◆ ◆ ◆
「ちょ、ちょっと待って」
「あ? 手元狂うって!」
膝立ちで瑛二の足の間に入って、慎重に瑛二の左耳にピアッサーをあてていた俺。
ビビった瑛二がそんな俺をぎゅっと抱きしめるから、手が安定しなくて、なかなかスタッドを打つことができない。
「覚悟決めたんじゃねぇのかよ?」
身体を引き剥がそうとするが、片手じゃ無理だった。
「少しだけこうさせて」
さらにぎゅっとされて溜息が出そうになる。
瑛二がこんなにもビビりだったとは。
いや、見えないからなおさら怖いのか。
俺のときはといえば、かっこいいと思われたい一心で勢いでいった。
気付いたら、軟骨まで空けてて、やってしまえばなんてことないんだなと思った。
ここは気持ちと勢いが大事だ。
「穴空けねぇと、おそろい着けられねぇけど?」
仕方ねぇから、耳元で囁いて、少し卑怯な手に出る。
あんなにもおそろいに喜んでいたのだから、こうすれば流されるだろうと思った。
「っ……、頑張ったら、虎太郎、ご褒美くれたりする?」
俺の胸に顔を埋めた瑛二がぼそぼそとつぶやく。
「はあ? 自分から空けたいって言ったのに?」
呆れた。
しかも俺が空けてやるんだぞ?
8割甘やかしサービスだろ?
10割いけってか?
「虎太郎がご褒美くれたら頑張れる気するから。ね、お願い」
見えないはずなのに、間近で顔を上げて、俺に視線を向ける瑛二。
俺は瑛二の「お願い」に弱い気がする。
「……ちなみに、そのご褒美ってなんだよ?」
整った顔面攻撃に耐えながら、とりあえず尋ねてみた。
へんなのだったら、それにツッコミを入れる勢いでピアッサー押し込んでやる。
「虎太郎の顔がどんな感じなのか、触りたい」
「前も触ってたじゃんか」
「違う、ちゃんと触りたい!」
食い気味に言われて、ビビる。
なにをそんなに真剣に言ってるのか、と思ったが、このままこの熱意をピアスに向ければ上手くいきそうだ。
「分かった。約束な」
俺も真剣な声で答えて、再びピアッサーを瑛二の耳にあてる。
「ちょ、ちょっと待って」
「あ? 手元狂うって!」
膝立ちで瑛二の足の間に入って、慎重に瑛二の左耳にピアッサーをあてていた俺。
ビビった瑛二がそんな俺をぎゅっと抱きしめるから、手が安定しなくて、なかなかスタッドを打つことができない。
「覚悟決めたんじゃねぇのかよ?」
身体を引き剥がそうとするが、片手じゃ無理だった。
「少しだけこうさせて」
さらにぎゅっとされて溜息が出そうになる。
瑛二がこんなにもビビりだったとは。
いや、見えないからなおさら怖いのか。
俺のときはといえば、かっこいいと思われたい一心で勢いでいった。
気付いたら、軟骨まで空けてて、やってしまえばなんてことないんだなと思った。
ここは気持ちと勢いが大事だ。
「穴空けねぇと、おそろい着けられねぇけど?」
仕方ねぇから、耳元で囁いて、少し卑怯な手に出る。
あんなにもおそろいに喜んでいたのだから、こうすれば流されるだろうと思った。
「っ……、頑張ったら、虎太郎、ご褒美くれたりする?」
俺の胸に顔を埋めた瑛二がぼそぼそとつぶやく。
「はあ? 自分から空けたいって言ったのに?」
呆れた。
しかも俺が空けてやるんだぞ?
8割甘やかしサービスだろ?
10割いけってか?
「虎太郎がご褒美くれたら頑張れる気するから。ね、お願い」
見えないはずなのに、間近で顔を上げて、俺に視線を向ける瑛二。
俺は瑛二の「お願い」に弱い気がする。
「……ちなみに、そのご褒美ってなんだよ?」
整った顔面攻撃に耐えながら、とりあえず尋ねてみた。
へんなのだったら、それにツッコミを入れる勢いでピアッサー押し込んでやる。
「虎太郎の顔がどんな感じなのか、触りたい」
「前も触ってたじゃんか」
「違う、ちゃんと触りたい!」
食い気味に言われて、ビビる。
なにをそんなに真剣に言ってるのか、と思ったが、このままこの熱意をピアスに向ければ上手くいきそうだ。
「分かった。約束な」
俺も真剣な声で答えて、再びピアッサーを瑛二の耳にあてる。