番外編⑦【神子を溺愛する白虎様と野獣の神子】


「パンチにゃ〜」
「キックにゃ」
「「まいったかにゃ?」」
『うん、まいったよ』
『やったにゃ〜』
パフェとチョコは白虎(赤ちゃんサイズ)の風雅相手に攻撃していた。
痛くもなく、じゃれている程度にしか思わないくらいだ。
風雅が外を見上げると紅葉がひたすらジャブの自主練習をしている。

実は最近、戦いの神様である武神に筋がいいと褒められた。
風雅が仕事をしている間、紅葉は神通力の力である怪力を高めるため武神に弟子入りをした。
パフェとチョコは紅葉の真似をしていたというわけだ。
紅葉をまねるようになってからは風雅たちの住処である白虎神殿のカーテンを引き裂いたり、花瓶を割ったりとおてんば盛りだ。
普通の子猫とは違い、風雅の神通力を与えられているので、体も丈夫で怪我をしても休めば治るので放置している。

「虎ちゃあああんっ!!」
『紅葉、自主練習は終わったのかい?』
風雅に気がつくとダッシュでやってきた紅葉。
風雅(虎の赤ちゃんサイズ)の匂いを嗅ぎ、猫吸いならぬ虎吸いをしまくっていた。

『…………』
風雅は終わるのをじっと待った。
ようやく気が済んだのか風雅を離した。

『最近、なんだか強くなったね〜』
「そう?」
紅葉は元々、神通力の力は微弱。
神通力は鍛えても強くはならないのだが、紅葉は自信に溢れているような無敵オーラをまとっているかのようだ。

『鵺のアヤカシに襲われて泣きながらオレの名を呼んでた時とは大違いだよ〜』
「う!言わないでよ。アイツに酷い目にあったから………」
からかう風雅を紅葉はその時を思い出したのか赤面。

「今ならアヤカシをワンパンでぶっ飛ばせる気がするわ」
『あははっ。アヤカシが可哀想すぎるからやめようね〜』
「チッ」
舌打ちするもニヤッと悪い顔をする。
その顔はまさに野獣。


「ご飯ないにゃ〜」
「モリモリ食べたいにゃ!」
キャットフードの箱をひっくり返したパフェとチョコ。中はすっからかんだ。
『無くなってたの忘れてた。今から買いに行こうか。ついでに西ノ島にも寄ろうか』
「うん。シロコたちに何か買っていこう」
風雅は神獣の姿になると紅葉と子猫たちを乗せた。

「ママ会う、黒糖、寅次、ぶとばすにゃー!」
「ぶとばすにゃー!」
パフェとチョコはやなかなか怖い事を言っている。
『シロコに怒られるよ〜』
「ママにゃ?」
「ママ、こわいにゃ〜」
パフェとチョコはしょんぼりしながら紅葉にしがみつく。

『じゃあ行くよ〜』
風雅は風のように走り出した。