12月を迎えると白神家は年末年始の準備で忙しくしていた。
年末年始の神社では参拝者が多く、また今回は白虎様が降臨中とのことで盛大にやる予定なんだとか。

風雅は神社の空き部屋で稽古をする紅葉たちをニコニコしながら楽しそうに観ていた。

紅葉たち白神家は新年を迎え島の無事を祈願をするため白虎様に捧げる舞の稽古をしている。

音楽が終わると風雅はパチパチと拍手をする。

「恐縮です」と頭を下げる小太郎たちに対し、紅葉は「目の前にいるんだしご利益もないんだからやらなくてよくない?」と悪態をついていた。

風雅は「紅葉、お茶〜」と気にしていない。

休憩がてら紅葉たちは別の部屋に移る。

「風雅様は本当に変わった…いや、寛大な方だな。神なら紅葉の失礼な態度に腹を立てているだろ、普通。天界行って大丈夫かアイツ…」

「そこが気に入られたんだよ。紅葉も白神家として礼儀作法は身につけているし風雅様が守ってくれるよ」

小太郎と司は紅葉と風雅の背中を見ながら話す。

「そういえば兄貴は白虎様のご利益知ってる?」
「邪気を払ったり金運とか家庭円満、子孫繁栄かな?」
「それもあるだろうけど、白虎の美しい姿を見た者は幸運に恵まれるんだ。紅葉は幸せを手に入られて、風雅様が紅葉を気に入ったことで俺達にも幸運のおこぼれをもらったろ?」

小太郎は言われてみれば…と思い返す。

紅葉は風雅が近くにいるから守ってもらえ、紅葉に間違えられ苦労した楓は氷空と運命の出会いをし、卒業後は氷空のところで医学を学ぶため医療関係の道を諦めずに済む。
氷空がいたことで氷空の弟の魁と出会い美晴は学校に行くようにもなったし、静香の父親の病気も回復の見込みがあり良好だ。
ついでに紅葉に拾われた猫たちも幸せそうだ。

「たしかにね」
「…父さん達にはまだ言ってないが実は3人目に恵まれそうでな」
「え?司の奥さん、おめでた!良かったね」

ニカッと笑いながら小太郎の頭をポンポンする司。

「兄貴も頑張れよ」
「うん。…って、弟が兄の頭撫でるなよ〜!」