✱✱✱✱✱✱✱Side  楓&氷空   ✱✱✱✱✱✱✱
『元・生贄の島の掃除と様子見て来てよ〜いずれオレの住居か宿場にするし〜』と何故か楓と氷空の2人が任命された。
白虎様の命令には逆らえず、風雅(神獣)に送ってもらい風雅に生贄を捧げていた無人島に来ていた。

「ここが…西ノ島の半分?それより小さいくらいかしら?」
楓は興味津々だ。
明日の昼前に風雅が迎えに来るので一晩、氷空と2人っきり。
食料や着替えは準備したので困ることはない。

小さい小屋に荷物を置き、島を探検することにした。

「綺麗な場所ですね。生贄を捧げていた場所と聞き、もっと殺風景かと思っていました」
「そうね。あ、ここが紅葉が生贄に連れていかれた…風雅様と会った場所ね」
入り口は人一人くらい通れる高さだったが奥に進むに連れ、広くなっていた。
それから色々回る。

「海が見える露天風呂なんて素敵。夜はアロマキャンドルとか焚きながら星空を眺められそうだわ」
「はい」
楓は自分の表情が氷空に見えないようにしつつ、困った顔をした。

一緒に島を周ったり食事の準備をしたりと2人にとって有意義な時間を過ごした。

「ねぇ、氷空。一緒に露天風呂入らない?」
「えっ?ああああの…!?」
「暗いから大丈夫よ。嫌?」
氷空は愛する楓の誘いは断れなかった。恐る恐る2人で湯船に浸かる。
足元に明かりを照らすが少し距離を取る。

「この島には私たちしかいない。私たちだけの世界みたいで素敵ね」
「私たちだけの世界…そうですね。風雅様には感謝しなくてはいけません」

「……私のこと本当に好き?」
「もちろんです!楓さんを生涯愛する覚悟です!!」
「……嘘。だってキスすらしてくれないじゃない!紅葉や…美晴だってキスしてたのよ?私は?私には何もないわ…」
楓は氷空が自分を大切にしてくれることも本当に愛してくれることも、そして内気で奥手なこともわかっていた。
それでも不安になる。心の狭い自分に嫌気になるくらい。
『楓は紅葉のヤバい性格に隠れて、いつも控えめだね〜たまには甘えて我儘言ってごらん』と風雅からこっそりとアドバイスをもらい島に来た。

「ぼ…僕は楓さんを愛してます!いつだってハグやキスとか…そ、それ以外の事とかいつかはと考えています!」

楓は氷空の元へ行き、抱きしめる。

「私を愛してるなら今すぐ私に考えてる事してよ!拒否するなら離れてやる!」
いつもおっとりで控えめな楓が今は大胆になっていることに驚きつつ、楓の想いを受け入れ慣れないながらも優しいキスをした。

一組しかない布団で2人は愛を確かめ合った。



翌朝、真剣な付き合いをしているとはいえ、学生に手を出したことは罪悪感と幸福感がごっちゃになっている氷空。
楓は不安が消え、幸福感もありつつ思ったより激しい氷空にビックリしていた。