「小太郎兄〜ご飯出来たよ!何してるの?」
「インターネットってやつ。ムク君とミク君の話しでは世界中に繋がって、世界の人と交流したりできるんだよ」
「凄い!でもあたし達は…」
「…そうだね。でも情報とか集められるんだよ。限られた時間で情報を手に入れたいんだ。それが島の未来の為になるならね」
「そっか。とりあえずご飯食べようよ」
「紅葉ご飯だよ〜…って言う前に嗅ぎつけて来たのね」
「まぁね〜美味しそう!」
「ありがとう。やり方さえ覚えれば簡単に出来たわ」
「クッキーは作らないの?」
「明日ね。帰った時にお父様たちに渡したいなって…焼きたてじゃないのは残念だけど」
今日の食事はグラタンとレンジで温めるレトルトやお弁当がメインだ。色んな料理で偏っているが、それもまた楽しい。
デザートに島にはないコンビニスイーツを食べようとした時、風雅はヒョコッと現れ、腰に手を置き嬉しそうに報告した
『紅葉はオレ、白虎の番になりましたっ!』
「えー!紅葉姉やったじゃん!玉の輿だ!!」
「嘘…一生無理だと思ってたわ。おめでとう」
「おめでとう。父さんに報告しなきゃな」
「……………チッ。」
紅葉は風雅をギロッと睨みつけた
『紅葉、そんなに嬉しそうにしちゃって♪』
「私は虎ちゃんの番になったんだからねっ!」
✱✱✱✱✱✱✱Side 風雅・小太郎 ✱✱✱✱✱✱✱
小太郎はパソコンでネットで情報を集めていた。
『やぁ。精が出るね〜』
「風雅様!」
立ち上がり頭を下げる
風雅は床に座り、酒を呑みはじめる。
『ネットってやつは面白いのかい?』
プリンターでたくさんの資料を印刷していた。
ムクとミクからインクと紙の在庫ないと怒られたので今は必要最低限におさえている。
「はい。知らない事がありすぎて…興味が尽きません。風雅様には僕も楓も美晴もすごく感謝しています!」
『オレじゃなくて紅葉に感謝しないと。オレが神子にしたいって思うほど、面白すぎるからね〜』
「この島は十六夜様という方の神通力で電気やネットが使えるのでしたよね…」
『そうだね〜…もしかして西ノ島にもして欲しいの?』
「え…していただきたい反面、便利に慣れて風雅様がいなくなったら困ることになるでしょうから、自分たちの力でしなければと思います。だから僕には有意義な旅です」
『真面目だね。守りがいがあるね〜』
✱✱✱✱✱✱✱Side 3姉妹 ✱✱✱✱✱✱✱
紅葉、楓、美晴は同室。
楓と美晴は明日、帰る準備をしていた。
「レンジで今川焼きとお好み焼きとホットドッグ、コーラにケーキ持って来たよ〜」
「紅葉姉…まだ食べる気?太るよ!」
「無限胃袋が羨ましいわ」
「せっかくの旅行なんだし〜島にレンジないんだから堪能しないとね〜」
「たしかにそうだけどさ〜」
「ちょっと美味しそうな匂い」
「乙女は食べ盛りの永遠の成長期よ〜!」
女子会が始まった
「いつぶりかしらね、3人で話すなんて」
「夜は暗いから強制的に寝なきゃだもん」
「明日で楽しいの終わりか〜」
「私、一生の思い出にしたいな」
「…なんかごめん。私は風雅がいるから行けるんだろうけど…」
「紅葉らしくないわ。街に出る時に買い物お願いしていいかな?」
「楓…」
「あたし楽しいって思ったの久しぶり!紅葉姉が風雅様の神子になってくれたおかげだね!」
「…美晴」
「で、ミステリー屋敷で何があったのかしら?」
楓の目が光ったような気がした
鵺に襲われ、風雅に助けられたと話すと楓と美晴は盛り上がった
「おとぎ話の王子様じゃな〜い!!」
「あたしも王子様欲しい〜」
「……」
「番ってたしか結婚するんだよね?」
「え、結婚!!」
「風雅様は神獣でしょ?どうなるのかしら?食べられるとか?」
「虎ちゃんなら大歓迎だけど、風雅はなぁ…」
「紅葉は風雅様のことどう思っているの?」
「虎ちゃんのオマケ?」
「恋愛的によ!キスしたんでしょ!」
「あれはノリや雰囲気だけだって」
「先が思いやられるわ…風雅様も紅葉姉なんか選んで苦労しそう」
女子トークも盛り上がり、紅葉が持ってきた食べ物は全て完食していた
━━━━旅行最終日。
「カンカンカンですぅ〜」
「起きる時間なの〜」
ムクとミクがフライパンを鳴らし、起こしにやってきた。
大きなあくびをし、全員夜更かしをしてしまったので寝不足だ。
『紅葉〜番におはようのキスは?』
「するかボケ!」
眠い紅葉は不機嫌だ。
朝はどっかのカフェで優雅なモーニングと決めていたので、朝は早い。
ゆっくり朝風呂とはいかずとも風呂でサッパリし頭を覚醒させ今日の準備をしていた。
今日の予定は西ノ島と東丿島の丁度真ん中あたりの街のショッピングモールで1日買い物をし、夕方前に十六夜の島に戻り、帰る準備をして西ノ島に帰島予定だ。
「人間は忙しいのですわん」
『そうだね〜』
「番をお迎えしたそうですね。おめでとうですわん」『ありがとう〜』
「天界にお連れするですわん?」
『ん〜…どうかな?』
モーニングはBLTサンド、ハムチーズサンド、ホットケーキ、トーストセットなどにコーヒーと旅最後の朝食を楽しんでいた。
開店すると小太郎は眼鏡が見たいそうなので、小太郎が眼鏡を選んでる間、風雅が目に届く先にいなければいけないので、同じ階にある女の子向けショップによることに。
バッグや小物、文具やコスメなどオシャレな商品ばかりだ。
『欲しい物が決まったらいうんだよ〜なんでも買ってあげるよ☆』
「はーい!」
「このコスメ可愛いわ。ボトルも可愛いから終わったら飾れそう」
「このぬいぐるみモフモフだ〜全部買うわ!風雅〜」
「あっ…」
美晴が何かに気がつくと紅葉と楓は美晴と同じ方向を向いた。
女子中学生らしき女の子たちがいた。
女子中学生たちはオシャレでモデルのようなスタイルがいい子たちだ。
「学園祭マジきついわ〜」
「あんたのクラスは何やるの?ウチらは〜」
「……」
美晴がテンションが下がってしまった。
「美晴、大丈夫?」
「うん!やっぱり街の女の子はオシャレだな〜って自信なくなっただけ!」
「美晴もコスメや服でオシャレすればいいじゃん」「そうだねっ!」
美晴と風雅はお会計をしている間、紅葉と楓は店前のソファーで座っていた。
「美晴はきっと学校に行きたいんだわ」
「じゃあ行けばいいのに」
「もう紅葉のおバカ!行きたくてもまだ無理なのよ!次、同じことあったら二度と行ってくれないわ。今更、行きにくいのよ」
「美晴は悪くないんだし堂々と行けばいいのに。難しいか…」
小太郎と一度合流し、また小太郎は別行動で介護専門店に行ってる間、同じ階では物産展や海外から取り寄せた店に寄り大量に購入。
美晴はすれ違う制服を着た女子中学生を見ると下を向いていた。
昼はお高いお店で食事をし、服やアクセ、書店やドラッグストアで買い物を楽しんだ。
小太郎も出来上がった新しい眼鏡に感動していた。
帰りに家族のお土産にとドーナツとお高いチョコレートや焼き菓子などを購入。
外の出店でクレープとフラペチーノを飲んでいると、紅葉は何かに気付き走って行ってしまった。
「紅葉!お前危ないだろ!」
小太郎がとめようと声かけるが聞いてない
「かわいい〜〜」
紅葉はヨダレを垂らしながらゲヘヘ〜と変な声を出していた
『オレ以外もこんな反応するんだ〜』
「ほんと可愛い〜」
「にゃんこ〜」
紅葉が見つけたのは野良猫だ。
白猫のお母さんに茶トラ、黒と白、黒、ミケの4匹の子猫たちだ。
「にゃーん」
お腹が空いているようだ。
「お腹空いてるのね。コンビニで買ってくるわ!」「紅葉、野良に餌あげたら駄目だよ。無責任すぎる」「でめ〜モフモフが…」
『この子たち飼おうか』
「ふ、風雅様…」
風雅には反対できず、楓も美晴も飼いたいと同意した。
「なんか毛色バラバラね」
『………なるほど。白猫ママの子は黒と黒白の子らしいね。あとの子は懐かれたから面倒みてるだけだって』
「へ〜優しいんだ」
「って猫の言葉わかるの!」
『うん。神獣だからね。この白猫ママは人間に捨てられたんだってさ』
「こんなモフモフを捨てるなんて!お前が人生から捨てられろ〜っての!!」
モフモフ大好き紅葉は猫を捨てた人間にブチギレていた。
風雅が飼うと決めたので、ペットショップに寄り最低限必要な物を買った。
風雅と紅葉に後日にでも街に行ってもらい揃えることにした。
十六夜の孤島に戻る。
ムクとミクに猫たちを見てもらう。
「可愛いニャンコですぅ」
「鹿の方が可愛いの〜」
『綺麗にしてご飯あげたいんだ。お願いできる?』
「了解ですぅ」
せっせと準備をはじめる
「猫は苦手ですわん」
「こっちは帰る準備しなくちゃね…」
「うん…」
楓と美晴は寂しそうに呟く
紅葉たちが荷物を詰めている間、
風雅は綺麗にしてもらい、餌をガツガツ食べる猫たちを眺めていた。
「荷物はこの台車ってやつに入れるなの〜十六夜様が準備してくれたの〜」
風雅(神獣)に台車を縛った。
『不格好だなぁ…』
「サンタクロースみたいでいいじゃない」
「うつ…う…ぐずっ…」
美晴が泣いてしまった
「美晴…楽しかったね。」
「…うん」
「…帰りたいって言わないの偉かったよ」
「…うん!風雅様との約束だったもん」
楓は美晴の背中を擦った。
「「「「お世話になりました!!!」」」」
紅葉たち4人はムクとミクと葵、そして十六夜の島に最後の挨拶をした。
「また来るなの〜」
「ボクたちも天界に帰ったら十六夜様に報告するですぅ〜」
ムクとミクと葵は手を振る
━━━━西ノ島
白神家の中庭に到着する。
姿が見えるようにすると、すぐに両親と司が出迎えてくれた。
「ただいまー」
「おかえりなさい!」
『オレたちがいない間、何事もなかった?』
「はい、お変わりはございません」
使用人たちに一番広い部屋に荷物全部運んでもらい、改めて家族が揃い、報告会だ。
まずは猫のこと。
風雅が飼うと決めたので、誰も反対はしなかった。
猫の名前は後で決めるとして、風雅は面白いものみせると言って猫たちを集めた。
猫たちの前に手をかざした。
紅葉は風雅の神通力の光りが見えていた。
他の家族には神通力がないため、手をかざしているだけにみえる
『この猫たちはオレの使いにしたよ』
「ムクちゃんとミクちゃんみたいな感じ?」
そうだとつげる
「助けていただいてありがとうニャ」
白い母猫が喋る。
一同は驚く。子猫たちはまだ喋れないらしい
使わなくなった座布団をあげると猫たちは気持ちいいのか寝てしまった。
そして風雅は紅葉を番にした事と鵺のアヤカシの件を報告。
「紅葉が番…」
『お父さん、オレに娘さんをくださ〜い☆』
「お父さん……む、娘をよろしく…お願いします」
『今夜さっそくヤッていいですか?お父さん!』
「高校卒業まで待っていただけますかな」
『は〜い』
軽いノリの風雅に対し紋十郎は心で泣いた。
紅葉も大事な娘をこんな軽い男に渡したくないのだが、相手が相手なので駄目とは言えず堪えるしかなかった。
「母さん、胃薬頼む…」
「わかりましたよ」
観光ルートごとに話しつつ、お土産など渡していた。
小太郎は十六夜の孤島に行った時の街の人と同じ生活環境の違いを語る。
街と島はどれほど時代遅れているかや、インターネットで色んな情報を調べたと印刷した資料を手渡した。
紋十郎たちは興味深そうに資料を読んだ。
「あとでゆっくり読ませて貰うが」
「母さんには介護資料ね」
「ありがとう」
小太郎、楓、美晴は可能な限り、インスタントカメラで写真を撮影していた。
それぞれ見えたものが違い、興味深そうにしている
「時代に取り残された気がしたわ…」
「島の幹部たちと今後の話し合ってみよう」
「司は熱心に何みてるんだい?」
小太郎が司に尋ねるると食べた料理の写真だ。
「作れないかなと思ってな」
「司は料理上手だからね」
「あ…」
小太郎が調べた資料に目がいく美晴
小太郎はそれに気づく
夕食時になっても話はとまらず、楽しそうに話す小太郎と楓、帰ってきてからずっと興味深く聞いている両親と司。
すると美晴は話しを切り出す
「あのさ…お父さん、神社って人手不足なんだよね?」
「そうだな」
「……私、手伝いたいなって…平日ならクラスの人いないからさ……ダメ?」
「………」
直美は涙を流し、紋十郎は「ぜひ頼む!助かる!」と美晴の言葉に喜んだ。
「よかったね、風雅」
『そうだね』
まだ学校には行けないが、4年間引きこもりの美晴が外に出ようとしたことは大きな一歩だ。