『でね〜ブランドの新作バッグが可愛いの〜だ•か•ら買いたいな〜って。ね?お姉ちゃん』
(…またはじまった)
『ちょっとぉ〜聞いてんの!』
「無理よ。知ってるでしょ?」
『はぁぁ〜だったら副業でもして働けよ無能!』
「副業禁止なのよ。夏姫もアルバイトしたら?」
『は?口答えとか何様だよ。可愛い私は働くわけないでしょ…………お母さん〜またお姉ちゃんが意地悪してくるよぉ〜』
少しの沈黙のあと母親が代わる
『ちょっと無能!夏姫ちゃんを毎回毎回虐めて楽しんでるんでしょ!ほんとに…』
ガチャ
電話を切った。
伊澄澪(いずみ・みお)は手が震えていた。
幼少期、3つ離れた妹、伊澄夏姫(いずみ・なつき)は見た目が可愛く愛嬌があったため両親は姉である澪と妹の夏姫を比べ、妹の夏姫だけを可愛がられた為、我儘で傲慢な性格に育った。
澪には無関心で両親や両親を見て育った夏姫からは「無能」「無価値」などと言われ続け虐げていた。
澪はずっと寂しい思いをしていた。
高校を卒業後、大学にも行かせてもらえず就職する事となった。
就職してからアパートの家賃、光熱費、生活費以外は強制的に仕送りさせらている。
かなりギリギリに切り詰めた生活をしている。
夏姫はそれを知りながら澪に嫌がらせをしているのだ。最近は電話を切ってなんとか切り抜けているが時間稼ぎに過ぎない。
「どうしょ〜…また…」
過去の事を思いだし会社の階段に座りこんだ。
「おやおや、お一人ですかな?」
「あ 吉田さん」
吉田さんはうちの部署の癒し枠で、もうすぐ定年退職を迎えるお爺ちゃんだ。
「またご家族から無理難題を押し付けられているのかい?」
吉田さんはお菓子の包みを澪に渡す。
「これ食べて元気だしな」
「ありがとうございます!」
吉田さんは少し前に澪がひっそりと泣いていた時に声をかけてくれ、我慢できずに愚痴を吐いてしまったことがある。
その時から心配して話を聞いてくれたりお菓子をくれたりとお世話になっている。
澪が勤めている会社は副業禁止で給料はよくない部分を除けば、環境も良く居心地の良い会社だ。
澪はそんな会社が好きだった。
何より吉田さんという癒しがいるのだから。
「もう吉田さんと結婚したいです〜」
「ハハハッ。ワタシには妻がいるからすまないね。でも若い子にそう言って貰えて嬉しいよ、ありがとう」
笑いながら冗談だと思っているようだが、澪は少し本気だった。それほど愛情と安心感に飢えていた。
吉田さんは何かを考えてから澪に告げる
「澪ちゃんって恋人はいるかい?」
「…?……は、恥ずかしながらいません」
「そうか!よかった」
「??」
澪はなぜそんな事を聞くのか疑問だった。
「実はね、ワタシの旧友が孫のお見合い相手を探してると相談してきたんだよ。どうかな?」
「はぁ…お見合いとか結婚なんて早いです」
「旧友の会社は有名な大手企業なんだが、お孫さんは若くして出世しそこの重役だそうだよ。すぐ結婚するわけじゃないしお見合いしてみないかい?」
「年も近いし…その、結婚すれば澪ちゃんの生活や心が裕福にもなるんじゃないかな?もちろん結婚が全てじゃないと思うけど」
「あ…はい。お見合いの件、お受けします」
「そうかい!ありがとう!旧友に連絡してお見合いの日取りとお孫さんの写真貰ってくるよ」
そう言って吉田さんは先に部署に戻っていった。
吉田さんは澪の事情を知っているからこそ薦めてくれたのかもしれない。吉田さんの有り難い気持ちを無下にできない。
「お見合いか…っと昼休憩終わるし戻らなきゃ」
(…またはじまった)
『ちょっとぉ〜聞いてんの!』
「無理よ。知ってるでしょ?」
『はぁぁ〜だったら副業でもして働けよ無能!』
「副業禁止なのよ。夏姫もアルバイトしたら?」
『は?口答えとか何様だよ。可愛い私は働くわけないでしょ…………お母さん〜またお姉ちゃんが意地悪してくるよぉ〜』
少しの沈黙のあと母親が代わる
『ちょっと無能!夏姫ちゃんを毎回毎回虐めて楽しんでるんでしょ!ほんとに…』
ガチャ
電話を切った。
伊澄澪(いずみ・みお)は手が震えていた。
幼少期、3つ離れた妹、伊澄夏姫(いずみ・なつき)は見た目が可愛く愛嬌があったため両親は姉である澪と妹の夏姫を比べ、妹の夏姫だけを可愛がられた為、我儘で傲慢な性格に育った。
澪には無関心で両親や両親を見て育った夏姫からは「無能」「無価値」などと言われ続け虐げていた。
澪はずっと寂しい思いをしていた。
高校を卒業後、大学にも行かせてもらえず就職する事となった。
就職してからアパートの家賃、光熱費、生活費以外は強制的に仕送りさせらている。
かなりギリギリに切り詰めた生活をしている。
夏姫はそれを知りながら澪に嫌がらせをしているのだ。最近は電話を切ってなんとか切り抜けているが時間稼ぎに過ぎない。
「どうしょ〜…また…」
過去の事を思いだし会社の階段に座りこんだ。
「おやおや、お一人ですかな?」
「あ 吉田さん」
吉田さんはうちの部署の癒し枠で、もうすぐ定年退職を迎えるお爺ちゃんだ。
「またご家族から無理難題を押し付けられているのかい?」
吉田さんはお菓子の包みを澪に渡す。
「これ食べて元気だしな」
「ありがとうございます!」
吉田さんは少し前に澪がひっそりと泣いていた時に声をかけてくれ、我慢できずに愚痴を吐いてしまったことがある。
その時から心配して話を聞いてくれたりお菓子をくれたりとお世話になっている。
澪が勤めている会社は副業禁止で給料はよくない部分を除けば、環境も良く居心地の良い会社だ。
澪はそんな会社が好きだった。
何より吉田さんという癒しがいるのだから。
「もう吉田さんと結婚したいです〜」
「ハハハッ。ワタシには妻がいるからすまないね。でも若い子にそう言って貰えて嬉しいよ、ありがとう」
笑いながら冗談だと思っているようだが、澪は少し本気だった。それほど愛情と安心感に飢えていた。
吉田さんは何かを考えてから澪に告げる
「澪ちゃんって恋人はいるかい?」
「…?……は、恥ずかしながらいません」
「そうか!よかった」
「??」
澪はなぜそんな事を聞くのか疑問だった。
「実はね、ワタシの旧友が孫のお見合い相手を探してると相談してきたんだよ。どうかな?」
「はぁ…お見合いとか結婚なんて早いです」
「旧友の会社は有名な大手企業なんだが、お孫さんは若くして出世しそこの重役だそうだよ。すぐ結婚するわけじゃないしお見合いしてみないかい?」
「年も近いし…その、結婚すれば澪ちゃんの生活や心が裕福にもなるんじゃないかな?もちろん結婚が全てじゃないと思うけど」
「あ…はい。お見合いの件、お受けします」
「そうかい!ありがとう!旧友に連絡してお見合いの日取りとお孫さんの写真貰ってくるよ」
そう言って吉田さんは先に部署に戻っていった。
吉田さんは澪の事情を知っているからこそ薦めてくれたのかもしれない。吉田さんの有り難い気持ちを無下にできない。
「お見合いか…っと昼休憩終わるし戻らなきゃ」