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「それで? 虎太郎は何に悩んでるの?」

 結構でかめのチョコレートパフェを前に日和が尋ねてくる。
 新しく出来たファミレスってことで良い感じに人が溢れていて、話しやすいといえば話しやすい雰囲気だ。

「悩みっていうかさ……」

 ただし、そこで止まってしまう俺。
 だって、これって仲良いっていってもこいつらに話していいことなのか?

「だいじょぶだって、ちゃんと聞くよ? うちら」

 美香がパフェの上の部分をスプーンですくいながら言う。
 まあ、ふざけてるようには見えないな。

「んじゃ、二人に聞くけど、初対面というか会って日が浅いやつに急に告られたらどうする?」

 恐る恐るという感じで聞いてみる。
 俺はてっきり顔や見た目がよければとか言われるもんだと思っていた。

「えー、それは断るっしょ」
「ごめんなさい、ってね」

 美香も日和も微妙そうな顔でそう言った。

「やっぱそうだよな」

 ほっとする。
 俺の瑛二への返答は間違っていなかった。
 会ったばっかで一目惚れしたって言われてもそうなるよな。

「なに? コタ、告白されたの?」
「嘘! ほんとに?」

 突然、向こう側の席から乗り出すように美香と日和が言う。
 パフェがガタンと揺れて、二人はすっと戻ったが

「嘘ってなんだよ。この際俺かどうかはどうでもいいんだよ。お前らはどう思うのかなって聞きたかっただけっていうか」

 俺はもごもごと尻すぼみになった。

「コタに告白するって、どんな人だろう?」
「だよね、虎太郎は可愛い系だもんね。クールな女子とか?」

 どんどん勝手に話しが進んでいく。

「可愛いって言うなよ」

 ここらへんで止めておかないとと思って言ってみれば

「コタ、人ってね、可愛いって言われ続けると慣れるらしいよ?」

 なんて美香に言われる始末。
 可愛いに慣れるって、どういう現象だよ、と思ったときだった。