「あの! このスピーカーから流れてるコンテスト! どこでやってますか?」
千早が聞いてくれた。
やっぱり足手纏いなんかならなかったじゃんか。
「あっちの端だね」
「ありがとうございます」
教えてもらって、そちらに二人で手を繋いだまま歩き出す。
「千早、ありがとな。お前いてくれて本当に良かったよ」
「え、瑛二のためだもん」
俺がお礼を言うと、千早は少し赤い顔でそう返した。
『アピールタイムいってみましょうか。少しお話していただいていいですか?』
『はい。えっと……俺、こう見えて、まったく目が見えなくて、一緒に来てた大切な人とはぐれてしまったんですよね』
ステージはまだ見えないが、音声は所々に設置されたスピーカーから聞こえ続けている。
瑛二の言葉を聞いて、観客の「えー」という驚きの声みたいなのがマイクを通して聞こえた。
『そんなときにこのコンテストのスタッフさんが出てみませんか? って声を掛けてくださって、ここなら目立つかなと思って参加しました』
絶対かっこいいとかいう理由で声掛けられたんだろうな、と思う。
『大切な人ですか』
『そうです。その人は自分のことをかっこよくない、見た目のかっこいい瑛二には自分の気持ちは分かるわけがないって言うんですけど、俺も出来ないこと多いし、ヘタレなんです』
コンテストの司会者が問うと、瑛二は答えた。
やっとステージが見えてくる。
いつの間にか、瑛二の話にみんな耳を傾けているのか、辺りが静かになっていた。
『目の見えない俺を周りの人がどんなふうに見るのか怖いときもあるし、俺は自分の容姿を知らない。かっこいいとかも分かりません。でも……』
人が溢れていて、ぜんぜん側まで近付けない。
それでも、ステージの真ん中でまぶしいライトに照らされて、瑛二はそこに立っていた。
『でも、いま、ここで、そのはぐれた大切な人に見つけてもらえるなら、俺はこの容姿で良かったと思います』
遠くからでも分かる。
瑛二はかっこいい。
『素敵なお話ありがとうございます。すみません、瑛二さんの大切な方、いらっしゃってますか?』
司会者が尋ねてくるが、瑛二の居場所は分かったんだ、コンテストが終わったら迎えにいけばいいと思っていた。だが、急に千早が俺と繋いだ手を高々と上げた。
「……っ、おい、千早!」
下ろそうとしたが
「だって、間違ってないもん!」
千早は力強く、それを許さなかった。
千早が聞いてくれた。
やっぱり足手纏いなんかならなかったじゃんか。
「あっちの端だね」
「ありがとうございます」
教えてもらって、そちらに二人で手を繋いだまま歩き出す。
「千早、ありがとな。お前いてくれて本当に良かったよ」
「え、瑛二のためだもん」
俺がお礼を言うと、千早は少し赤い顔でそう返した。
『アピールタイムいってみましょうか。少しお話していただいていいですか?』
『はい。えっと……俺、こう見えて、まったく目が見えなくて、一緒に来てた大切な人とはぐれてしまったんですよね』
ステージはまだ見えないが、音声は所々に設置されたスピーカーから聞こえ続けている。
瑛二の言葉を聞いて、観客の「えー」という驚きの声みたいなのがマイクを通して聞こえた。
『そんなときにこのコンテストのスタッフさんが出てみませんか? って声を掛けてくださって、ここなら目立つかなと思って参加しました』
絶対かっこいいとかいう理由で声掛けられたんだろうな、と思う。
『大切な人ですか』
『そうです。その人は自分のことをかっこよくない、見た目のかっこいい瑛二には自分の気持ちは分かるわけがないって言うんですけど、俺も出来ないこと多いし、ヘタレなんです』
コンテストの司会者が問うと、瑛二は答えた。
やっとステージが見えてくる。
いつの間にか、瑛二の話にみんな耳を傾けているのか、辺りが静かになっていた。
『目の見えない俺を周りの人がどんなふうに見るのか怖いときもあるし、俺は自分の容姿を知らない。かっこいいとかも分かりません。でも……』
人が溢れていて、ぜんぜん側まで近付けない。
それでも、ステージの真ん中でまぶしいライトに照らされて、瑛二はそこに立っていた。
『でも、いま、ここで、そのはぐれた大切な人に見つけてもらえるなら、俺はこの容姿で良かったと思います』
遠くからでも分かる。
瑛二はかっこいい。
『素敵なお話ありがとうございます。すみません、瑛二さんの大切な方、いらっしゃってますか?』
司会者が尋ねてくるが、瑛二の居場所は分かったんだ、コンテストが終わったら迎えにいけばいいと思っていた。だが、急に千早が俺と繋いだ手を高々と上げた。
「……っ、おい、千早!」
下ろそうとしたが
「だって、間違ってないもん!」
千早は力強く、それを許さなかった。