番外編③【風雅はじめての……】

西ノ島のハロウィンイベントをを控えた2日前。

白虎神社で栗拾いをした日、風雅はある事を思いつき司から栗を少し分けてほしいと頼んだ。

翌日のハロウィン前日に街に出掛けた。

『まずは本かな?楓が興味深そうに読んでいたのはたしか…』


次に来たのは製菓専門店。
先ほど購入した本のページを指し店員に探してもらい購入。


買い物が終わった後は十六夜が住処にしていた小さな孤島へ。
西ノ島と同じような結界が張ってあり、人間には見えない仕様だ。
以前、風雅と紅葉たち白神家が宿泊した場所でもある。

島には大きい屋敷があり、まっすぐキッチンに進む。

腕を捲り『さてと…』テーブルに買ってきたものを出す。

風雅は紅葉のために「モンブラン」を作ってあげたいと考えた。
『オレが誰かのために何かしてあげたいとか、そもそも誰かを想うなんて考えられなかった。凄いね、紅葉も白神家も』

「女の子は好きな人のために手料理を作ったりするんです」
「ラブレター渡したりね〜」
以前、楓たちに恋愛相談したところそんな話しを聞いた。
東西南北の島は閉鎖された島のため時代遅れだ。
霊力のない人間住む「街」のようなスマホやパソコンなど電子機器や電話などはないので恋愛に限らず昔ながらの手法が多い。

風雅は紅葉ならラブレターとかの紙きれよりも食だろう手料理を選んだ。
紅葉と楓の共通の親友である亜由美にアドバイスを参考にした。


土台のタルトやスポンジは市販だが初めての料理どころかお菓子作りに苦戦していた。




紅葉が風雅の番になるか決める日。
紅葉は風雅を受け入れてくれた。

口では『逃さない』だの『素直に好きって言えば』など笑いながら自信ありますよ、な態度だったが内心はドキドキしていた。

紅葉を神子や番にしたのは神としての傲慢だったし昔の自分なら何とも思わなかった。
今は紅葉の気持ちを大切にしたいと想うからこそ、自分の傲慢さに反省した。




『紅葉は変なところ素直じゃないし、たまには傲慢なオレがでてきてもいいかな?……なんてね♪』