食後に紅葉は風雅の部屋を訪ねた。

「風雅ヒマ?」
『うん』
風雅は嬉しそうに紅葉を部屋にいれた。

『どうしたの?オレと一緒に寝たくなった?』
「んなわけあるか!…これ」
『お茶?』

小さいペットボトルのお茶を出した紅葉

「アンタがさ、私の好きなもの一緒に食べたいって行ってたでしょ?食べるのは無理なら飲み物なら一緒にと思ったのよ。私はまだお酒は飲めないからね」

『紅葉…覚えててくれたんだ。ありがとう』
風雅が笑うと紅葉は照れくさそうに畳の上に座り顔をそむけた。
モンブランを食べてる途中に突然走りだしたのはこれを買うためだった。
もちろん家族が好む飲み物もしっかり買った。

『お茶も好きだったんだね〜食べ物なら好き嫌いなさそうだなとは思ってたけど』

「こんな時代遅れの島じゃジュースはほとんど飲めないからね〜水よりお茶の方が味あるから好きかな」

「風雅はさ、好きなものないの?この島で好きな場所とか風雅しか知らない穴場とかさ」

『オレは紅葉が好きだよ☆』
「オイッ!」

『嘘じゃないよ。紅葉が好きだしこの白神家が好きな場所だよ』
「ありがとうって言うべき…かしらね?」

お茶を飲み終わる少しの間、紅葉と風雅は話しをした。


飲み終わったお茶を片そうと風雅のペットボトルに手をのばす。
風雅はその手を取り、自分の懐に紅葉を引き寄せた。

「ちょっと風雅?」
風雅は紅葉の顔に近づけると紅葉は思わず目を瞑った。「キスされる!」と思ったのだがこない。
目を開けるとキスを寸前で止めていた。

『キスしたいけど紅葉が嫌がったら嫌われちゃうかな〜って』
離れようとする風雅の着物を引っ張る

「い…今更何言ってんのよ。寸止めの方が嫌…なんだからね」
風雅は紅葉に何度もキスを交わし紅葉も受け入れた。



紅葉は風雅の想いを少しずつ受け入れ、自身の風雅への気持ちを認めはじめていた。


部屋に戻るとしゃがみこんだ。
風雅と楓が自分から遠い存在になりそうで離れて行くかもしれないと不安があったから安心したくて風雅のキスを受け入れた紅葉。

ポケットからグシャグシャになった進路希望の紙を取り出す。

「風雅といたい…なんて書けるわけないじゃん」