心配させるかと言わなかったが、兄弟たちが心配している姿をみて話すことにした。
小太郎にとっては藁をも縋る思いだ。

神社は猫たちに参拝者が来たら知らせてもらうことにした。

落ち込んでいた理由は静香の事。
静香の家庭は静香と父親の父子家庭。
アヤカシから静香を番にと打診があったが長女しかいない家庭だからと断わっていた。
静香の家は小料理で売りは自家製の作りたてのお酒が呑める。
風雅も自家製のお酒に興味を示していた。

静香が数年前から白虎神社に訪れていたのは父親が体調を崩していたから。
その数年前から病院に通院しているものの、店の営業には支障はなかったので小太郎とも恋仲になるほど余裕があったのだが、ここ最近は特に体調が悪化し現在は入院しているんだとか。
今の島の医学では治せず、いつ死が訪れてもおかしくないと。

父親にせめて花嫁姿を見せて安心させたいと小太郎と結婚を悲願をしたが、小太郎は迷った結果、断わった。
小太郎は愛する人の力になれず悩み嘆いていた。


「小太郎兄ちゃんは静香さんと結婚したいならすればいいのに何で断るの？」
紅葉は疑問を口にすると理由を知っている司は困っていた。

『紅葉に理由話していいかな？』
「…はい」

『小太郎が恋人や結婚しないのは紅葉のためだよ。白神家の次期当主として兄として、アヤカシに困っている紅葉を守るため。アヤカシに静香って人が被害に合う可能性もあるから接触も控えてたんだ』

「え……」
風雅から理由を聞き、紅葉は言葉が出なかった。
「私の……ごめんなさい……」と気落ちしながら呟くと風雅は紅葉の肩を抱き、頬にキスをする。
紅葉には抵抗する気力がない。

『小太郎、オレの紅葉を守ってくれてありがとう。これからはオレが紅葉を大切にするから安心してよ』

司たちはハロウィンのパーティー後から雰囲気…というか、風雅の甘々さと紅葉のわかりやすいくらいの反応で気が付いたのだが落ち込んいた小太郎は今、気づいた。

『もう心配しなくて大丈夫だから告白しておいでよ』

小太郎は頭を下げ喜びと感謝を伝える。

落ち込んでいた紅葉も喜ぶ小太郎をみて、いつもの元気を取り戻した。