思えば、私の夢や目標は、ほとんどあの人たちがきっかけだった。
あの日、あの瞬間、ずっと暗闇だった私の世界が、終わりなどなく、どこまでも続いていくような、雲一つない青空へと変わった。
あの人たちがいなかったら、今頃私はどんな生活をおくっていたのだろうか。
思い浮かべてみても、そんなことはただの想像でしかないが、きっと本気になれるものなどなく、何もかも中途半端だっただろう。
たった一歩を踏み出せるかどうかで、人生は大きく変わる。
そう気づかせてくれたのは、あの人だった。



「中学校入学おめでとう。これから大変なこともあるだろうけど、頑張ってね」
「ありがとう、お母さん。私、頑張るね」
そう、お母さんと約束したはずなのに、今の私はまったく勉強を頑張れていない。
私は中学校に入学して、吹奏楽部に入った。
入部した理由は至って単純。私は運動部に入りたくなかったが、私の学校には文化部が吹奏楽部と美術部の2つしかなく、絵をかくのが得意じゃなかったため、初心者がほとんどである吹奏楽部にしたのだ。
しかし、入部した当初は思いもしなかった。吹奏楽部に入ったことで、こんなにも辛い日々を過ごす事になるなんて。

「一年生〜!先輩にやらせないで自分でやりなさい!」
「はい!」

「先輩変わりますって言いなさい!」
「はい!先輩変わります!」
こんなふうに、顧問の先生に怒られる毎日。
やめる同級生が出てくる中、私は一年生の時はみんなこうなんだと思っていたから、耐えることができていた。
7月の上旬にある定期テストが着々と近づいてくる。はじめての定期テストなので、分からないことだらけだが、だからこそまずはやってみるしかなかった。
テストは一教科50点満点で、五教科では200点満点だ。私はまず、一教科40点を目安にして、合計200点を目標にした。
その目標を達成するために、必死にやった。部活がない日もある日も、家に帰ってきてからご飯やお風呂の時間以外はほとんど勉強に時間を費やし、夜遅くまでやった。幸いにも、一年生の場合は先輩たちに比べて練習の日数も少なかった。
そんな日々を過ごし、テスト当日を迎え、あっという間に結果が返される日がやってきた。
緊張しながら、先生からテスト個表をもらう。自分の席についてから、ゆっくりと紙を表に裏返す。国語42点。数学41点。英語36点。理科35点。社会29点。合計183点。
平均点よりは高かったので、決して低い点数ではなかったが、自分が取りたかった点数に届かなかったことがとてもショックだった。
自分の中では、結構頑張ったなと思っていたから、これ以上どうしたらいいのか分からなくなってしまい、その時、頑張っても無駄なのだとそう思ってしまった。
努力してすぐに結果が出る人なんて、ほんの一握りしかいないのに。