尊重してあげたいと思った。
仕事をするようになれば風雅の世話なんてする暇もないだろうからと。



『紅葉がやめる選択肢をするんじゃなくて強制的にやめることになるのか…』