『ところでさ"島の医学では”治せないんだっけ?』風雅はチラッと楓と、家族の話しだからと部屋には入らず廊下で待機している氷空がいる方角をみた。

楓は気がつき「相談します!」と慌てて襖を開け氷空に事情を説明すると「確認しないとなんとも言えない」とのことで、明日にでも静香にこの事を説明し病院に行くことに決めた。


小太郎はまだ助かる可能性があるかもしれないと思ったのか少し安心した顔をした。


小太郎も一緒に家に帰った。
紋十郎の様子を見に行くと日中、孫である司の子供たちがお見舞いに来ていたらしく娘も大好きだが孫可愛い大好きなので、すこぶる元気になったとのこと。


「えー…嘘でしょ…」

紅葉は頭を抱えた。
自室に戻ると今朝、壊したベッドは片付けられていた。


それはいい…いいのだが…

「なんで風雅の部屋で寝なきゃいけないのよ」
「風雅様のご希望だからよ。お父さんには絶対言えないけどね」
直美が風雅の部屋で布団を敷きながら教えてくれる。
風雅としては一緒の布団に寝たがったが紅葉は学生だからと布団をくっつけるだけに妥協してもらったんだとか。

風雅は布団の上であぐらをかきながら嬉しそうに手招きしていた。

「……」
仕方なく布団に入る

「近寄ったらぶっ飛ばすから!」
『オレには紅葉の怪力効かないよ〜』

むぅ~と警戒しながらも風雅と話しをした。
明日も学校なので少しの時間だけだが。

「小太郎兄ちゃんってよく悩み事あるなとは思ったけど私のせいとは思わなかった…私、家族に迷惑を掛ける霊力なんていらないのに…」

『島にいる以上、誰しも霊力は生まれつきだし、紅葉の場合は神通力があって面白いからオレの神子になってアヤカシと結婚せずに済んでよかったじゃない』
「そうだけど…神が私の旦那になるのはね…って面白いは余計でしょアンタ!!」

布団から足蹴りを喰らわすが『生意気で面白くなかったら神子にしてなかったしいいじゃない〜』と軽くかわされる。


「ハァ〜風雅は悩みなさそうよね」
ため息を付きながら呆れていると、風雅は紅葉を好きになり悩んでクラスメイトの女子達に相談したこと、初代神子に無神経だの人の心がないだのボロクソ言われた事を話した。
紅葉の同意なく神子や番にしたのも渡したくない独占欲の感情や神の傲慢さだったと話す。

「美晴のために神様に頭下げてきたんでしょ?人の心あるじゃない」
『昔と比べたら穏やかになった方だよ〜。美晴が島の人間が出られないのは犯罪者だか生贄みたいって言ってて疑問を感じたんだ。オレにはどうする事も出来ないけど、せめて島の当主家族に外の世界を見せて島の為にならないかってね』

「…風雅は優しいから好きよ。私のことも家族のことも大切にしてくれるし…わ、私の番なだけあるわ。褒めてやるから喜びなさいよねっ!」
紅葉は照れながら伝えると風雅は嬉しそうに頬を染め『ありがとう』と笑うと紅葉はドキドキした。


『紅葉に伝えなきゃいけない事があるんだ。………でも今はそんなことよりオレ、紅葉にキスされたいなぁ〜』
「いや、伝えなきゃいけない方を教えてよ」

『それより鵺のアヤカシにキスしたのが許せないよ〜オレにも濃厚なキスして!』
風雅は上半身だけ起こし手を広げた。

『オレのこと好きならできるよね?』
ニッコリする風雅に「ぐぬぬぬ〜」と恥ずかしがりながらも雑で乱暴な紅葉らしいキスをすると風雅は紅葉を抱きしめ押し倒し、キスのお返しと言わんばかりの濃厚なキスをする。

『今すぐ紅葉とヤりたいけど紋十郎から高校卒業まで待つように言われたからキスだけで我慢するよ☆』



紅葉の体内時間で何時間も何度も何度も激しいキスをされ、恥ずかしさや風雅の愛の重さに耐えられず気を失うように寝てしまった。