小太郎のことや美晴のことがあった週末、風雅とデートしょうと誘われた。
風雅は西ノ島の守り神で神様から任されており、島の見回りをしている。風雅の場合は1年に1回の生贄を捧げられた時に見回りをしているんだとか。
今回はデートついでに見回りをする
軽くて不真面目そうな風雅に神様よく怒らんな…と思いつつ、歩き回るのでスニーカーだが紅葉らしくオシャレをした。

『紅葉、可愛い。オレのために悩んで選んでくれたんでしょ?オレって幸せ者だね♪』
「う…うるさい」
『あはっ。じゃあ行こうか』
恋人繋ぎをしながら。

寄り道や話しを色々とした。
気になっていたのは鵺のアヤカシ。
アヤカシの世界では番の人間を守るための法などもあるそうで、鵺は逃げ回った結果、捕まり裁きはこれからだとか、鵺一族は数年は西ノ島の出入り禁止になったこと。

西ノ島には最上位の天狗のアヤカシがいないのは大昔、島ができる前に無差別に女性を攫ったことがあったのだが、天狗の当主は西ノ島で同じ事をしたり、あげくに島ごと乗っ取ろうとして女好きの風雅がブチ切れたためだとか。
アヤカシは上下関係がある影響で、他の島では島の主(本家や長)の一族を除き、アヤカシの番で権力を振りかざす番がいるなど教えてくれた。

「色々あんのね…今は西ノ島ってかなり平和な島なんだなって感じるわ」
『そうかもね』


綺麗なオレンジの夕日を背に海辺を歩く。

「まだ半分も回れなかったね。…私の寄り道が多くてごめん」
市場の方へ行くと店が並んでおり、風雅と通るたびに「風雅様」「白虎様」と拝まれ、供物として色々とタダでくれた。
風雅は食事をしないので白神家がありがたくいただくことにした。

『また来ればいいよ。次もデートしょうね』
「…し、仕方ないからしてあげるわ」
素直になれない紅葉とは違い、風雅は恥ずかしい言葉をニコニコしながら言ってくる。
紅葉は心臓がいつか耐えられなくなるんじゃないかと本気で頭を抱えるほどに。


『前から紅葉に伝えなきゃって思ってたことがあるんだ』
「なに?」


『オレと一緒に天界行こう!』





「は?」