()()は、突如として現れた。
――おおいぬ座矮小銀河は急速に四散。
二十年前にもたらされたこの情報は、世間――天文学研究者を除き――を大きく騒がせるには至らなかった。一時はニュースで取り上げられていたりしたものの、自分たちにはさして関係ないと認識するやいなや、民衆の関心は遠のいていった。
その半年ほど後に、幾人かの天文学研究者は銀河系へ及ぼされると危惧される影響についての論文を発表したが、世間はそれを無視し続けたのだった。
それが、二十年たった今、巡り巡って()()として帰ってきた。
――高輝度赤色新星を銀河系にて発見。
その日もたらされた情報に、世界は騒然とした。
なんの兆候もなかったと言うのに、ある瞬間、天文台の望遠鏡の中心の映り込んできたのだ。未だワープホールの存在は確認されておらず、証明も成されていないものの、これはそうとしか考えられなかった。
しかし、今はそんなことはどうでも良かった。
最も重要なのは、()()()()()()()()()()ということなのだ。
それから数時間後、瓦解したおおいぬ座矮小銀河内の恒星が見つからない、という続報が公表された。