◆ ◆ ◆
次の日の朝は色々とバタバタした。
「コタくん、外熱いから、この首冷えるシートのやつ。それとハンドクーラーね。瑛二くんと手繋ぐでしょ?」
「母さん、言い方。手じゃなくて、腕掴んでもらうだけだよ」
「はいはい、気を付けて行ってらっしゃい」
まさか、そんな物まで用意してくれているとは思わなかったが、母親は俺よりも嬉しそうに準備して俺を送り出した。
――手繋ぐんじゃねぇし……。
駅に向かって歩きながら、手首に着けられたハンドクーラーをサイズを変えて二の腕に着け直す。
保冷剤をリストバンドにしたみたいなやつだ。
ひんやりして気持ちよかった。
「……」
瑛二のとこの最寄り駅に着いて、改札の中側で瑛二を発見して、俺は一瞬声を掛けるのを躊躇った。
透明感があって凜としてる姿がとても絵になっていたからだ。
そこに立った瑛二を通っていく人たちが二度見していくのは、瑛二が白杖を持っていることだけが理由ではないだろう。
――ほんと、かっこいいよな……。いやいや、早く声掛けねぇと。
そう思った瞬間、不思議なことに瑛二がにこっと笑ったのが分かった。
「え? 気配、分かった?」
思わず、近付いて尋ねてしまう。
「ううん、なんかそんな気がして」
ふっと笑った瑛二が「こんにちは」と言う。
なんだ、それ、と思いながら俺も「こんにちは」と返した。
そして、ああ、そうだ、と思い出す。
「瑛二、ここ」
隣に立って、瑛二の手をハンドクーラーの上に誘導する。
「ありがとう。これ、いいね。冷たい」
「まあ、たぶん、すぐぬるくなっちゃうと思うけど」
瑛二が快適そうでよかった。
帰ったら母さんにお礼しないとな、と思いながら俺たちは電車に乗って移動した。
次の日の朝は色々とバタバタした。
「コタくん、外熱いから、この首冷えるシートのやつ。それとハンドクーラーね。瑛二くんと手繋ぐでしょ?」
「母さん、言い方。手じゃなくて、腕掴んでもらうだけだよ」
「はいはい、気を付けて行ってらっしゃい」
まさか、そんな物まで用意してくれているとは思わなかったが、母親は俺よりも嬉しそうに準備して俺を送り出した。
――手繋ぐんじゃねぇし……。
駅に向かって歩きながら、手首に着けられたハンドクーラーをサイズを変えて二の腕に着け直す。
保冷剤をリストバンドにしたみたいなやつだ。
ひんやりして気持ちよかった。
「……」
瑛二のとこの最寄り駅に着いて、改札の中側で瑛二を発見して、俺は一瞬声を掛けるのを躊躇った。
透明感があって凜としてる姿がとても絵になっていたからだ。
そこに立った瑛二を通っていく人たちが二度見していくのは、瑛二が白杖を持っていることだけが理由ではないだろう。
――ほんと、かっこいいよな……。いやいや、早く声掛けねぇと。
そう思った瞬間、不思議なことに瑛二がにこっと笑ったのが分かった。
「え? 気配、分かった?」
思わず、近付いて尋ねてしまう。
「ううん、なんかそんな気がして」
ふっと笑った瑛二が「こんにちは」と言う。
なんだ、それ、と思いながら俺も「こんにちは」と返した。
そして、ああ、そうだ、と思い出す。
「瑛二、ここ」
隣に立って、瑛二の手をハンドクーラーの上に誘導する。
「ありがとう。これ、いいね。冷たい」
「まあ、たぶん、すぐぬるくなっちゃうと思うけど」
瑛二が快適そうでよかった。
帰ったら母さんにお礼しないとな、と思いながら俺たちは電車に乗って移動した。