夏休みも終わり、もう秋の色が見え始めている。
修学旅行を終えた俺に瑛二は「いいなぁ、俺たちは三年になってからなんだ、修学旅行」とか言ってくるから、じゃあ、ちょうどいいのがあるじゃんってことで、この前瑛二が夏男コンテストで獲得した水族館のチケットを使うことになった。
「音声ガイドもございますが、貸し出しされますか?」
「いえ、今回は大丈夫です」
受付でスタッフさんとそんなやり取りをして、瑛二と俺は館内を進んだ。
「よかったのかよ?」
「虎太郎がいるから大丈夫、なにかへんなの居たら教えて」
俺が腕を貸しながら問うと、瑛二はそう言って笑った。
なにも見えなくても楽しいのかよ? と心配になるが、本人が言うならそれでいいのだろう。
「瑛二、ちょっとここ立ってみて」
「え? なに?」
入口入ってすぐのところに面白いものがあったから、瑛二を立たせてみた。
「マグロと背比べられるやつ。へっ、瑛二もマグロには勝てないのか」
俺は断然負けているのだが、縦に飾られてるいるマグロの模型は二メートルを超えている。
それを見て、優越感に浸りながら、俺は「ほら」とマグロの模型へと瑛二の手を誘導した。
これは触ってもいいやつで、瑛二も触りながら「へぇ、たしかに俺より大きいね」と感心していた。
「ん? なんか、すごい特殊なにおいがする」
さらに少し進むと、瑛二は不思議そうな顔をした。
それもそのはず、近くにはペンギンの水槽があったからだ。
「ペンギンだよ」
「ペンギンって、鳥なんだっけ?」
「そう、飛べないんだけどさ、いま、水の中飛んでるみたいに泳いでる」
ガラスから水中も水面も見えるようになっていて、ペンギンが泳いでいる姿が俺にはよく見えた。
「可愛い?」
「おう、そう思う」
俺的にはペンギンは可愛いと思う。
動物全般好きだけど、ペンギンは俺の中の割と上位にいる。
ただ、すごいにおいが特殊だ。
「瑛二! こっち、小さなサメとかウニとかヒトデ触れるってよ!」
薄暗い館内を抜けると、明るい外に出た。
そこには小さな高さの低めの水槽がたくさん置いてあり、ふれあいスペースと書かれていた。
「待って、サメはちょっと怖いよ」
「大丈夫だよ、この小さいのは大人しいやつなんだ」
知識的にはサメのことを知っているようで、瑛二は少し怯えたみたいに言った。
「サメの映画を副音声で観たけど、人食べられてたよ? こう腕が――」
「はい、こちらサメさんです」
瑛二の話を遮って、俺は瑛二の手を水槽に入れて、サメの背中を撫でさせた。
「うわっ! これ本当に生きてる? すごいざらざらしてる!」
小さなサメは動かなくて、興奮したように言う瑛二。
なんだ、やっぱ面白いんじゃん。
「はい、じゃあ、手洗って」
ウニとヒトデも触って、手を洗い、俺と瑛二は移動することにした。
「うっわ、めちゃくちゃ大きな水槽だ」
もう腕を掴んでもらうとかじゃなくて、手を引いて、俺はこの水族館一デカい水槽に近付いた。
そして、そのまま瑛二の手を水槽のガラスにくっ付ける。
「なんか感じる?」
修学旅行を終えた俺に瑛二は「いいなぁ、俺たちは三年になってからなんだ、修学旅行」とか言ってくるから、じゃあ、ちょうどいいのがあるじゃんってことで、この前瑛二が夏男コンテストで獲得した水族館のチケットを使うことになった。
「音声ガイドもございますが、貸し出しされますか?」
「いえ、今回は大丈夫です」
受付でスタッフさんとそんなやり取りをして、瑛二と俺は館内を進んだ。
「よかったのかよ?」
「虎太郎がいるから大丈夫、なにかへんなの居たら教えて」
俺が腕を貸しながら問うと、瑛二はそう言って笑った。
なにも見えなくても楽しいのかよ? と心配になるが、本人が言うならそれでいいのだろう。
「瑛二、ちょっとここ立ってみて」
「え? なに?」
入口入ってすぐのところに面白いものがあったから、瑛二を立たせてみた。
「マグロと背比べられるやつ。へっ、瑛二もマグロには勝てないのか」
俺は断然負けているのだが、縦に飾られてるいるマグロの模型は二メートルを超えている。
それを見て、優越感に浸りながら、俺は「ほら」とマグロの模型へと瑛二の手を誘導した。
これは触ってもいいやつで、瑛二も触りながら「へぇ、たしかに俺より大きいね」と感心していた。
「ん? なんか、すごい特殊なにおいがする」
さらに少し進むと、瑛二は不思議そうな顔をした。
それもそのはず、近くにはペンギンの水槽があったからだ。
「ペンギンだよ」
「ペンギンって、鳥なんだっけ?」
「そう、飛べないんだけどさ、いま、水の中飛んでるみたいに泳いでる」
ガラスから水中も水面も見えるようになっていて、ペンギンが泳いでいる姿が俺にはよく見えた。
「可愛い?」
「おう、そう思う」
俺的にはペンギンは可愛いと思う。
動物全般好きだけど、ペンギンは俺の中の割と上位にいる。
ただ、すごいにおいが特殊だ。
「瑛二! こっち、小さなサメとかウニとかヒトデ触れるってよ!」
薄暗い館内を抜けると、明るい外に出た。
そこには小さな高さの低めの水槽がたくさん置いてあり、ふれあいスペースと書かれていた。
「待って、サメはちょっと怖いよ」
「大丈夫だよ、この小さいのは大人しいやつなんだ」
知識的にはサメのことを知っているようで、瑛二は少し怯えたみたいに言った。
「サメの映画を副音声で観たけど、人食べられてたよ? こう腕が――」
「はい、こちらサメさんです」
瑛二の話を遮って、俺は瑛二の手を水槽に入れて、サメの背中を撫でさせた。
「うわっ! これ本当に生きてる? すごいざらざらしてる!」
小さなサメは動かなくて、興奮したように言う瑛二。
なんだ、やっぱ面白いんじゃん。
「はい、じゃあ、手洗って」
ウニとヒトデも触って、手を洗い、俺と瑛二は移動することにした。
「うっわ、めちゃくちゃ大きな水槽だ」
もう腕を掴んでもらうとかじゃなくて、手を引いて、俺はこの水族館一デカい水槽に近付いた。
そして、そのまま瑛二の手を水槽のガラスにくっ付ける。
「なんか感じる?」