「さぁ、こちらへ」と現れたのは…


「よ、吉田さん!?」
「ヨシダ?」
聖臣は誰?という感じだが澪は驚いた


「やぁ、結婚おめでとう。素敵なドレスだね〜」

「どうして吉田さんが…」

「さっきから吉田とはなんだ?」
「聖臣様、この方は私が以前働いていた部署の会社の先輩なんです。家族の事で泣いてた時に話しを聞いてくださったんです」

「お祖父様…お戯れを…」

「お祖父様?」

吉田さんは苦笑しながら
「澪ちゃん、ワタシの本名は百目鬼樽吉(どうめき・たるよし)。聖臣と和彦は孫だよ」

「えええー!!」
思わず大きな声が出てしまった。

どうやら百目鬼財閥パワーで「吉田」という偽名で働いていたらしい。何故かは教えてもらえなかった。


「い、以前旧友が孫を結婚させたいとかで和彦くんとお見合いしたのは…」

「ワタシが和彦のヤンチャぶりを止めたくてね。澪ちゃんならしっかり手綱を引いてくれると勧めたんだ。ウソついてごめんね」

「いえ」

「和彦のヤンチャを更生し、女性嫌いを徹底して絶望的だった聖臣までこんなに変わるとは思わなかったよ、本当にありがとう」

「いいえ、よし…樽吉様に私は何度も救われました。ありがとうございます」

お互いに親愛のハグをした。

「ワタシたちの家族になってくれてありがとうね。これから宜しくね」

「はい、はいっ…!」
澪は歓喜の涙を流した。


「じゃあまた会場で」

吉田…改め、樽吉は新婦控え室を後にした