パーティー会場に戻ると風雅が紅葉を甘々でとろけるような愛しそうな目で見つめていたのに一番最初に気づいたのは楓だ。

「きゃあっ。風雅様、やりましたね!紅葉もおめでとう!」と小さく呟きガッツポーズをした。

「楓さん?」
興奮した楓が突然どうしたのかわからない氷空。

「紅葉がやっと素直になって結ばれたの!やっぱりハロウィンは恋のイベントだわ!」
「恋ですか…」
幸せそうに2人を見つめる楓を氷空は辛そうに見つめ胸元をキュッとさせた。


『そうだ!紅葉、オレにもトリックなんとかって言ってよ』
「ん?トリック・オア・トリート!」
『紅葉なら悪戯されたいけど〜はいっ!』

風雅が差し出したのはホールサイズのモンブランだ。
さっきまで手ぶらだったのだが一体どっから出したのか…。

「もしかして風雅の手作り?」
紅葉はモンブランを見るとプロが作ったと思えないほどモンブランクリームが適当で栗が雑に埋めこまれていた。

『うん。紅葉はモンブラン好きだから、オレは美味しそうに食べる姿や喜ぶ紅葉の顔が好きだから』

「…ありがとう」
『紅葉は家族と分け合おうとするけど、できたら紅葉一人で食べてほしい』
「わかった。…い、いただきます!」

一口パクッと食べ味を噛み締めるようにゆっくりモグモグしていた。

「見た目は最悪だけど味は最高ね。美味しい」

『紅葉〜』
「ん!…食べてる最中はやめなさい!」
風雅は嬉しくて紅葉にキスをしたが嫌がり怪力でバシバシ叩かれるも嬉しくて仕方ない風雅だった。



司は紅葉たちを笑いながら見ていると小さな人影が見えたので追いかけると人気のない場所で膝をかかえ塞ぎこんでいた小太郎がいた。

「兄貴?」
「司か…ごめん…そっとしといて。今日は神社に泊まるって父さんに伝えてくれないかな……」

気力が無くなっているようなので「わかった」とだけ返事をしパーティー会場に戻る司。