白神家の屋敷に帰ると使用人からアヤカシのお客様が来ていることと紅葉たちも同席してほしいとのことで、客間に向かった。

客間には直美と美晴と少年の姿がある。

「夜分に失礼致します」
少年は白神家当主である紋十郎に丁寧に頭を下げた。

「あれなんかデジャヴ?」
楓が氷空を連れて来た時と似ているなと紅葉は思った。

「魁?」
「氷空兄様…」

「えっ?」

使用人にお茶を淹れてもらい改めて話しを聞く。
少年の名は「(かい)」。
氷空の末の弟らしく虎のアヤカシだ。黒髪で髪の先端あたりがオレンジで、目は少しツリ目で意思が強そう。
美晴と同じ13歳で身長美晴より数cm小さい。

「氷空兄様からハロウィンがあると聞き、理久兄様と西ノ島を訪れたところ美晴…さんと出会い、一目惚れし番にと。氷空兄様から本人やご家族に了承得られれば長女じゃなくとも番が可能だと聞き、許可をいただきにあがりました」

「理久も来てるの?」
「理久兄様は番が見つからないと先にアヤカシ界へ帰ったよ」

「数時間待ってたの?」
「美晴…さんと司さんって方と神社で話しをしてからコチラへ参りました」
紋十郎が神社へ出掛け、行き違いをして会えなかったため待っていて、先に帰って来た直美が話しを既に聞いていたらしい。

紋十郎は頭を悩ませた。

紋十郎は意識を失って倒れてしまう。

「「父さん!!」」

「寝室に運ばせましょう。氷空さん、うちの人の診察お願いしますね。魁くん、美晴、話しは明日ね。魁くんは泊まっていける?」
「…はい」
慌てる紅葉たちとは違い、直美は冷静だった。