◆ ◆ ◆

 金曜日の放課後、美香と日和、それとすっかり仲良くなった藤白に買い物に誘われたんだが、俺が用事があると言うと、あー、という顔をされた。

 美香と日和に「仲良しなんだぁ?」とか「可愛がってもらうんだよ?」とか言われて、全力の「はぁ?」をお見舞いしておいた。藤白はなんか頬を染めて、静かに微笑んでいた。

 そして、真っ直ぐに瑛二の家に向かって、着いたと思ったら、出迎えてくれたのが瑛二のお父さんで

「君、瑛二に卑怯なことしたんだってね」

 リビングのダイニングテーブルにて、またもや面接に持ち込まれた。
 瑛二は部屋にいるらしい。

 ――あれ、お父さん、ニコニコしてっけど、俺、これは今度こそ怒られるのでは?

「お、怒ってるんすか?」

 泳いだ目でお父さんをなんとか視界に入れながら問い掛ける。

「どう思う?」

 ――ど、どう思う?

 圧迫面接の再来。

 いやいや、卑怯なことをしたのは明莉さんであって、ちょっと不本意ながら加担しちゃったかもしれないけど、俺に罪はないはずだ。

「あの、俺は別に瑛二を、あ、瑛二くんを傷付けようとか、そんなことは思ってな――」
「だろうね」

 ――だろうねぇ? 

何が言いたいのか、まったく分からない。
しかも被せてきたじゃん。

「いや、瑛二がさ、俺に助けを求めてくるのって、本当に珍しくて……虎太郎くんは一体、瑛二に何をしたのかなって。いいや、違うな。――二人はどういう関係なの?」
「お友達ですけど……!?」

 お父さんがすごい問いぶっ込んでくるから、即答してしまった。
 だって、ほら、なんかやましい関係とか思われてたら嫌だし。

「そっか、そっか。瑛二と仲良くしてくれてありがとね。ちょっと話したかっただけだから、もう行っていいよ」
「……失礼します」

 ニコニコ顔で言われて、俺は面接終わりみたいな感じでリビングを出た。
 毎回、これ、やられんのかな……?

「遅かったね、大丈夫?」

 ノックをして部屋に入ると、瑛二はベッドに腰掛けて待っていた。

「なんか、将来に役立ちそう」

 問いに答える形でそう言ったんだが

「ん? うん、とりあえず、ベッド来て」

 瑛二は深く考えるのをやめたみたいで、俺をベッドに呼んだ。