夕刻から始まった神社の夏祭りは、日が落ちてさらに人が集まってきた。境内に生い茂る木々に均等に飾り付けられた提灯の灯りが、ぼんやりと辺りを照らし、屋台からは鼻孔をくすぐる美味しそうな匂いと、賑やかな声が聞こえてくる。

参道を進むと、御社殿前の賽銭箱に並ぶ人々の行列、そのすぐ近くの神楽殿にも、人だかりができていた。

神楽殿では、雅楽隊による笙や篳篥、龍笛に楽琵琶、楽太鼓などの演奏に合わせ、緋袴を穿いた巫女たちが舞っていた。金色の冠と髪飾りを付け、白地に松鶴柄があしらわれた舞衣を纏い、手には緑黄赤白紫の色鮮やかな鈴の緒が付けられた神楽鈴を持っている。

巫女と言ってもその年は若く、小学生から中学生くらいだろう。町内の子供たちなのだろうか、大人やその同級生たちが皆嬉しそうに舞を見ていた。

「あ――、いたいた。隼人(はやと)!!」
「ここにいると思ったぜ」

名前を呼ばれて振り返ると、四月に転入した高校で同じクラスになった友人たちが立っていた。

神社に集合な! というざっくりとした待ち合わせ場所に、どこに行ったら良いのかわからず、流されるように奥へ奥へと歩いてきてしまった隼人だったが、この土地に生まれた時から暮らす友人たちには、隼人がどこにいるか見当が付いていたようだ。