放課後、いつものように神社へ手伝いに行くと美晴が手を振り、氷空も「お疲れ様です!」と声を掛けていた。
魁は両親に報告に行くとアヤカシ界に一度帰っていった。
説得に数日かかるかもとの事だ。

「寂しいんじゃない?」
「大丈夫だよ。魁はあたしが好きなんだから説得してくれるもん!」
「一目惚れでよくやるわね」

以前、風雅から虎のアヤカシは一度愛した人を一生愛し続けるほど愛が重いらしいと聞いていた。
美晴はひとまず置いておいて、気になるのはもう一人。

「小太郎兄ちゃんは?」
「それがね〜朝、私が来た時にいなかったの。先に来てた司兄が出掛けたってさ」

「心配ね。美晴は何か聞いてないの?」
美晴は首を横に振る。

「風雅なんとかできない?」
『ん?…必要ないみたいだね』
風雅が指をさす方を見ると小太郎がトボトボと疲れきったような姿で歩いていた。
「小太郎兄貴!」司が声を掛けても無反応。
空き部屋に籠もってしまった。


部屋に籠もった小太郎は部屋の隅で膝を抱え顔を伏せっていた。

『やっほ〜小太郎!』
静かな部屋に突然、明るい声が響きガバッと顔を上げると風雅がいた。

「風雅様…」

『悩み事かい?神頼みってことでオレに話してみない?』

「え……はい」
白神家は白虎を祀る一族でこの白虎神社を管理している。だから宮司の小太郎も白虎を神として崇め、信仰心がある。
話しをしょうと口を開こうとしたが止めた。

風雅も気づくと風の力を自分の手のように使い、器用に襖を開けた。
襖が開くと紅葉たち3姉妹と司が聞き耳を立てていた。人間でも霊力の強弱がわかるので紅葉の霊力の強さで気づいたんだろう。