━━━━放課後。
神社へ行くと深く頭を下げて「待ってました」といわんばかりの氷空が待っていた。

「楓さん、勉学お疲れ様でした」
「あ、いいえ…」

楓と氷空が話している間、紅葉と美晴はその光景をみながらコソコソ話しをする

「番になるまで下手にでて番になった途端豹変するんじゃない?虎って肉食獣だし」
風雅の方に目をやるとニコニコしている風雅。
なんだか恥ずかしくなり紅葉は目を背けた。
返事は2日後の予定なので普通に接しているが時々、意識してしまう。


「氷空さん、15時ぐらいから外で正座待機してたよ。部屋で待ってたらって言っても聞かなかったの」
美晴が様子を教えてくれた。
今日は掃除当番の日だったのでいつもより少し遅かったとはいえ、2〜3時間は正座待機していたことになる。

「愛が重い…」
「風雅様だって愛が重いよ?紅葉姉のために娯楽のノリでヤってた生贄やめたんでしょ?よく風雅様目当てで神子や番になりたいって女子来るけど相手にしてないんだよ」
風雅は学校に遊びに行くか神社で猫たちとお昼寝をしている。
仕方なく小太郎や司が追い返し、よく仕事が増えたと嘆いていた。

パーティー会場となる大部屋で飾りつけをはじめる、
紅葉たち3姉妹たち。

アヤカシの氷空は体が丈夫なので高い所や力仕事を任せた。
「楓さんが喜ぶなら!」と文句も言わず働いていた。


氷空の偵察をしていた黒糖から風雅に様子を伝えられる。

『なるほど〜…あれからアヤカシの世界に帰って行って昼には一度自分のテントに戻り神社に来て、あとは美晴の言ってた通りだって〜』

怪しい所はないが色々と気になるばかりだ。

「アヤカシってたしか4つの島に行ったり来たりするんだよね?どうやって来てるのかな?船移動だよね」美晴の疑問に紅葉と楓はそういえばと考えた。

「地面からヌルッと来るんでしょ、鵺みたいにね」「鵺はそうだったわね。でもアヤカシはゾンビじゃないんだから…やっぱり船かしら?」

『島の入り江の洞窟があるだろ?人間は立入禁止の場所。あそこがアヤカシ界に繋がる異次元空間になっているんだ。普段はただの洞窟だけどアヤカシが通る時だけ開くんだよ〜他の島や霊力のない人間が住む街にもあるんだ』

風雅の話しに3姉妹は興味深そうに聞いていた。
アヤカシは番と同居していたり街に出没したり島の物資を届けるために一役買ってるのは知っていたが異次元空間から来ていることは初めて知った。